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企業再生支援機構、JAL再建で債権放棄3500億円要請=関係者

 1月6日、複数の関係者の話から、JALへの支援を検討している企業再生支援機構が3500億円の債権放棄を金融機関に打診したことが明らかに。写真は羽田空港で昨年12月に撮影(2010年 ロイター/Yuriko Nakao)

 [東京 6日 ロイター] 日本航空(JAL)9205.Tへの支援を検討している企業再生支援機構が、メーンシナリオとしている事前調整型の法的整理による再建案として、3500億円の債権放棄を金融機関に打診したことが、複数の関係者の話で6日に明らかになった。

 このほか社債やデリバティブ関連での債権カットを含めると、総額6000億─7000億円の金融関連損失を要請する形だ。同時に支援機構はJALに対して3000億円の出資を検討する。

 支援機構は、今月中にもJALが会社更生法の適用を申請すると同時に支援決定を行う方針。10月末に国土交通相直属のタスクフォースがまとめた私的整理による再建計画案では、債権放棄・債務の株式化による金融支援額として2500億円を提示していたが、今回これを上回る金額が金融機関側に示された格好。これに社債や、燃油・為替関連デリバティブの支払いに必要な支援額を加えると、最大7000億円となるとしている。債権放棄額3500億円のうち7割を日本政策投資銀行やみずほコーポレート銀行など主力取引銀行が負担する。

 巨額の金融支援が必要となる支援機構案に対して金融機関は反発しており、6日以降も金融機関と支援機構および国交省関係者による協議が続けられる見通し。ただ、金融機関の間でも政府に支援検討を一任された半官半民の再生ファンドである支援機構の意向はのまざるを得ないとの見方が出ている。今後は、どのように航空機の運航継続や安全性を担保するかなどの具体策が協議される見通し。国交省は支援機構に対して、運航継続に必要十分なつなぎ融資の供給について明確な方針を示すよう要請している。

 会社更生法の申請により、燃油取引などが現金決済となるため、6000億円程度のつなぎ融資が必要との試算もある。資金枠が最大1兆6000億円に限定される支援機構が、3000億円の出資に加えてつなぎ融資も全額供給すれば、他の企業再生に必要な資金枠が削られてしまうため、政投銀など金融機関に対して追加融資も要請したい考えだ。

 また辞任を表明している西松遥社長の後任として、最高経営責任者(CEO)を社外から招へいする方針。すでに候補者リストを作成しており、航空業界外の人材も検討している。

 支援機構による再建計画では、グループの売上高が2009年度実績見込みに対して10年度は10%減、11年度は5%減となっており、事業のスリム化を見込んでいる。米デルタ航空DAL.Nやアメリカン航空などとの提携については、盛り込んでいないのが特徴だ。羽田空港の発着枠拡大による権益取得を狙う米2社の今後の対応が注目される。政権内には国際線の全日本空輸9202.Tとの統合を望む声もあり、JALの国際線事業再編が再生計画の焦点として注目される可能性がありそうだ。

 (ロイターニュース 竹本能文記者、久保信博記者、布施太郎記者、Nathan Layne記者)

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