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訂正:トヨタ株下げ止まらず、ブランドき損せず問題収束できるか焦点

 伊賀 大記記者

 2月3日、トヨタ自動車の株価が下げ止まらない。今後はブランドイメージを損なうことなく問題を収束させることができるかが焦点となる。国内のディーラーで撮影した看板(2010年 ロイター/Toru Hanai)

 [東京 3日 ロイター] トヨタ自動車7203.Tの株価が下げ止まらない。リコール問題が広がりをみせているほか、戦略車種のプリウスにも不具合に関する苦情が出ていることが明らかになった。

 株価の急落で値ごろ感も出ているが先行き不透明感を嫌気して買い手が乏しいという。今後はブランドイメージを損なうことなく問題を収束させることができるかが焦点だ。対応を損なえば日本企業の「象徴」ともいえるトヨタの問題だけに日本製品全体への信頼度がき損するおそれもあり、市場は慎重に事の推移を見守っている。

 <業績への影響度は依然不透明、ブランド維持がカギ>

 同社の年間生産台数に迫るリコール対象車数になりつつあるとはいえ、収益への影響は証券アナリストらの試算だと1000億円から2000億円程度。幅があるが2期前の2008年3月期には2兆円を超える営業利益を挙げていたトヨタの収益力からみれば、それほど大きい額ではない。

 ただ今回のリコール問題は部品を交換・修理しても終わりではない可能性があることが先行きの不透明感を強くしている。「日本の自動車メーカーは現地生産の際に地元企業の部品を使うことで現地国との摩擦を減らしてきたほか、部品を1社から大量に購入し複数の車種に採用することでコストを抑えてきた。今回の問題部品を作ったのが米国のCTS社で、トヨタ自身の技術力や製品の安全性には直接的に関係ないが、部品の共通化戦略を変更したり、安全性のチェック工程が増えたりすることで将来的なコスト増につながる可能性がある」(準大手証券ストラテジスト)という。

 さらに今後を占う最大のポイントはどこまで同社のブランドイメージを損ねる可能性があるかだ。1月の米自動車販売でトヨタの販売台数は16%減少(訂正)して10年超ぶりに10万台を割り込み、シェアは06年1月以来最低となった。

 前日会見を行った佐々木眞一副社長は「リコール対象車種の販売は発表後の1カ月は2割程度落ちる。今回(北米などでの販売は)もう少し落ちるだろう」と述べており、減少幅は「想定の範囲内」となっている。ただ「日本の消費者は車の外装や内装を重視するが米国人は走りや安全性を重視する。安全性が看板のトヨタブランドが傷つけば影響は小さくない」(準大手証券トレーダー)ともみられており今後の販売動向への懸念は小さくない。

 3日には同社の戦略車種であるハイブリッド車の新型プリウスのブレーキに関し、米国と日本のディーラーから数十件の苦情の報告を受けていることも明らかになった。オバマ米政権の当局者は2日、リコール問題で、米当局がトヨタ自動車に対し民事上の罰則を科すことを検討していると述べた。

 市場では「米GMなどの破たんの背景のひとつは日本の自動車メーカーの米進出があると考えている米国人も少なくない。07年の暖房機のリコールの際、CMなど大規模な対応をして評価を上げた松下電器(現パナソニック6752.T)と比べると対応に出遅れた感があり、不買運動などにつながることが懸念される」(国内証券トレーダー)との声が出ている。

 <アナリストからは長期的な投資チャンスとの声も>

 トヨタの3日株価は前日比205円安の3400円と安値引けとなった。市場では「トヨタには大口の売りが続いている。すべて約定したわけではなくキャンセルされた売りもあるようだ」(外資系証券トレーダー)との声が出ており、明日以降も大口売りが続く可能性があるため警戒が必要だ。

 ただ自動車担当アナリストなどからは、トヨタのリコール問題への初期対応に一定の評価が聞かれており、長期的な投資チャンスが訪れているとの指摘も出ている。

 UBS証券アナリストの吉田達生氏は「数百万台規模のリコールは他社でも発生したが、甚大な事態には至っていない。トヨタの対応策は今までのところ適切であり、トヨタだからこそできるマンパワーと資金をかけて対応している。株価も長期投資には入りやすい水準になってきている」と述べる。リコールの発表に時間がかかったのも問題の性質上やむをえないという。

 マネックス証券・チーフ・ストラテジストの羽賀誠氏はチャート的に3300円を割り込む可能性は低いとの見方を示す。「ドバイショックに揺れた昨年11月27日も3290円で踏みとどまった。一部報道によると10─12月期営業黒字を確保したもようであり、これはポジティブサプライズ。リコール問題がさらに拡大するようなことがなければ株価は持ち直しが期待できる」という。

 米下院の監視委員会は2月25日にトヨタのリコール問題と米運輸省道路交通安全局(NHTSA)の対応に関して公聴会を開く予定。UBSの吉田氏は「リコール隠しが判明するなど新たな事実が出なければ問題はないだろう。懸念はマスメディアなどの過剰なバッシングだ」と述べている。

 <日本企業の象徴、不信感の波及リスクも>

 日本を代表する企業の問題だけにマーケットでは悪影響の波及に対する懸念も出ている。3日の市場ではアイシン精機7259.Tなどトヨタ系部品メーカーが軒並み安。デンソー6902.Tは場中に業績予想を上方修正しながら終値は3%安となった。

 一方、日産自動車やホンダの株価は上昇。現時点では、波及の範囲は系列部品メーカーまでにとどまっており、日本の自動車株全体に及んでいるわけではない。「機関投資家の一部はトヨタから日産自動車やホンダにシフトする動きもみられる」(外資系証券トレーダー)という。

 ただ「日本の象徴のような企業であり、安全性が売りだった日本製品の信頼感に悪影響を与えるリスクがある。日本株のウエートを引き上げるか検討している海外投資家が多いなか、影響がないか懸念される」(みずほ証券エクイティストラテジストの瀬川剛氏)との指摘もあり、個別銘柄の問題とはかたずけられないとして市場関係者も事態の推移を注視している。

 (ロイター日本語ニュース 伊賀 大記記者 編集 橋本浩)

 *5段落目の「シェアは16%減少」を「販売台数は16%減少」に訂正します。

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