[東京 18日 ロイター] 経営再建中のウィルコム(東京都港区)は18日、会社更生法の適用を東京地裁に申請したと発表した。2009年12月末の負債総額は単体ベースで2060億円。
同時に、企業再生支援機構のほか、ソフトバンク9984.T、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズ(AP)の3つのスポンサー候補に支援要請したことを明らかにした。
昨年9月に申請した私的整理の事業再生ADR(裁判外紛争解決)は手続き終了が決定した。ウィルコムは、機構の支援を前提とする「事前調整(プレパッケージ)型」と呼ばれる法的整理の活用を目指す。機構の支援が決定すれば日本航空(JAL)9205.Tに続いて2例目。機構に対しては、主力行の三菱東京UFJ銀行とみずほコーポレート銀行と連名で支援の申し込みを行った。ソフトバンクとAPについては、機構と一体的な支援を要請している。
今後も、PHSサービスは従来どおりに継続して提供するが、出資金は100減資することで株主責任を問う。ウィルコムの資本金は50億円で、米投資ファンドのカーライル・グループ[CYL.UL]が60%、京セラ6971.Tが30%、KDDI9433.Tが10%を出資している。
一方で、一般の商取引に伴う債権は全額を保護する。ただ、大株主の京セラとの取引は例外となる予定で、ウィルコムに端末を納入している京セラは同日、ウィルコム向けの売掛債権153億5000万円に取り立て不能の恐れが生じたと発表した。
ウィルコムは旧DDIポケットを前身とする国内唯一のPHS事業者で1月末の加入者は約432万人。JALの会長に就任した稲盛和夫京セラ名誉会長が、取締役最高顧問を務めている。
記者会見したウィルコムの久保田幸雄社長は「こうした事態に至ったことに責任を感じる」とし、同日付で、稲盛最高顧問を含め、取締役の全員が辞表を提出したことを明らかにした。今後、ウィルコムは更生計画を策定していくが、久保田社長は管財人に就任する見込み。ソフトバンクへの支援の中身については「今後の更生計画の中で具体的な中身を詰めていくことになる」とだけ話した。
(ロイター日本語ニュース 村井 令二)