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トレンド転換の機会逃したか、政策「逐次投入」ではアピール弱く

  [東京 1日 ロイター] 戦力を小出しにする「逐次投入」は避けるべきというのが兵法の教えだが、日銀が1日、臨時の金融政策決定会合で導入を決めた新型の資金供給オペがマーケットに与えたインパクトは小さく、今後、追加的な金融緩和策が導入されたとしてもアピール度はそれほど大きくならないおそれがある。

 12月1日、日銀が導入を決めた新型の資金供給オペがマーケットに与えたインパクトは小さく、追加緩和策が導入されたとしてもアピール度はそれほど大きくならないおそれがある。写真はモニターを見つめる外為ディーラー(2009年 ロイター/Toru Hanai)

 市場からは、海外投資家からの関心度が急速に低下している日本株への印象を変える数少ないトレンド転換のチャンスを逃した可能性があるとの見方も出ている。

 このところ海外投資家を訪問した市場関係者が帰国して口にするのは同じ言葉だ。「日本株への関心が急速に低下している」──人口減少、財政赤字といった構造的問題に加え、デフレや円高に無策だと受け止められているためだという。「日本株を嫌うというよりも無視するような海外勢の関心のなさ」(外資系証券セールストレーディング部長)を指摘する声は多い。

 最近、欧州とアジアを訪問したみずほ証券シニアエコノミストの飯塚尚己氏は、海外投資家の日本株に対する意識を変えるようなインパクトのある政策が必要だと感じていた。「アジアの投資家などはマクロ政策と実体経済の関係性を重視する。彼らは2003年に就任した福井俊彦前日銀総裁が量的緩和の当座預金残高目標を積極的に拡大し、政府の為替介入もあり円安が進行、ややタイムラグがあって景気が持ち直したという『成功体験』を記憶している」として、日銀に期待していたという。「日銀が緊急会合を開いて量的緩和政策を導入しバランスシートを拡大するといった宣言を行えば大きなサプライズとなり為替も円安に反応するだろうし、日本への投資も再開させる可能性も高まる」と考えていた。

 <第2、第3の緩和策追加では効果限定的との見方> 

 実際、日銀が緊急会合を開くことが明らかになった午前11時以降、マーケットは踏み込んだ金融緩和への期待から金利は低下、為替は円安、株は上昇するなど大きな反応を示した。

 だが、日銀が新たに導入したのが、やや長めの金利の低下を促すことを目的とした10兆円規模の新しい資金供給手段だとわかると、市場の反応は逆転。「日銀が前週にデフレの認識を表明し、きょう対策の第1弾を打ったことは一歩前進と言える」(三菱UFJ証券シニア投資ストラテジストの吉越昭二氏)という点では評価されたことから、各市場ともそれまでの分を帳消しにするといったことはなかったが、「失望」という言葉も出るなか、上昇・下落幅をそれぞれ縮小させた。

 ドバイ問題や増資への懸念は一時的な悪材料だとの声は多い。過度な円高による企業収益の圧迫とデフレ・スパイラルへの懸念が強まるなかで、政府と中央銀行が無策という印象を持たれていたところに、最近の日本株への関心度低下の大きな要因があった。

 今回の日銀の緊急会合は、今週にも具体策が明らかになるとみられている政府の追加経済対策と合わせて、海外投資家にアピールするいいチャンスだったが、現時点のマーケットの反応を見る限り大きなインパクトを与えたとはいえない。

 ITCインベストメント・パートナーズ・シニアポートフォリオマネージャーの山田拓也氏は「せっかく緊急会合を開き、政府も追加経済対策を発表するというときなのだから、財政支出と国債買い切りを組み合わせたようなパッケージにするべきではなかったか。ドバイ問題が落ち着き株を積極的に売るという雰囲気ではなくなっているが、これでは海外勢が日本株を独自に買おうという気になるかは疑問だ」と述べる。

 前出のみずほ証券の飯塚氏は「政府の経済対策に合わせて日銀は第2、第3の追加緩和策を求められる可能性がある」とみる。そのうえで「戦力の逐次投入では効果は上がらない」と指摘した。

 (ロイター日本語ニュース 伊賀 大記記者 編集 橋本浩)

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