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戻り相場で蚊帳の外の第一生命株、需給悪化が重石に

 水野 文也記者

 6月22日、第一生命保険株が連日の最安値更新、相場全般が戻りに転じる中で蚊帳の外に置かれている。写真は3月、都内で撮影した同社ロゴ(2010年 ロイター/Yuriko Nakao)

 [東京 22日 ロイター] 第一生命保険8750.T株が連日の最安値更新、相場全般が戻りに転じる中で蚊帳の外に置かれている。鳴り物入りで上場した際には個人投資家の株式売買を活性化させるとの見方があったものの、3カ月近く経過した現時点でその期待は空振りに終わったと言わざるを得ない。

 下げ局面において信用買い残が増加傾向にあるなど需給悪化が重石となっており、反騰のきっかけをつかみ切れない状況だ。

 第一生命が4月1日に上場して以降、株価や人気面で見せ場があったのは「5月31日にTOPIXに組み入れられることに伴い、パッシブ型ファンドから約700億円程度と試算されたリバランス需要が発生するという需給材料があった場面のみ。その後は明確な買い材料が見当たらない一方、欧州債務問題を背景にした金融株全体の不振から調整を余儀なくされてきた」(中堅証券情報担当者)という。需給面でサポートする材料がなくなった6月に入ってから、日経平均が二番底探りで急落した7日に売り出し価格の14万円を割り込み、その後は一度もその水準を上回ることなく推移している。

 株価不振の理由として市場では、金融株全体に対する不安が残っているほか「ここにきては人民元切り上げを背景に中国関連ビジネスに人気が集まる中、人気になりにくくなっている」(丸三証券・副社長の水野善四郎氏)との声が出ていた。戻りが鈍い同社株を売って、別の銘柄に乗り換える動きが活発化しているとの指摘もある。さらに「いずれ公募増資などファイナンスを実施するとの思惑が強い点も見送りの要因になっている」(準大手証券幹部)という。

 上場前には、百万人単位で新規の株主が誕生、これによって業界全体では「株ブーム」の再燃を期待するムードもあったものの「上場後の株価低迷からもくろみがはずれた格好。逆に、4月以降のマーケットで個人投資家の投資マインドが冷え込み参加者が減っていることを、第一生命の株価が象徴しているようでもある」(コスモ証券・投資情報部副部長の清水三津雄氏)との見方も出ていた。

 22日の株式市場で、第一生命は4日続落。この日は銀行株が戻りに転じる中、売り出し価格14万円奪回に向かうどころか、上場後初めて12万円台まで下落、終値は最安値となる12万9100円となった。

 もっとも、同社の内容に関して市場では「不思議なくらい悪いと評するアナリストはいない」(準大手証券情報担当者)という。また、5月に発表した11年3月期の本業のもうけを示す基礎利益(単体)が前年比1割減の3000億円弱になるとの見通しを発表したが、現時点では業績予想をもとに株価が下落した様子はうかがえない。

 たとえば、みずほ証券・シニアアナリストの丹羽孝一氏はレポートで「新契約マージンの高さ、資産内容の健全性、保険規制最奥の普通株増資の可能性を否定していることなどから評価余地は大きい」と指摘した上で、投資判断「アウトパフォーム」、目標株価24万円を継続。メリルリンチ日本証券・リサーチアナリストの岡本光正氏も、投資評価「買い」、目標株価21万円を継続した。

 にもかかわらず、株価が低迷しているのは、現在の地合いに沿った買い材料が不足しているほか、足元の需給悪化が圧迫要因になっている。直近の信用残高(6月11日申し込み現在)は、売り残が9298株に対して買い残が11万3892株、信用倍率は12.25倍。これまで買い建てた玉すべてが評価損となっている状況である上、大幅な買い残超過であるため売り方の買い戻しに伴うリバウンドも期待できない。買い残は5月末のTOPIX組み入れ後にいったん減ったものの、14万円を割り込んだ後から再び増加に転じている。

 市場では「株を割り当てられた投資家は、いわば『たなぼた』で保有した格好となっているため、下がったからと言って慌てて売ることはないと思われる」(中堅証券情報担当者)との見方がある一方で「一般論として信用買い残が下がる局面で増えるた銘柄は、その整理が進むまで株価が低迷するケースが多い」(コスモ証券の清水氏)との指摘もあるなど、引き続き需給悪化を警戒しつつ重い動きとなる関係者が少なくない。

 (ロイター日本語ニュース 編集 宮崎 大)

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