[東京 17日 ロイター] 会社更生手続き中の日本航空(JAL)の稲盛和夫会長は17日、「社内に商売人感覚や企業家精神をもった人があまりに少ない」と指摘。企業再生支援機構から会長就任を打診されたときと比べ再建は「容易ならぬことだと厳しい見方に変った」と述べた。
都内本社での定例会見で、2月1日の就任から1カ月強経過した感想として述べた。
稲盛会長は、JAL社員について、「中堅以下の人は苦しい環境で非常にがんばっており、私が励まされる」と評価。一方、役員など幹部は「損益ベースに考える人があまりにも少なく、今の考え方では八百屋の経営も難しい」という。稲盛会長は京セラ6971.Tで、小集団ごとに独立採算制を採る「アメーバ経営」の提唱者として知られるが、JALではアメーバ経営の採用以前に、「どこの企業でもやっている採算の管理を行うことが大切」と酷評した。
JALは赤字が続いているが、「秋口まで単月で黒字転換しないと主取引銀行などから融資を受けるのが難しい」(稲盛会長)として人員削減を含むリストラを進める。同社は16日グループ社員の5%に相当する2700人の早期退職による人員削減計画を公表しているが、路線の縮小・減便などで「削減幅が広がる可能性もある」(大西賢社長)。
国際線については、「国内線よりも売り上げは多く、やめてはJALの存在意義はない」(稲盛会長)と撤退しない考えを再度表明した。