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長期金利の低下が鮮明、米景気の先行き懸念で株式は閑散

 [東京 24日 ロイター] 24日の金融市場では長期金利の低下が目立っている。米連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で景気判断が引き下げられ、資金を債券に回す動きが強まった。金利低下に弾みがついている円債市場では一段と強気のシナリオも聞かれ始めている。

 6月24日、金融市場では長期金利の低下が目立つ。一方、米景気の先行き不透明感から、株式は閑散。写真は昨年8月、都内の株価ボード(2010年 ロイター/Yuriko Nakao)

 一方、米景気の先行き不透明感から、株式は閑散で方向感が出にくい。 

 <メガの買い続く、長期金利1%割れも>

 円債市場では、長期金利の指標銘柄である10年最長期国債利回りが、前日比2.5ベーシスポイント低い1.140%となり、2003年8月18日以来、約6年10カ月ぶりの低水準を付けた。FOMC声明で景気判断が弱気だったことを受けて、銀行勢が、残存9年の債券に買いを入れたとの観測が出ている。

 みずほインベスターズ証券の落合昂二チーフマーケットエコノミストは「米景気に対する見方が弱まった結果、米債金利の低下となり、円債金利の低下に波及している」と指摘。欧米を含めた世界で長期金利が低下しており、「1.1%台で推移する日本の10年債利回りに違和感がなくなりつつある」と話した。

 一方、シティグループ証券の佐野一彦チーフストラテジストは、より強気な金利見通しを打ち出している。「財政再建をめぐって緊縮措置を迫られるのは、ギリシャなど今回の問題の中心にある国々だけではない。米独などもリーマン・ショックを受けて緩和せざるを得なかった財政の建て直しに向け、これから出口を急がざるを得ない」と、同氏は指摘する。

 そのうえで「世界経済のけん引役であるアジア、とりわけ中国は景気の過熱を抑え、ソフトランディングを目指すことになる。程度の差はあれ世界経済は今後の減速が既定路線になりそう。その状況では、足元の景気指標が良くても、債券市場が強い反応を示さないことに違和感はない」と述べる。 

 市場では「財政悪化懸念や5、6月に向けて例年利回りが上がるというアノマリーの存在により、期初の投資家行動は慎重だったことは明らか」との解説が多い。

 シティグループの佐野氏は「新たな四半期が始まる7月になれば金利見通しを修正し、買いの利回りターゲットを引き下げてくる投資家が多くなるのは必然だ。長期金利がどこまで低下するかは投資家の動向次第。目先は1.050%付近が下限になりそうだが、場合によって1%や0.75%を目指す事態になっても、おかしくないのではないか」とみている。

 <株式、上値は買えず> 

 東京株式市場で日経平均は小反発。為替が円高に振れたことで、輸出株を中心に売りが先行したものの、銀行、不動産などの内需関連や紙・パルプなど円高メリットを受けやすい業種が買われてプラスに転じた。「閑散相場の中で仕掛的な売買も入らず方向感が定まらない。欧州系投資家とみられるリバランスの買いが内需関連株に入って底堅さを示した程度だ。米景気の停滞を意識させる状況で上値を買う材料は乏しい」(東海東京証券エクイティ部部長の倉持宏朗氏)との声が出ている。

 FOMC声明を受け米景気回復への信頼感が揺らぐとともにドル安に対する警戒感が強まっている。米商務省が23日発表した5月の新築一戸建て住宅販売統計が1963年の統計開始以来の低水準となるなど米経済指標の不振も続いている。「景気敏感株として位置づけられる日本株は見送られやすい」(大手証券)という。

 日興コーディアル証券シニアストラテジストの河田剛氏は「ドル先高観が後退したことで、日本株にも影響が出てきそうだ。年央以降、回復軌道に乗せるとの見通しに変わりはないものの、企業の想定レートを下方修正する必要もあり、回復の角度が緩やかになることは避けられないだろう。 菅直人首相が就任後、金融市場では円安が意識されていたが、最近は増税路線の方が注目されている。これが足元の海外勢の売りにつながっているのではないか」との見方を示している。

 <円高シナリオ消えず>

 外為市場では、前日海外市場でドルが対ユーロ、対円で売られた流れを引き継ぎ、ドルの上値の重さが目立った。ただ、ドル/円では、海外ファンド勢のドルの投げ売りと、東京勢のドル買いが交錯し値幅が出ず、89円後半で小動き。

 「海外ファンド勢からのドル投げ売りが続いている。半期末を控え、短期筋の動きは基本的に鈍いが、ファンド勢は5、6月の世界的な株安で損失が拡大し、ユーロ売りのポジションを閉め、ドル/円でも投げ売りが続いている」(ファンドマネージャー)という。

だだ、東京市場では、90円割れはドル買いの水準との認識が根強く、機関投資家等の本邦勢からのドル買いがみられる一方、輸出勢はドルを売り控えているという。

 一方、トレンドとしての円高は続いている、との見方も根強い。

 「米国では景気に慎重なFOMC声明や、弱い住宅販売を受けて長期金利が低下し、欧州では周辺国国債の対独国債スプレッドが再拡大した。リスク志向が持続しない環境下で消去法的に円が買われ、円のジリ高が進んでいるのが現状だ」と東海東京証券・金融市場部のトレーディンググループ・マネージャー二瓶洋氏は言う。 

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者:編集 石田仁志)

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