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日本国債格付け:識者はこうみる

 [東京 26日 ロイター] スタンダード&プアーズ(S&P)は26日、日本の外貨建て・自国通貨建ての長期ソブリン格付けのアウトルックを安定的からネガティブに変更した。市場関係者のコメントは以下の通り。

 1月26日、S&Pは日本の外貨建て・自国通貨建ての長期ソブリン格付けのアウトルックを安定的からネガティブに変更した。写真は25日、都内で撮影(2010年 ロイター/Yuriko Nakao)

●格下げ方向の見直し違和感ない

 <ドイツ証券 チーフ金利ストラテジスト 山下周氏>

 スタンダード&プアーズ(S&P)が日本の外貨建て・自国通貨建ての長期ソブリン格付けのアウトルックを安定的からネガティブに変更したことについては、足元で財政赤字が膨らんでいたこともあり、想定された範囲の内容だ。将来的な財政バランスの均衡について、政府は明確な数字を示しておらず、格下げ方向の見直しに違和感はない。

 債券売りの手掛かりになるかどうかは微妙だ。過去、日本国債の格下げで売られた局面でも、一巡後は国債利回りは低下している。国内投資家には、そうした過去が脳裏にあるのではないか。海外ファンドの売りには警戒が必要。為替が円安に振れれば、株高を経由して金利上昇圧力が増す可能性もある。

●リスク回避による円買いに疑問府

 <ドイツ証券 シニア為替ストラテジスト 深谷幸司氏>

 S&Pが日本国債のアウトルックを安定的からネガティブに変更したが、これまでリスク回避で円が買われてきたことにクエスチョン・マークがついた格好だ。投機的な円ロングが切らされて円売りになった。日本人がリスク回避で円を買うのはリパトリの意味から理解できるが、海外勢がリスク回避で円に逃げ込むのは無理がある。今後はリスクからの逃避先から円が脱落し、ドルに傾く可能性がある。

 アウトルックの引き下げによって日本のソブリン・リスクが意識されるかどうかだが、今は投機的な円買いポジションの売り戻しにとどまっている。日本国債が売られて円資産売り、円売りに発展する可能性は低いとみている。

●グローバルに財政問題テーマになりつつある

 <バークレイズキャピタル証券 チーフストラテジスト 森田長太郎氏> 

 スタンダード&プアーズが日本の外貨建て・自国通貨建ての長期ソブリン格付けのアウトルックを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。日本の経済政策の柔軟性が縮小しており、財政圧力・デフレ圧力を食い止める対策をとられなければ、格下げになる可能性があるとみており、今回のアウトルック変更はこの見解に基づいている。日本国債独自のファクターで言えば、過去格下げを受けた経験があるため、アウトルック変更のアクションだけで実際の資金フローとして逃避が起き、金利が跳ね上がることはないと思われる。ただ、この局面で、やや気になるとすれば、グローバルに財政の問題がテーマになりつつあるということで、世界的に長期金利が売られやすくなることが、まったくないわけではない。

●日本株に好材料とならず、中国引き締め政策の影響を注視

 <日興コーディアル証券 シニアストラテジスト 河田 剛氏>

 スタンダード&プアーズ(S&P)が日本の外貨建て・自国通貨建ての長期ソブリン格付けのアウトルックを安定的からネガティブに変更したことは、日本株にとって買い材料にならない。円売りに振れていることから日本株買いの可能性も指摘されるが、格下げになる可能性があることを考えれば買いではない。それ以上に中国の金融引き締めなど外部要因に振られる展開を想定している。中国の引き締めが米株式市場にどう影響するかを注視する。26日の米株価が持ちこたえ、日経平均株価が1万0300円付近で下げ止まれば、足元の下落局面は凌げるとみている。

●アウトルック変更、財政危機で格下げ警告

 <三井住友海上きらめき生命保険 経理財務部部長 堀川真一氏>

 日本の財政危機に対する厳しい見方を考えると、日本国債のアウトルックを安定的からネガティブに変更したことはある程度予想されたことだ。このまま財政赤字が増え続けると格下げになるという警告といえる。もっとも、日本国債に対する国内投資家の需要は当面磐石で、格下げされたとしてもAA格クラスを維持する可能性があり、アウトルック変更の影響はさほどないとみている。

 クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場においては、厳しい財政事情を織り込んで日本ソブリンのプレミアムはすでに高水準で推移している。

●海外勢の保有少なく円相場への影響軽微

 <JPモルガン・チェース銀行 チーフFXストラテジスト 佐々木融氏>

 アウトルック引き下げの報を受けて円相場は瞬間的に下落したが、影響は限定的と見る。日本国債の大半は日本の投資家が保有しており、見通しがネガティブとなったからといって日本国債を売却する向きが多くいるとは考えづらい。実際に将来的に格下げとなれば、日本の投資家の中にも日本国債を売却する必要の生じる向きが出始めるかもしれないが、格付け見通しもしくは格下げで実際に日本国債を売却し、日本円を売らなければならない投資家がどの程度いるだろうか。日本の国債市場に占める海外勢の保有比率は小さい。仮に日本国債から米債などへの乗り換えが一部で起こっても、為替市場全体の規模から見れば影響は限られるだろう。

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