for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

米景気下振れリスクで株安、好決算のアルコア効果はく落

 [東京 15日 ロイター] 15日の東京市場は、14日に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で景気下振れリスクへの警戒感が強まったことを背景に株安・債券高の展開。好決算だったアルコアAA.NやインテルINTC.O効果がはく落した。

 7月15日、東京市場は、FOMC議事録で景気下振れリスクへの警戒感が強まったことを背景に株安・債券高の展開。写真は都内の株価ボード。1日撮影(2010年 ロイター/Issei Kato)

 米失業率の高さ・米住宅市場の低迷を背景に景気の二番底懸念から米追加金融緩和策が検討課題になるなど景気の先行き不透明感から、これまでの株高の持続性に懐疑的な見方が浮

上している。 

 <日経平均が反落、円高進行を嫌気・さえない米経済指標も懸念材料> 

 株式市場では日経平均が反落している。14日公表のFOMC議事録で、連邦準備理事会(FRB)当局者が景気回復のペースについて懸念を強めていることが示され、為替が円高方向に進んだことが嫌気された。6月の米小売統計が低調な内容となるなど、さえない米経済指標も懸念材料になった。「薄商いの中、小口の利益確定売りに押されている。最近は好調な米企業業績と米景気の先行き不透明感で綱引きの状況だが、きょうは米景気不安が優勢になった。国内企業の決算がスタートするまで模様眺めとなりそうだ」(大手証券エクイティ部)との声が出ている。

 クレディ・スイス証券経済調査部チーフエコノミストの白川浩道氏は、FOMC議事録について「下げ止まりがみえない住宅市場、非常に高い失業率、回復力が弱い設備投資といった足元の米国経済の状況が悲観派を勢いづかせている模様だ。FOMCは当面は様子見の姿勢をとるものとみられるが、秋以降に景気のより明確な減速が確認された場合、追加緩和を模索し始める可能性がある」と指摘している。 

 日興コーディアル証券・シニアストラテジストの河田剛氏は「きょうの下げは、米株価がさえなかったことや小幅円高に振れていることから、利益確定売りが出ている。前日大幅高の反動だろう。ただ、全般的な地合いは改善しており、そのなかでの下落だ。FRBが公表した国内総生産(GDP)や個人消費支出(PCE)価格指数、失業率など、経済見通しは弱めで、回復のスピードは鈍くなるとみていることから、弱材料に受け止められる可能性がある」と述べた。 

 <円債、流通利回りが軒並み低下> 

  円債市場では、国内の主要投資家が中長期ゾーンの現物国債を物色した影響で、流通利回りが軒並み下がり、長期金利の指標銘柄である10年最長期国債利回りは一時、6日以来7営業日ぶりの低水準に突入した。

 複数の市場参加者によると、買いの主体は大手銀行や生命保険会社。「米企業決算が堅調で日米株価が戻り歩調になれば、債券相場はアゲインスト。そこに照準を合わせて債券買いに踏み切ればいいとあてにしていた待機資金が、当てが外れて流入してきた」(外資系証券)という。参加者からは「デルタ調整的な買いが入っている」(外資系金融機関の債券ディーラー)との声も聞かれた。

 テクニカルチャートのトレンドラインが上離れしそうな情勢となっており、海外ファンドの先物買いも、相場押し上げにつながったとみられる。 

 日銀が14、15日に開催している金融政策決定会合は、喫緊の手掛かりとしては意識されておらず、消化難になる公算が大きい。しかし、民主党の連立候補として浮上するみんなの党の主張が、中長期的な緩和圧力になり得るため、一部参加者の間で「緩和警戒モード」もくすぶっている。

 みんなの党の渡辺喜美代表は14日、ロイターとのインタビューで、次期国会に提出を予定しているデフレ脱却法案には、政府と日銀による物価安定目標の設定や雇用の最大化などを盛り込む考えを示し、その際に必要となる日銀法改正について「(民主党と)連携できる余地があるかもしれない」と語った。また、デフレ脱却に向け目標とする物価水準を2%と述べており、ある国内金融機関の債券ストラテジストは「時間軸の強化につながりイールドカーブは中期ゾーンまでさらに潰されそう」(国内金融機関)と話す。 

 <ドルは88円前半でもみあう、中国景気への警戒感強い> 

 外為市場では、ドルは88円前半でもみあった。市場の関心は午前11時に発表された中国の経済指標に集中。朝方には中国景気への警戒感でクロス円を売る動きもみられた。しかし、発表された中国指標が「思ったほど悪くなかった」(住友信託銀行マーケット・ストラテジスト、瀬良礼子氏)ことから発表後は軟調だった上海総合株価指数が切り返し、ドル/円も小幅値を戻した。 

 市場では中国指標に関心が集中。FOMC議事録では追加緩和を検討する可能性が示唆され、6月の米小売売上も予想から下振れたことで、悪材料に反応しやすい地合いになっていた。このため、中国の経済指標にも「予想比上振れよりは、下振れの可能性の方が強い」(国内金融機関)との警戒が強かった。

 15日付の中国証券報の論説記事が下期の中国経済は予想より大幅に減速する可能性があるとの見解を示したことも中国景気への懸念を強め、朝方にクロス円が下落。つれてドル/円も88.10円まで下値を切り下げた。好調な米決算発表を受けた世界的な株高に一服感が出ており、市場では「きょうは調整が入りやすい。実需に大きな動きが見られず、短期筋中心なだけに、ドル/円も売られやすく88円台を割り込む可能性もある」(国内銀行)との声が上がっていた。

 しかし、発表された中国指標は、6月CPI前年比上昇率が政策目標の3%を割り込み、小売売上高や鉱工業生産も予想からは下振れたものの依然高水準。「内容が思ったほどに悪くなかったことで、安心感につながっている。景気拡大にピークアウト感はあるものの、過熱を抑えて持続可能な成長に移行しつつあり、世界景気に対してもプラスだ」(住友信託銀行、瀬良氏)と受け止められた。

 発表を受けて軟調だった中国株が下げ渋ったこともあり、豪ドル/米ドルは0.8845ドルまで50ポイント近く上昇。クロス円も切り返しユーロ/円は112.83円まで50銭ほど値を戻した。つれてドル/円も一時88.41円まで上昇した。 

 <FOMC議事録による米長期金利の下抜けはない> 

 6月22─23日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、経済見通しが目立って悪化した場合、経済の下支えに向けた追加措置の検討に備えるべき、との認識がメンバーから示された。これまでの「米金融政策の次の一手は利上げ。追加緩和含みの日本や、国債買い入れを始めた欧州とは違う」(国内銀行)との認識が危うくなったことで、米10年債金利が13日の3.12%付近から14日には3.05%付近まで低下、ドル売りの流れにつながった。アジア市場では気配値がさらに3.03%付近まで低下している。

 ただ、みずほ証券シニアマーケットアナリスト、野地慎氏は「米金融政策が逆戻りすると決まったわけではなく、両にらみの段階。今回のFOMC議事録では、出口が遠くなったことを再確認したということだ」と受け止めている。

 「足元のドル/円は、米金利の低下に反応して上値が重くなっている」(大手銀行)ものの、野地氏は「すぐに米長期金利がレンジを下抜けるとはみておらず、2.90─3.15%程度のこれまでのレンジ内で推移するだろう。ただ、長い目でみれば、2.75%付近までの低下余地はある」とみている。 

  (ロイター日本語ニュース 片山 直幸記者:編集 宮崎亜巳)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up