[ワシントン 9日 ロイター] 世界銀行は9日、欧州債務危機で世界経済の回復ペースは遅れるとみられるものの、現段階では発展途上国の成長にさほど影響していないとの認識を示した。
世界銀行は、世界経済見通しに関する本年度の報告のなかで、先進国は途上国の強い成長が提供する機会を活用するべきと指摘。これまでのところ途上国の金融状況への欧州危機の影響は限定的だとした。
ただ、ソブリン債をめぐる問題の長期化は信用コストを押し上げ、途上国の成長や投資を抑制する可能性があると警告した。
現在のデータによると、3月末の時点で多くの国が力強い景気回復を維持する一方、西欧諸国は例外的に景気が停滞しているとした。
世銀のエコノミスト、アンドリュー・バーンズ氏は「危機は峠を越え、現在われわれは所得水準の高い国々の財政政策を持続可能な水準に戻すという、長期的課題に取り組みつつある」との認識を示した。
世銀は、2010―12年の途上国の年間成長率が5.7―6.2%になると予想。
先進国の10年の成長率予想は2.1―2.3%で、09年の3.3%のマイナス成長を相殺するには至らないとみている。11年については1.9―2.4%のプラス成長を見込んでいる。
10・11年の世界全体の成長率はともに3.3%のプラス成長になる公算が大きいとしている。