[東京 3日 ロイター] 財務省が3日発表した2010年1─3月期の法人企業統計(金融業・保険業を除く)によると、売上・経常利益ともに前年比で増加した一方で、設備投資は2ケタの減少が続いており、企業が先行き不透明感から投資姿勢に慎重な姿勢を崩していないことが明らかとなった。
財務省では「全産業の売上高は9期ぶりに増収、経常利益も2期連続で大幅増加となり業況の改善が続いているが、設備投資は依然として厳しさが残っている」と総括した。
設備投資額(ソフトウエアを含む)は全産業で前年比11.5%減となり、12期連続で減少した。減少幅は徐々に縮小しているものの、2ケタの減少。内訳をみると、製造業の設備投資額は前年比31.2%減で7期連続の減少。主要業種で増加したのは石油・石炭のみ。輸送用機械やはん用機械などでは、需要の減少に加えて先行きの不透明感から投資を抑制しているという。
非製造業は0.4%増で12期ぶり増加。増加したのは建設業や不動産業、卸売業・小売業など。一方でサービス業では広告需要の不透明感から、また運輸業では航空会社や空港で投資を抑制しているという。
ソフトウエアを除く設備投資額(季節調整済み)でみると、全産業で前期比2.6%減となった。
売上高は前年比10.6%増となり、9期ぶりの増収となった。製造業をみると、情報通信業で半導体需要が増加、石油・石炭では中国向けの輸出が増加した。非製造業でも卸売業が資源価格上昇で商社の売上が増加、サービス業では医療・福祉関連が増収となった。
経常利益は前年比163.8%増となり、2期連続で増益となった。売上増が寄与した面もあるが、コスト削減効果も大きいという。
法人企業統計は四半期ごとに調査が行われ、資本金1000万円以上の法人企業が対象。ただし、金融・保険業は除外している。
(ロイター日本語ニュース 中川泉記者)