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ギリシャ支援策、ECBの限界が浮き彫りに

 [フランクフルト 26日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)が、ギリシャ支援策をめぐり180度の方針転換を迫られた。市場では、欧州の経済運営でECBの力に限界があることが浮き彫りになったとの見方が出ている。

 3月26日、ギリシャ支援策をめぐり欧州の経済運営でECBの力に限界があることが浮き彫りになったとの見方が出ている。写真は記者会見するトリシェ総裁の右手。4日撮影(2010年 ロイター/Johannes Eisele)

 ECBは、ギリシャ支援をめぐり、資金供給オペの担保条件緩和と、支援策への国際通貨基金(IMF)関与という2つの譲歩を迫られた。

 IMFは沈黙を守っているが、支援策を発動する場合、ECBの独立性をどう守るかが大きな問題となる。

 ドイツ銀行のエコノミスト、マーク・ウォール氏は「IMFの支援には、金融面の助言が盛り込まれることが多い。このため、IMFの関与でECBの独立性が脅かされるとの懸念が浮上している可能性がある」と述べた。

 ECBはこれまで、ユーロ圏の金融危機対応で主導権を握ってきたが、25日のユーロ圏首脳会議では、ECBが反対していたIMFの関与を盛り込んだギリシャ支援策が決まった。

 支援策の決定直前には、事実上のギリシャ支援措置となる資金供給オペの担保条件緩和も表明。トリシェ総裁は2カ月前、ギリシャは特別扱いを期待すべきではないと主張していた。

 ゴールドマン・サックスのエコノミスト、ダーク・シューマッハー氏は「首脳会議でいったん決まってしまえば、ECBは『善処する』としか言いようがない。決定事項を阻止することはできない」と述べた。 

 <平静を装うECB> 

 ECB内では、IMFのチーフエコノミストが出口戦略を緩やかなものにするため、インフレ率を4%前後に設定すべきだと主張したことを受け、すでにIMF批判がくすぶっていた。

 次期ECB副総裁のコンスタンシオ・ポルトガル中銀総裁は26日、IMFの支援は「不要」と主張したが、他のECB当局者は平静を装っている。

 ビーニ・スマギ専務理事は、IMFの関与は理想的ではないが、それが「政治の現実」だと発言。「我々は、次善の策が一番現実的という世界に住んでいる」と述べた。

 トリシェ総裁も「ユーロ圏諸国の政府が、有効な解決策を見出したことを非常に喜ばしく思う」とし、「今回の有効な解決策により、ユーロ圏各国の政府が責任を維持するということが、決定的に重要だと考えている」と述べた。

 総裁は3月4日の会見では、IMFによる支援に否定的な見方を示していたが、今回の首脳会議直前に収録された仏テレビとのインタビューでは、IMFが政府の権限を侵害するのは望ましくないとしながらも、IMF関与への反対は明言しなかった。  

 <面目を保ったECB> 

 エコノミストの間では、トリシェ総裁は事前に方針を微調整することで面目を保った、との指摘が出ている。

 あるエコノミストは「総裁はIMF抜きの支援策を前提にしていたため、どちらかといえば、全体の協議の蚊帳の外に置かれていた。支援策にIMFが関与したということは、総裁が争いに負けたことを意味する」と指摘。

 「総裁が支援策を歓迎したのは、コンセンサスはないよりあるほうが良いと判断したからだろう」と述べた。 

 今回は通常のケースに比べ、IMFの関与がはるかに限定的だとの指摘もある。

 ソシエテ・ジェネラルのジェームズ・ニクソン氏は「ギリシャ支援策は、IMFの標準的な救済策とはいえない。基本的には、欧州諸国による救済策だ。このため、トリシェ総裁も歓迎の意向を表明しやすかっただろう」と述べた。 

 金融政策への影響については、ECBの出口戦略には影響せず、今年後半の利上げという市場予想にも変更はないとの見方が多い。

 ドイツ銀行のウォール氏は、資金供給オペを以前の金利入札方式に段階的に戻していくことで、担保基準緩和による金融緩和効果が相殺される可能性があると指摘。

 ただ「利上げはまだ先で、金利変更への影響はないだろう」との見方を示した。

(Krista Hughes記者;翻訳 深滝壱哉 編集 宮崎亜巳)

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