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米株安で株売り先行、米財務長官の訪中に思惑も

 [東京 8日 ロイター] 8日の東京市場は、外為や円債市場が小動きの中、株式市場は米株安を背景に反落している。2月機械受注が予想比で弱かったことも利食い売りの材料にされている。

 4月8日、ガイトナー米財務長官(写真)が中国副首相と会談する予定で、人民元切り上げ問題の行方にどのような影響が出てくるのか、市場の関心が次第に高まってきている。3月撮影(2010年 ロイター/Jonathan Ernst)

 ガイトナー米財務長官が8日に王岐山中国副首相と会談する予定で、人民元切り上げ問題の行方にどのような影響が出てくるのか、市場の関心が次第に高まってきている。

 <機械受注発表受け、国内株に利益確定売り>

 株式市場では日経平均が反落している。米国株安と外為市場での円高に加え、8日午前に発表された2月機械受注が予想を下回ったことが嫌気され、短期筋を中心に利益確定売りが先行した。「欧州勢から銀行株買いが継続しているものの、海外勢は全般に売り先行となっている。機械受注の発表と同時にシンガポールの日経平均先物に売りが出てムードを悪化させた。ギリシャの財政問題なども上値圧迫要因だ」(東海東京証券・エクイティ部部長の倉持宏朗氏)との声が出ている。

 内閣府が8日に発表した2月機械受注によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、前月比5.4%減となった。2カ月連続の減少となりロイターの事前予測調査3.7%増を下回った。株式市場は企業収益の回復が設備投資や雇用の増加につながり、消費を回復させるという好循環のメカニズムを織り込んで上昇してきたが、今回の統計でその流れが変わったとみる関係者は少ない。株価には短期的に過熱感が出ていたこともあり「利益確定売りのきっかけとなった。東京市場は調整局面で、これから良いニュースが出ても反発はあまり期待できず、もみあいが続くだろう。ただ、テクニカル上の調整に過ぎず、堅調地合いに変わりはない。目先の調整のレベルは、日経平均で1万0800円ぐらいではないか」(東京海上アセットマネジメント投信・シニアファンドマネージャーの久保健一氏)との見方が出ている。

 白川方明日銀総裁が前日、金融政策決定会合後の記者会見で景気に対する強気な姿勢を

示したことについては「株式市場で特段悪材料となっていない。短観などから景気認識が強くなるというのは予想されていたことであり、想定範囲内の強めのトーンだった」(みずほ証券・エクイティストラテジストの瀬川剛氏)という。瀬川氏は「市場心理を圧迫しているのは、ギリシャ問題が再び浮上していることだ。ギリシャ政府高官の話として、欧州連合(EU)が3月に合意した国際通貨基金(IMF)が関与するギリシャ支援の枠組みについて、IMFからの財政支援を回避する内容に修正することを望んでいると一部で報道されたことで、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)スプレッドなどが拡大した。IMFとの支援の枠組みが覆されることはないとは思うが、日米株式市場ともに過熱感があったため利益確定売りのきっかけになった」と話している。

 <ドル/円は93円台でこう着>

 ドル/円JPY=は93円前半で小幅なレンジ取引。米長期金利の低下やユーロ/円EURJPY=の下げを受けて上値が重かった一方、93円前後に買いが入っていることから下値も攻めきれずにもみあった。市場では、人民元の切り上げの行方を占ううえで、きょう8日に北京で予定されているガイトナー米財務長官と中国の王岐山副首相との会談が話題になっている。

 ドル/円の午前11時までの上下値幅は93.17─93.45円の28銭。米長期金利の低下や、ギリシャ問題をにらんだユーロ/円の軟調地合いを受けてドル/円も緩やかに下落した。しかし、下値では押し目買いも出て売り買いが交錯。「93円前後にはドル買いがあり、92円台でも買い興味が強い。上値の重さから売りは出てくるだろうが、買いをこなしながらの下げになるとみており、下落ピッチは緩やかだろう」(クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクター、斉藤裕司氏)との声が上がった。 

 <FRBはハト派寄りの情報発信で金利上昇をけん制> 

 バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は7日、米経済は依然として逆風に直面していると指摘。住宅セクターはまだ回復しておらず、労働市場も低迷しているとし、利上げ開始を急がない姿勢をにじませた。 市場では「このところのFRBの情報発信はハト派に片寄っている。長期金利が4%を付けるような金利の上昇をけん制する意図があるのだろう」(みずほコーポレート銀行マーケット・アナリスト、唐鎌大輔氏)との声が上がっている。唐鎌氏は、6日に発表された3月16日分のFOMC議事録にすでにそうした意向がみえると指摘。「議事録を受けて10年米国債入札は好調になると予想していたが、想定通りだ。これがドル/円の売りにもつながっている」(唐鎌氏)としている。210億ドルの新発10年債(リオープン=銘柄統合)の応札倍率は3.72倍と好調で、10年債利回りは6日の3.95%付近から3.86%付近まで低下した。一方で、米カンザスシティー地区連銀のホーニグ総裁は金利を約1%に引き上げることが可能との見解を示し、利上げ懸念が米国株式市場の下げにつながった。ただ、市場では、こうした意見はFOMCのなかで多数派になっていないとの見方が多い。

 <人民元切り上げの行方にらみ、米財務長官・中国副首相会談に注目> 

 ガイトナー米財務長官・王岐山中国副首相の会談は、メディアに非公開で行われるが「人民元切り上げに向けた内容がもれ伝わってくるようならドル/円の売り材料になりそうだ」(国内金融機関)との声が上がっている。J.P.モルガン・チェース銀行債券為替調査部長、佐々木融氏は「米為替報告書の発表延期から人民元切り上げに向けた動きが煮詰まってきており、秒読み段階に入ってきた。ドル/円のポジションがロングに傾いており、もし切り上げの兆しが出るようなら巻き戻しを誘発しそうだ」としている。

 市場で「人民元の上昇を押さえるための人民元売り/ドル買い介入は金融緩和効果を持つため、中国の為替政策は金融政策とワンセットで考える必要がある」(邦銀)との声が出る中、中国人民銀行(中央銀行)は8日、150億元(22億ドル)の3年物手形入札を2.75%の利回りで実施した。これは市場予想の約2.7%を若干上回る水準となる。モルガン・チェースは8日付リポートで「手形入札の期間延長(現在は3カ月物と1年物の入札が行われている)は、金融政策正常化に向けた人民銀行のスタンスがより積極的になっていることを示唆するものであり、人民銀行が今月中にも利上げに踏み切るとのわれわれの見方をサポートする」としている。

 <銀行勢が外債残高減らした可能性>

 円債市場では、予想外の減少となった2月機械受注を受けて国債先物が買われた。一方で活発な債券売買が手控えられる状況が続いており「主戦場が、ボラタイルな値動きを続ける海外債券市場に移っている」(国内金融機関)との声も出ている。邦銀の運用担当者は、国債先物取引について「中心限月の取引量は膨らまず、方向感に乏しかった」と話した。外資系証券の債券ディーラーは「参加者の目が海外市場に向いており、日本独自のテーマで相場が動意付くような雰囲気でもなくなってきた」と話した。

 財務省が朝方公表した対外及び対内証券売買契約等の状況(週次・指定報告機関ベース)によると、3月28日―4月3日の対外証券投資は、中長期債が4017億円の取得超だった。海外金利が上昇する中、生命保険会社の運用資金のほか、投資信託を経由して個人マネーが海外に向かったとみられる。一方で「米雇用統計前にポジションを落とす動きがあった」(市場筋)との指摘もあり、銀行勢は外債残高を減らした公算が大きいという。  

 (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦 ;編集 吉瀬邦彦)

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