[東京 24日 ロイター]景気の落ち込みやデフレ懸念の広がりを背景に、個人投資家の家計防衛意識が強まっている。ロイターが24日にまとめた11月個人投資家調査によると、日本株への投資スタンスを示すロイター個人投資家DI(「強気」の割合から「弱気」の割合を引いて算出)はマイナス58となり、前月のマイナス32から大幅に悪化した。
冬のボーナスは「貯蓄」に回すとの回答が5割近くを占める一方で、「消費」は1割にとどまっており、所得や雇用の一段の悪化に備えようという動きが鮮明になっている。
調査は、ロイター.CO.JPの個人投資家向けメールマガジン購読者である全国の個人投資家を対象に11月9日から12日に実施、598人(男性93%、女性7%)が回答した。年齢層は20代が5%、30代が19%、40代が33%、50代が22%、60代が17%、70代以上が5%。
調査によると、今冬のボーナスについて、昨冬より減少するとの回答は56.7%にのぼり、増加するとの予想は7.2%だった。減少幅は1割減ないし2割減との見方が多い。それ以外は、ボーナスがある仕事には就いていない、との答えだった。
ボーナスの使い道は「貯蓄」が45.3%、「運用」が23.8%、賃金カットなどに伴う「家計の赤字補填」が20.9%、「消費」が9.9%。「今後収入が増えることはないので、まずは貯蓄して将来不安を解消する。低収入での生活スタイルを確立する」(50代男性)、「株価下落で資産が大幅に減少しており将来に備えたい」(40代男性)との声が多く、先行き不透明感を懸念する答えが目立った。他方で「自分の力でお金を増やすしかない」(20代女性)として、利率が低い貯蓄よりも、運用を通じて少しでもボ
ーナス減を埋めたい、とのコメントもあった。
最も消費したい分野については、無駄遣いにならない「実用的な消費」が65.2%にのぼり、家計の節約傾向が浮き彫りになった。「家電や自動車などの耐久財消費」は18.6%、「教養・娯楽などのサービス消費」は16.2%にとどまり、エコポイント制度などが下支えとなっているものの、消費マインドはなお冷え込んだ状況にあることをうかがわせた。
<個人投資家DIは大幅悪化、2番底懸念やデフレ傾向で>
日本株への投資スタンスを示すロイター個人投資家DIは、3カ月連続の悪化となった。投資意欲は建設・不動産を除く全てのセクターに対して減退しており、特にIT(情報技術)・ハイテク、素材やサービスの落ち込みが目立った。
「弱気」と答えた投資家からは、景気の二番底懸念や円高傾向のほか、「FXや外貨預金にお金が流れていると聞いている。上値も重いし高値圏に入ると売りが出る。日本株自体に魅力がない」(40代女性)との指摘があった。また、「デフレ傾向が一段と鮮明になっている」(40代男性)、「職場の雰囲気や息子の就職状況」(50代男性)など、生活実感から株価の先行きに期待できないとの見方も出ていた。
一方、「強気」との回答者には、政策効果で景気の二番底は回避されるとの見方が多い。「日本経済は徐々に回復している。株価は底値圏」(30代男性)として、来年以降は回復傾向が鮮明になると予想する声もあった。
「現在、投資したい/投資資金を増やしたい株」(複数回答)については、成長株や割安株、小型株の人気が低下している。「現在、投資しようとしている/投資金額を増やそうとしている金融商品」(複数回答)では、預貯金の人気が大幅に上昇する一方で、国内外の株式は低下するなど、安全性を選好する動きが見て取れる。「現在、外為証拠金取引をしているか、もしくは将来やりたいと思っているか」との質問には、39%が「はい」と回答。「いいえ」の回答は61%だった。「はい」の割合は前月から9ポイント上昇し、過去最高となった今年4月(40%)に次ぐ高水準となった。
*ロイター.CO.JPの個人投資家向けメールマガジン購読者は35歳以上の男性が
多く、平均年収は約800万円。半数以上が1千万円以上の金融資産を保有している。
今回の回答者の金融資産残高(除く不動産)別構成をみると、500万円未満が29%、
500─999万円が21%、1000─1999万円が21%、2000─2999
万円が11%、3000─4999万円が8%、5000─9999万円が8%、1億円
以上が3%だった。
(ロイターニュース 寺脇 麻理、程 近文)