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輸出はアジア・中国向け中心に増勢、トヨタ問題波及に警戒

 [東京 24日 ロイター] 1月貿易統計ではアジア・中国向け輸出の拡大が押し上げに寄与し、足元で輸出増勢が続いていることを示した。ただ、トヨタ自動車7203.Tのリコール問題が今後の日本の輸出にどう影響していくかは未知数。

 2月24日、1月貿易統計ではアジア・中国向け輸出の増勢が続いていることが示されたが、トヨタのリコール問題が今後の日本の輸出に波及することへの警戒感も出ている。写真はトヨタ車のアクセルペダルの部品とフロアマット。トロントで22日撮影(2010年 ロイター/Mike Cassese)

 自動車産業は裾野が広く、日本の輸出に占めるウエートが高いだけに懸念する声が強まりつつある。 

 <中国・アジア向け輸出の増勢続く>

  1月の対世界輸出額は前年比プラス40.9%。伸び率は1980年2月(前年比プラス48.9%)以来の高さで、過去3番目の高水準となった。輸出を地域別にみると、米国向けが前年比プラス24.2%で、増加は07年8月以来、2年5カ月ぶり。アジア向けが前年比プラス68.1%、中国向けが前年比プライ79.9%だった。中国向けは1985年8月(前年比プラス81.3%)以来の高い伸び。欧州連合(EU)向けも前年比プラス11.1%となり、2カ月連続の増加。一方、中東、中東欧・ロシア等向けでは前年比マイナスが続いているが、減少幅は1けた台に縮小している。 

 農林中金総合研究所・主任研究員の南武志氏は「中国などアジア新興国の堅調さにけん引される格好で、わが国の輸出は持ち直しを続けている。今回の輸出前年比の高い伸びについては、前年1─2月あたりが最悪期だったことも手伝って、前年比の伸び率は大きく加速している点に留意する必要がある。また、春節の日付(09年は1月下旬)といった不規則要因も考慮した方がよいが、中国経済の底堅さそのものは素直に評価すべき」と指摘した。

 日銀の景気判断で判断要素となる実質輸出入速報値(季節調整済み)によると、実質輸出は急回復した昨年4─6月期から徐々に伸び率が鈍化している。ただ、エコノミストの間では「海外景気の回復を背景とする輸出の高い伸びが景気をけん引する」(第一生命経済研究所・主任エコノミストの新家義貴氏)、「アジア主導の輸出回復が地域的な広がりを見せており、輸出数量は安定的に増加傾向を示す」(クレディ・アグリコル証券・エコノミストの佐藤芳郎氏)──などの見方が主流になっている。 

 <自動車輸出額の増加幅が拡大、リコール問題で2月以降に懸念の声> 

 1月の輸出動向を品目別にみると、自動車(前年比プラス59.2%)、半導体等電子部品(同プラス83.1%)、自動車の部分品(同プラス89.6%)などが輸出の前年比押し上げに寄与した。自動車は米国向けの排気量3000cc超、オーストラリア、中国向けの2000─3000ccの乗用車などの増加が目立つ。半導体等電子部品は中国、香港向けのICやシンガポール向けのDRAM、台湾向けのメモリ部品が寄与。自動車部品は中国、米国、タイ向けのギアボックスなどが増加した。鉄鋼は2008年11月以来となる前年比プラスに転じた。

 日本の輸出に大きなウエートを占める自動車輸出は足元で回復しているものの、トヨタのリコール問題が2月以降の輸出および日本経済にどの程度影響を与えるか、リスク要因として懸念されている。

 貿易統計に関し、財務省幹部は「トヨタのリコール問題がどう影響していくかが懸念材料」との認識を示した。1月の貿易統計の数字上「(トヨタのリコール問題が)大きく効いているかどうか、われわれの分析ではそこまでは言えない」としながら、「少なくとも今後2月、3月と当面の足元の貿易額の推移を見ていく時に、やはり注視していかなければいけない」と述べた。財務省によると、1月の米国向け自動車輸出額は1851億円と、昨年12月(2398億円)、11月(2741億円)から減少している。政府が23日に発表した2月月例経済報告でも、輸出項目の判断はアジア向け鈍化や自動車のリコール問題を背景に下方修正された。 

 民間エコノミストや市場関係者の間では「現時点でトヨタ問題のマグニチュードを測定するのは困難」(国内シンクタンク)との指摘が多いが、「米国向けに関しては、トヨタ車の現地での販売減少に加え、一部現地工場で2月末から生産が一時停止となるため、日本からの自動車・同部品輸出に対しても影響が広がる可能性がある」(三菱UFJ証券・シニア債券ストラテジストの戸内修自氏)と懸念する声も出ている。

 (ロイターニュース 武田晃子 編集;田巻 一彦)

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