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ドル安の背景に短期筋、キャリー取引復活の兆しなく

 [東京 27日 ロイター] ドルは27日、一時84.82円まで急落し、1995年以来14年ぶりの安値を更新し、急激な円高を懸念する政府・日銀はレートチェックを実施した。

 11月27日、ドルは一時84.82円まで急落、急激な円高を懸念する政府・日銀はレートチェックを実施した。写真は韓国ソウルの銀行で10月撮影(2009年 ロイター/Choi Bu-Seok)

 市場では、このところの急ピッチなドル安/円高が意外なほど熱気を帯びておらず、いわゆるバーチャルなドル下落の様相を呈している、との声が多く聞かれる。

 「今回のドル安は、システムトレードを介した短期筋のドル売りが主体の、いわゆる実体のない下げ。確かに実需のドル売りもかぶさり(ドルの)上値を重くしたが、実需は脇役で、主役はファンド勢のポジション繰り」(外銀)だという。 

 <キャリー取引の復活はナシ>  

 一部メディアでは、ドルと円の短期金利が逆転したことを受け、ファンド勢など短期筋の間でドル・キャリー取引が活発化し、円高を推進しているとの論調があるが、この見方に為替市場は懐疑的だ。

 「ドルキャリー目的でファンドが活発にドルを借りている形跡は全く無い。金融機関の手元にはドルの余剰資金が潤沢にあるが、ドルを貸して欲しいというファンドは見あたらない」と外銀資金担当者は指摘する。

 「現在起きていることは、基本的にファンド勢のポジションの巻き戻し、または、来年に向けてのポジションの仕込みで、前者については、単にポジション・バブルが弾けているに過ぎない」(同)という。

 キャリー取引の前提として短期市場金利の格差の存在がある。

 26日時点のロンドン銀行間取引金利(LIBOR)3カ月物では、ドルが0.25438%、円が0.29625%、6カ月物のドルは0.47625%、円は0.49750%という水準で、ドルと円の金利が逆転し、円の短期金利がドルの短期金利を小幅に上回っている。

 しかし「1日に3円のドル安は、年率1000%のコストと同義だ。ドルLIBORの金利がわずかに円を下回ったからといって、ドルを積極的に借りて何かに投資するインセンティブにはならないだろう」と国内ファンドの運用担当者は言う。

 さらに、円の短期金利がドルの短期金利を上回っているという前提にも疑義が残る。

 ドル/円フォワードでは、3カ月物のドルは0.04円のディスカウント、6カ月物のドルが0.1円程度のディスカウントで、実際はドル金利が円金利より高水準にあることを示している。 

<ポジション・バブルの炸裂> 

 多くのファンド勢は11月末の決算を控え、現在はポジションを圧縮した状態にあるとみられていた。一方「一部のファンドは欧米金融株ロング、邦銀株ショートのポジションを最近まで保有していたが、ドバイのニュースをきっかけに、欧米金融株のロングを巻き戻し、邦銀株のショートカバーを行っている」(欧州銀)との指摘もある。

 これらファンド勢の動きの一環として、為替市場でも、これまでロングだったポジションが一斉に巻き戻され、決算を控えた駆け込み的取引がシステムを解して為替市場につながれる。

 「貿易関連等の実需勢の動きはある程度は相場に影響しているが、ドル/円急落の背後に、大きなマネーフローがあるとは言えない。むしろ個人を含む短期筋のポジションのバブルが一部で炸裂し、一部で再び醸成されていると言ったほうが正確だろう」(同欧州銀)という。 

 ドバイ政府は25日、政府系持ち株会社ドバイ・ワールド[DBWLD.UL]と系列の不動産開 発会社ナヒール[NAKHD.UL]が、ドバイ・ワールドのリストラクチャリング(事業再構築) に向けた最初の措置として、数百億ドルの債務について返済延期を債権者に要請すること を計画していると発表した。

 これを背景に世界的な金融システムの健全性が再び疑問視されるなか、25日のロンドン市場では、銀行株が売られ た。バークレイズBARC.L、HSBCHSBA.L、ロイズ・バンキング・グループLLOY.L、 ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)RBS.L、スタンダード・チャータ ード(スタンチャート)STAN.Lは4.8─8%安となった。

(ロイター 森佳子記者  編集:宮崎 大)

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