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インタビュー:人民元切り上げ、中国企業も3%想定=みずほ証

 [東京 12日 ロイター] 中国が今週にも人民元切り上げを実施するとの見通しが広がっている。みずほ証券アジア・エグゼクティブ・ディレクターの小原篤次氏は、中国が大幅な人民元切り上げや通貨制度変更などの大ナタを振るうことは困難だが、対ドルで現行0.5%の変動幅を3%程度に拡大するマイナーチェンジは、米中両国にとって都合の良いタイミングで近々実施される可能性が高いと予想する。  

 4月12日、みずほ証券アジア・エグゼクティブ・ディレクターの小原氏は、中国が人民元の変動幅を3%程度に拡大するマイナーチェンジは近々実施される可能性が高いと予想する。写真は瀋陽の銀行で人民元紙幣を積み上げる銀行員。9日撮影(2010年 ロイター/Sheng Li)

 ――人民元切り上げのタイミングをどうみるか。 

 中国税関総署が10日発表した3月の貿易統計では、貿易収支が約6年ぶりの赤字となった。国内需要の拡大が背景だが、15日発表の第1・四半期GDPや物価指標でもインフレ圧力が強いことが確認されそうだ。 

 対ドルで3%程度の小幅な人民元切り上げは、早ければ15日午後にもありうるとみている。中国の輸出業者団体は、既に3%の切り上げを前提にストレス・テストを実施しており、中国大手通信機器メーカーは3%の切り上げの影響を即答できる体制にあることをみても、輸出業界では3%の切り上げでコンセンサスが形成されている。  

 ただ、マクロ経済的に見て、3%程度の切り上げでは実体経済に影響はない。市場の失望感を生まないために、あえて発表を避け、対ドル変動幅を事実上拡大するという方法も考えうる。一方、16日には中国で株価指数先物取引が開始されるため、市場の関心が分散され、失望感が軽減されるかもしれない。

 人民元の一日の変動幅は2005年7月21日に対ドルで0.3%とし、2007年5月21日に0.5%に拡大した。その他の通貨は2005年7月時点で、3%としているため、この水準に合わせる選択肢が現実味を帯びる。

 切り上げ実施や変動幅拡大だけであれば、制度変更の必要はないが、国内でよりセンシティブな切り上げ幅については3%を基本としながら、内外の経済情勢も見極めながら実施されるだろう。

 ――中国の金融政策と通貨政策の関連は。

 中国の金融政策の主流は窓口指導だ。国内金利さえ市場化していない段階で、為替の柔軟化は時期が早すぎることは、経済学やアジア通貨危機の教訓からも明らかだ。国内短期金融市場が未整備である状況では、人民元を機動的かつ大幅に変動させることは難しいだろう。

 また、中国経済の最大の懸念はインフレだ。まずは金融引き締め政策などインフレ対策の実施が重視される。窓口指導のほか、預金準備率の引き上げが実施しやすい。中国では準備預金に付利する制度をとっているため、金融機関の預金準備率を引き上げても金融機関の業績への影響は少ない。

 さらに貸出金利の引き上げの可能性もある。1年物貸出基準金利は、2008年12月23日から5.31%のままだ。引き上げれば2007年12月21日以来、2年3カ月ぶりとなる。これら金融政策と合わせて、副次的に、輸入物価の引き下げ効果がある人民元切り上げも実施しやすい経済環境にある。

 ――プラザ合意当時の日本と現在の中国の相違点は。

 プラザ合意(1985年)前の米国は、現在と同様に失業率が2ケタに達し、財政赤字が累積していた。そこで、米国は黒字国(日本とドイツ)にバーダン・シェアリング(痛み分け)を求め、対ドルで安い水準にあった円やドイツマルクが大幅に切り上がった。

 当時と同様に、米国は現在、高失業率と財政赤字に苦しんでいるが、当時との比較で、米国の国力は弱っており、中国になおさらバーダン・シェアリングを求めたいところだろう。

 ただ、1980年代半ばの日本は既に主要五カ国(G5)の枠組みに入っており、円ドル委員会などベースに資本勘定の自由化を進めていた。

 一方、現在の中国はそのレベルに全く至っていない。人民元建て貿易決済を昨年認めたばかりだ。

 リーマンショッ以降、党主導で目覚ましい経済成長を遂げているものの、沿海部と地方の農村部は、経済面、福祉面であたかも別の国のような格差が存在し、金融市場も制度が整っていない。

 こうした状況を踏まえれば、現時点で、政治・経済的に実現可能な選択肢とは、米中両国にとって良いタイミングで、人民元変動幅を対ドルで3%程度に拡大することを発表、または発表なしで実施することだろう。

 (ロイター 森佳子記者)※(yoshiko.mori@thomsonreuters.com;03-6441-1877;ロイターメッセージング:yoshiko.mori.reuters.com@reuters.net)

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