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個人マネーは「エマージング」選好、短期的利益求め乗り換えも

 [東京 27日 ロイター] 個人マネーの投資商品として人気の投資信託で、「海外債券」型の投信に08年8月以来の高水準の資金が流入している。個人の注目を集めているのは「分配型」「エマージング」「ブラジル」だ。

 1月27日、個人マネーの投資商品として人気の投資信託で、「海外債券」型の投信に08年8月以来の高水準の資金が流入している。写真は昨年4月、都内の路上で(2010年 ロイター/Issei Kato)

 一方で、「海外株式」やREITなどに投資する「海外ハイブリッド」からの資金流出は著しく、全体では前月を上回る資金流出になっている。

 26日には海外の鉄道関連株に投資する「JPM世界鉄道関連株投信」が1139億円で設定されるなど、個人マネーが動意付いた感もあるが、こうしたファンドの設定資金はすべてが新規マネーではなく、大方が個人の商品乗り換えによる資金との見方もある。

 <追加型公募投信が50兆円割れ>

 野村総合研究所が算出しているNRI─FPIデータによると、年初から50兆円台を維持してきた追加型公募投信の残高(含むETF、新規投信は2カ月目から参入)が22日時点で、今年初めて50兆円を割り込んだ。資金の純流出額も1479億円となり、既に09年12月の純流出額を上回っている。

 ETF等を除いたベースでも、22日時点までに986億円が純流出し、前月の522億円の純流出を大きく上回っている。

 NRIのデータによると、資金流出が著しいカテゴリーは「海外株式」や「海外ハイブリッド」。「海外株式」からは22日時点で既に1846億円が流出。「海外ハイブリッド」からも1000億円を超える1194億円が流出した。「海外株式」カテゴリーからの資金流出は、09年5─6月を除き、傾向としては08年3月から続いている。「海外ハイブリッド」の資金流出は09年10月からだ。

 資金流出では常連の「日本株式」からは22日までに855億円が流出した。流出超は09年3月から続いている。

 一方、資金が流入しているのは「海外債券」で、22日までに2794億円が純流入した。同カテゴリーの資金動向は09年3月以降、傾向としてプラスに転じている。1月の純流入額は、22日時点で既に09年3月以降、流入額で最高額だった09年12月の2316億円を大きく上回っている。

 <資金流入の約7割は「エマージング」に、中でも人気は「ブラジル」>

 潤沢な個人マネーが流入している「海外債券」の内訳をみると、25日までに「エマージング」に1961億円、「アジア・オセアニア通貨建」に679億円が流入。個別ファンドでは、「野村エマージング債券投信(ブラジルレアルコース)毎月分配型(通貨選択型)」62007357JPに1334億円が純流入し、ダントツトップ。2位は「ブラジル・ボンド・オープン(毎月決算型)」62006866JPの411億円。3位は「SMBC・日興ニューワールド債券F(ブラジルレアル)」62007329JPで365億円──となっている。

 <先行きに不透明感、短期的利益追い乗り換えも>

 ただ同じ「海外債券」でも「野村新米国ハイ・イールド債券投信(ブラジルレアルコース)毎月分配型(通貨選択型)」62007044JPからは25日までに362億円が純流出し、流出額では1月最大。次いで「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」62002137JPからは306億円、「ダイワ・グローバル債券ファンド(毎月分配型)」からは136億円がそれぞれ純流出した。

 運用会社の営業担当者らからは、投信の分配金については個人は、年金等の補完の意味から、毎月幾ばくかでもお金が入るというスタンスで見る人もいれば、リーマンショックで元本が半分になる経験をした個人の中には、自分で資産を切り崩すことなく、分配金を元本の前払いとして少しずつ回収しているような感覚の人もいる。振り出された分配金を実際に使っているかというと、必ずしもそうではないが、入金される分配金を預貯金の利子感覚で見てしまう個人もいて、絶対額は多い方がよく、新商品の説明では、質問が分配はどのくらい出るのかということに終始してしまうこともある、といった声もある。

 「要は今もらっている分配額を減らさないようにしたいという思いがあったり、あるいは分配金が難しいなら、短期的にキャピタルゲインの狙える商品が欲しいというのがある。新規投信は、一般的に投資環境やテーマを見据えたうえで投入されるわけで、個人も納得して新しい商品を購入する傾向がある」(大手証券)といい、こうした背景が足元で投信の乗り換えを引き起こしている要因のひとつ、との見方が出ている。

 「景気がよければいいけど、よくなりそうもない」──証券会社のカウンターから立ち上がった72歳の男性は「本当はこういう時に投資しておくのがいい、ってよく言われる。でも先行きがわからないから、いまは手持ちの悪いものは処分して、いいものがあれば替えておこう、くらいだ」と語った。

 (ロイター日本語ニュース 岩崎成子記者)

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