for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

好調な中国経済が日本企業の収益サポート、競争は厳しく

 水野 文也記者

 1月29日、好調に推移する中国経済が日本企業の収益を下支えする要因となっている。写真は昨年12月、東京湾で貨物船に積み込まれるコンテナ(2010年 ロイター/Yuriko Nakao)

 [東京 29日 ロイター] 好調に推移する中国経済が日本企業の収益を下支えする要因となっている。3月期企業の第3四半期決算発表が本格化しているが、中国向けビジネスの伸長によって収益が上向く企業が目立ってきた。

 ただ、世界最大のマーケットは、最も厳しい競争が展開されている市場でもあり、今後の対応次第では中国ビジネスを展開する企業間で明暗を分けるケースが出てきそうだ。

 第2四半期以降、収益を回復させる企業が増加しているが、その多くが外需への依存度を高めている。中国をはじめとする新興国向けの売上高の伸びが貢献するケースが多い。とりわけ中国に関しては、市場関係者の間からも「内需の低迷から抜け出すのは容易ではない。中国を内需のカテゴリーとして捉えるのが、国内企業の成長に不可欠。決算では中国ビジネスの動向をチェックするのが重要だ」(中堅証券幹部)との声が出ている。

 実際、発表が本格化した第3四半期決算の内容をみると、直接的、間接的のいずれかで中国の需要増加が貢献している例が多い様子だ。29日にそろって決算を発表した大手海運3社もその1つだろう。

 商船三井9104.Tは2010年3月期の連結営業利益予想について、前年比93.4%減の130億円に上方修正(従来予想は100億円の黒字)と発表したが「中国の鉄鉱石や石炭輸送が活発化しており、ドライバルク市況が堅調に推移している。また、コンテナ船の運賃修復が進み、コスト増を吸収できる」(青砥修吾執行役員)という。

 燃料油高などの影響から通期予想を下方修正した日本郵船9101.Tも、中国向け輸送の好調から「予想以上にドライバルク市況が上向いた」(甲斐幹敏経営委員)ことを背景に、四半期ごとの連結営業利益は、4─6月期が255億円の赤字、7─9月期が115億円の赤字、10─12月期は50億円と4四半期ぶりに黒字に浮上している。

 29日の株式市場では、ファナック6954.Tが立会い時間中に、2010年3月期連結営業利益を従来の226億円から472億円に上方修正すると発表、逆行高を演じたのが目を引いた。収益を大きく上振れさせた要因として中国などアジア向け拡大が貢献したことが見逃せない。

 同社の第2四半期(7─9月)と第3四半期(10─12月)のアジア向け売上高は、FA部門が92億4100万円から112億1900万円に、ロボット部門が9億7200万円から19億3600万円に、ロボマシン部門が39億0200万円から97億4000万円にそれぞれ増加した。

 建設機械のコマツ6301.Tは、日米欧の需要減退や円高など悪材料がある中、中国・アジアの需要にけん引され四半期ベースでの業績は緩やかな回復局面に入りつつあり「ハードルは高い」(木下憲治専務)としつつも、2010年3月期の連結営業利益予想は前年比52.6%減の720億円通期の業績予想を据え置いた。

 完成品だけではなく市況関連企業からも「パラキシレンなどの石油化学製品は、中国の需要増などを背景に市況が堅調で、マージンが改善している」(新日本石油5001.Tの平井茂雄常務)といった声が出ている。

 半面、中国のおう盛な需要に乗り切れない例もあった。日立建機6305.Tは数量こそ伸ばしながらも、中国でのシェアを落とした。競争激化が影響したとみられている。同社の桑原信彦専務は「現在、中国向けはどれだけ上積みできるか見極めているが、競争が厳しくなっている。値上げしたら負ける状況で、計画していた値上げを取り止めたほど。中国は利益が出にくくなっている」と話していた。

 中国市場は疑いなく成長が見込まれるが、それと同時に世界から有力企業が参入。最も競争が厳しいマーケットとなっており、世界的に競争力がある企業でも楽観はできない。みずほ証券アジア・株式調査部長の小原篤次氏は「現地企業でも、低価格の製品、在庫処分や中古品など様々なキャッチアップが予想される。日本企業は高付加価値など市場のセグメントでどこまで対応できるのかがカギ」と話す。

 その上で「中国のインフラ需要が沿岸部から内陸部や農村部に広がった場合、技術的な優位性だけでは販売は拡大しない。価格、営業力、全国的なアフターケアなども不可欠。技術移転の決断までを含めた経営判断が重要になる」と指摘。こうした対応を誤れば現在は優位性に立っていても、やがてはそのポジションを保てなくなりそうな状況だ。

 他方、預金準備率の引き上げなど中国当局の金融引き締めの影響は、足元では出ていない。商船三井の青砥執行役員は「中国は鉄鉱石について国内産から輸入に切り替えていることがプラスに働く。引き締めが預金準備率の引き上げ程度にとどまり、強力な出口戦略でも取らない限り、影響はないとみている」と述べたほか、日立建機の桑原専務は「2月の春節明けの受注予約が好調で、表向きは影響が出ていない。ただ、来年度は慎重にみる必要がある」と語るなど、先行きを楽観できないとする声も広がりつつある。

 (ロイター日本語ニュース 編集 田巻 一彦)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up