[東京 25日 ロイター] JR東海(東海旅客鉄道)9022.Tは25日、新幹線システムの海外輸出先について、米国を最有力候補として絞り込むと正式決定したと発表した。
都内で会見した米調査会社幹部は、新幹線システムを採用する公算がもっとも大きい路線としてフロリダ州のタンパ・オーランド・マイアミ間だと指摘。このほかロサンゼルス・ラスベガス間、テキサス州などいくつかの候補があるとして、これらの区間での事業化に向けて営業活動を本格化すると強調した。
同席したJR東海の葛西敬之会長は、欧州の高速鉄道システムが、高速専用鉄道と在来線の線路を併用するのに対して、日本の新幹線は在来線と独立した純粋な高速専用路線であるのが特徴と指摘。日本勢と競合するTGV技術の輸出を進めるフランス勢について「新幹線よりも車体の重いTGVは、在来線で貨物列車と衝突しても安全だなどとネガティブキャンペーンをする可能性がある」とし、在来線の併用が必要となる東海岸の大都市間路線でなく、更地に専用高速鉄道を敷設しやすいフロリダなどの売り込みを優先させる考えを示した。
JR東海は国内で実験中のリニアモーターカー技術についても対米輸出を本格化させる考えで、ボルチモア・ワシントンDC間、チャタヌーガ・アトランタ間、ペンシルバニア州などを候補地とするとしている。リニアは国内でも営業運転が始まっていないが、ドイツ勢などとの競争激化が見込まれ、今のうちから米国で受注活動を始める。
(ロイター日本語ニュース 竹本能文記者)