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チリ地震で銅価格急騰、ソブリンリスクの下落要因と綱引き

 [東京 1日 ロイター] チリ大地震を受けて銅価格が急騰した。世界最大の産出国であるだけに、地震の影響が長期化した場合に産出量が減少するとの思惑が先行し、コモディティ市場では銅が買い進まれている。

 3月1日、チリ大地震を受けて銅の産出量が減少するとの思惑が先行し、コモディティ市場では銅が買い進まれている。写真はChuquicamata鉱山の銅精錬施設で1月撮影(2010年 ロイター)

 ただ、鉱山の操業停止などの影響が軽微であることがわかってきた場合、銅の値上がりは短期的現象にとどまるとの見方も出ている。ギリシャ問題などソブリン・リスクの台頭から、商品相場でもリスクマネーの流出が意識されているだけに、地震の影響とリスク回避のどちらの要素が商品市場に影響を与えるのか、見方はまだ定まっていない。

 <アジア時間に銅価格上昇>

 チリ中部で2月27日未明(日本時間同日午後)に発生したマグニチュード8.8の大地震の影響で、世界最大の産銅会社、チリ銅公団(コデルコ)の主要鉱山2カ所が操業停止に追い込まれた。

 週明け1日のアジア時間の取引で、銅相場に買いが先行。NYMEXの銅5月限はアジア時間の時間外取引で、薄商いながら前日比5%近く上昇。上海取引所の銅先物は0100GMT(日本時間午前10時)の取引開始とともに値幅制限いっぱいの5%高で1トン=6万1050元(8944ドル)をつけた。 ロンドン金属取引所(LME)銅先物は405ドル、5.6%上昇し1トン=7600ドルを付けている。

 一方、1日の東京株式市場では非鉄株がしっかり。銅市況の上昇によって収益にメリットが生じるとの見方から三菱マテリアル5711.Tや住友金属鉱山5713.T、DOWAホールディングス5714.Tなどが買い優勢で始まった。

 直近の銅市況は年初に08年8月以来の高値を付けた後、チリでのスト終結による供給不安の後退、ソブリン・リスクの懸念などから2割近い値幅調整を演じていたものの、おう盛な中国の需要などを背景に調整を脱した局面となっている。そうした中で、再びチリから供給不安を感じさせる材料が発生した格好。「買い材料だった中国の需要について、同国の引き締め策の影響を見極めようとするムードがあったが、こうした足元のモヤモヤを払う材料となり強気のセンチメントに傾いた」(商品系商品先物取引会社のトレーダー)という。

 <操業停止の期間がポイントに>

 ただ、銅のマーケットが買い一色となる中、慎重な見方も少なくない。チリはもともと世界でも有数の地震国であり「復興が比較的早いとみられる。足元では銅価格は上昇するのは間違いないだろうが、あくまでもポイントは鉱山の操業次第となりそうだ」(三菱商事フューチャーズ証券・調査室室長の菅田修司氏)との声が出ていた。

 コルデコで操業を中断している銅鉱山はエル・テニエンテとアンディナの2カ所で、地震後の停電によって操業が困難になっているものの、深刻な被害は受けていないとされ、チリのゴンザレス鉱業相は銅輸出への影響はないと述べている。

 また、英アングロ・アメリカンAAL.Lでは、エル・ソルダード鉱山とロス・ブロンセス鉱山が操業を中断しているが、他の主要鉱山は通常通り操業を続けているという。今回の大地震が起きたのはチリ中部で、チリの主要鉱山の多くはチリ北部に位置していることも、復興が早いのと見方につながった。

 大和総研・投資調査部シニアストラテジストの山田雪乃氏は「銅市況に調整一巡感が台頭し、需給にひっ迫感で出始めた段階で飛び出した材料だけに、価格上昇の材料になるが、早い段階で操業が再開されれば、短期的な買い材料にとどまる可能性もある」とした上で「先行き高値圏で中国の銅購入意欲が抑制されるとみられる一方、操業停止による供給不安が長期化するかどうか見極めたい」と指摘する。

 三菱商事フューチャーズ証券の菅谷氏は「商品市況全般で、マネーの流れに最も大きな影響を及ぼすのはソブリン・リスク。今回の地震はリスクマネーを刺激するきっかけになったが、トレンドを転換するまでには至らないのではないか」と分析するなど、マーケット関係者の間で当面の銅市況は、鉱山の操業再開時期がポイントになると注目されている。

(水野 文也記者 ;編集 田巻 一彦)

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