[北京 15日 ロイター] 中国国家統計局は15日、上半期と第2・四半期の国内総生産(GDP)および、6月の主要経済統計を発表した。上半期の経済成長率は、前年比プラス11.1%。第1・四半期のGDP伸び率はプラス11.9%だった。
第2・四半期の成長率は前年比プラス10.3%。エコノミスト予想は10.5%だった。6月のCPI伸び率は前月比マイナス0.6%に、PPI伸び率は同マイナス0.3%となった。
これら指標に関する識者の見方は以下の通り。
●鉱工業生産の大幅鈍化が懸念材料
<クレディ・スイス(香港)のアジア(日本除く)担当チーフエコノミスト、DONG TAO氏>
国内総生産(GDP)伸び率は鈍化しているものの、予想ほどではない。ただ、これは依然として底堅い消費が一因であり、鉱工業生産の伸びが大幅に鈍化したことが懸念材料だ。
鉱工業生産の伸びは季節調整済み前月比では、2008年11月以来のマイナスとなる。
良い材料は、経済が持ちこたえていること。悪い材料は、投資が鈍化していることで、商品需要が減退する見通しだ。消費者物価指数(CPI)は良好な内容だった。
●景気減速は懸念材料にならず、構造改善を反映
<中国国際金融(CICC)のエコノミスト、XING ZIQIANG氏>
大半の指標が市場の予想を下回り、第1・四半期から経済成長がやや減速していることが示された。
減速は固定資産投資の伸び鈍化が主な要因で、それほど懸念する必要はないと思う。景気は比較的速いペースで成長を続ける見通しで、われわれは2010年の国内総生産(GDP)伸び率予測を9.5%に据え置く。
GDP成長への消費の寄与が拡大していることから、伸びの減速はむしろ経済構造の改善を反映していると言える。
●GDP含めほとんどの指標は予想通り
<渤海証券(天津)のエコノミスト、ZHANG LEI氏>
CPIと鉱工業生産を除き、GDPを含めた大半の指標が市場予想通りだった。
CPIの伸びは予想を下回り、鉱工業生産の前月比でのマイナス幅は予想よりも大きかった。これは中央政府によるマクロ経済的な調整の結果だ。
下半期の成長率は減速が続く見通しだ。ただ、政府が成長促進を目的に第3・四半期末あるいは第4・四半期初めに支出を増やす公算が大きく、二番底はないだろう。
インフレは予想を下回り、経済成長のペースも減速している。利上げの必要性は感じられない。
●6月インフレ率のマイナスは意外
<カナダ・ロイヤル銀(香港)のストラテジスト、ブライアン・ジャクソン氏>
国内総生産(GDP)などの統計は基本的に予想と一致し、成長ペースが第1・四半期に比べ鈍化したが底堅いことを示した。
下半期の成長ペースは一段と鈍化するが、その程度は外的要因に決定される見通しだ。
意外だったのは6月のインフレが小幅なマイナスとなったことだ。インフレは過去1年上昇基調が続いてるが一時的な反転で中断されてきた。6月の数字が転換を示すのか判断するのは時期尚早だ。
ベース効果がインフレに下向き圧力を及ぼし始めている。しかし潤沢な流動性や賃金上昇などの要因があり、今後のインフレ上昇を示唆している。