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菅副総理が財務相を兼務:識者はこうみる

 [東京 6日 ロイター] 鳩山由紀夫首相は6日夜、藤井裕久財務相の辞任を了承したことを明らかにした上で、菅直人副総理が財務相を兼務し、菅副総理が務めていた国家戦略相は仙谷由人行政刷新担当相が兼務すると発表した。

 1月6日、鳩山首相は藤井財務相の辞任を了承したことを明らかにした上で、菅副総理(写真)が財務相を兼務すると発表。2009年9月撮影(2010年 ロイター/Toru Hanai)

 菅新財務相に関する識者の見方は以下の通り。

●2月G7でしっかり役割果たすことを期待

<日興コーディアル証券 チーフマーケットエコノミスト 岩下真理氏>  

 菅氏が財務相を兼務することは事前の報道でも名前が挙がっていたので、違和感はない。

 まず望むことは、2月に控えているG7で日本の顔としてしっかり役割を果たしてほしいということ。日本は昨年2月のG7で当時の中川財務相の振る舞いが問題になったこともあるほか、しょっちゅう顔が変わると見られているため、ここは何とか頑張ってほしい。

 マーケット的には大きな影響はないと見ている。というのも、政策については小沢民主党幹事長の影響が強いため、財務相が変わってもそれほど大きな変更はないと思われる。また、財政や経済分野に菅氏が必ずしも精通していないために財務官僚主導になるのではという意見もあろうが、菅氏自身が国家戦略室でも財務官僚を重用していたので、これまでとさして状況は変わらない。

●円高には強い姿勢で臨むというメッセージを

<JPモルガン証券チーフエコノミスト 菅野雅明氏>

 藤井大臣はデフレ脱却・経済浮揚と財政再建への道筋をつけるという2つの課題のバランスをとってきた。菅新大臣は、そういう面のバランスをどうとるか、まだ不透明。参議院選挙を控えるなか、経済が失速気味になった場合、追加支出要求が出て財政規律が緩む可能性があるかもしれないが、財政赤字への注意も重要だという決意表明を新大臣に期待したい。

 デフレをどうするかという問題も非常に大きく、日銀がマネーを供給すれば片付くというような生易しいものでない。デフレの根本原因は需要不足なので、具体的には家計が老後の心配なく支出ができるようにするなどの環境を作るのが基本。日銀とうまく連携して欲しい。

 為替については、これ以上の円高は日本経済とって、かなりダメージが大きいので、あまり市場の期待が一方に偏らないように、発言は慎重にすべき。また、円高については断固、強い姿勢で臨むというメッセージを発して欲しい。次回の日銀政策決定会合への影響は多分ないだろう。

●為替政策に不透明感残る

<ドイツ証券 チーフ金利ストラテジスト 山下周氏>  

 菅直人副総理が財務相を兼務することにサプライズはない。野田佳彦財務副大臣、仙谷由人行政刷新担当相らとともに事前に市場で取りざたされていた。小沢一郎民主党幹事長との距離感からも同氏が有力視されており、違和感もない。債券市場への影響は乏しそうだ。

 菅氏は予算編成作業にも携わっており、財政規律に一定の理解があるとみられる。政府として「デフレ宣言」に踏み切り、日銀に対応を迫るなど債券市場にとってフェイバーだ。円安論者なのか円高論者なのかは、はっきりせず、為替政策には不透明感が残る。 

●為替政策・介入のスタンスともに変わらず

<JPモルガン・チェース銀行 シニアFXストラテジスト 棚瀬順哉氏>

 菅財務相になっても、民主党の為替政策に大きな変更はないだろう。海外勢を中心に「藤井財務相=円高容認」のイメージが強かったため、藤井氏辞任で円売り介入が実施される可能性が高まるとの見方が、前日に辞任報道が流れた際の円下落につながった可能性はある。ただ、7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が中国の硬直的な為替政策を公然と批判していること、一段の外貨準備増大は危険であることなどから、為替介入が実施される可能性は構造的な問題上、極めて低い。政権担当政党や財務相の政策スタンスによって変わる性質のものではない。一部では、辞任の一因として政治的な不透明感を深読みする向きもあるかもしれないが、市場が不透明感を嫌気するならきょうの日本株に売り圧力が強まってもおかしくなかった。市場全般はあまりそう受け止めていないようだ。

●どちらかというとポジティブ、円高リスク後退

<ドイツ証券 マネージングディレクター 神山直樹氏>

 大きな影響はないが、どちらかというとポジティブに受けてとめている。藤井氏に比べて円高リスクが小さくなると見ているため。菅氏がデフレ宣言をすることで、結果的に日銀にデフレ状況を認めさせ、より強い緩和へのコミットメントを引き出した。このことで円高も一服。こうしたことから見ても、菅氏が財務相になれば、政府と日銀が円高回避に向けてアコードが高まる方向に働くかもしれない。

 さらにデフレ回避という面からみても、菅氏は、事業仕分けが予想以上に評価が高かったことから、財政規律へも一定の配慮を行うことで低金利を保ち、デフレ脱却をするしかないという考え方に傾いたと見られる。このため、藤井氏に比べて、財政規律に目配りしながら日銀にデフレ対策を強化してもらうという方向性になるのではないか。

●中期財政フレーム策定に向け今後半年は重責

 <東短リサーチ・チーフエコノミスト 加藤出氏> 

 政権が始まってまだ3、4カ月なので閣僚の配置を大幅に動かすわけにもいかないと思われるが、財務相は今の局面では非常に重要なポストであるため、バランスを取ると菅氏が横滑りという形になったのではないか。

 2010年度予算は策定されたが、問題は2011年度予算以降。税外収入が使えなくなる中、今後の予算策定をどうするかが課題だ。このままだと、国債発行額が当初から50兆円以上といったこともあり得るため、非常に重責だ。当面は、6月頃までに策定すると言われている中期財政フレームで中期的な財政再建の方向性を示さないと、日本国債が格下げされるリスクも出てくるとみられる。かといって、そちらのリスクばかり気にしていると、マニフェストで公約した政策が実行できなくなってしまうため、難しい。そのため、今後半年は非常に重要な仕事になる。菅氏は、現状の景気を踏まえ成長重視はしているものの、むやみに財政赤字を膨らませると危険だという考え方は持っているとみられる。格下げはできるだけ避ける方向で議論を進めようとしていると推測される。

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