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「現実」突きつけた米FRB議長、東京市場はややリスク回避に

 [東京 22日 ロイター] 21日のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長による議会証言は、米経済の本格回復には道のりがあるとの「現実」を改めて市場に突きつける格好となった。東京市場では限定的ながらも円買い/株売り/債券買いの流れ。

 7月22日、バーナンキFRB議長(写真)による議会証言は、米経済の本格回復には道のりがあるとの「現実」を改めて市場に突きつける格好となった。21日撮影(2010年 ロイター/Molly Riley)

 発言内容に関しては米金融当局の金融緩和への期待感がはく落しただけとの見方もあるが、市場が悲観的に受け止めたのはセンチメントがそれだけ悪化していることの証左だと指摘される。 

 <米株安でリスク回避の円買い、ドル8カ月ぶりの安値に接近> 

 前日の米株式市場で、取引開始前には企業の好決算が相次いだが、バーナンキ議長の議会証言を受け、全般的に投資家の買い意欲がそがれ、ダウ工業株30種など主要3指数は1%超下落した。「バーナンキ議長の発言では、デフレリスクの高まりや経済の過剰生産能力、クレジットシステムの機能不全に対する救済策が何も示されず、相場は下落した」(スタイフェル・ニコラウスのストラテジスト)と指摘された。 

 東京時間に移って外為市場では円が上昇。ドル/円はこの日の取引で一時86.43円まで下げ、8カ月ぶり安値に迫り、ユーロ/円も前日東京の高値から2.5円下落して110.35円と2週間ぶり安値をつけた。FRB議長発言をきっかけに米株安が進んだことでリスク回避的に円が買われたほか、米2年債利回りが過去最低水準を再び更新したことも、米金利と相関性の高いドル/円を売り込む手がかりとなった。 

 大手銀の外為チーフトレーダーは「FRB議長発言は予想よりハト派だったが、驚くほどの内容ではなかった。直前になって一部で浮上した金融緩和への期待感がはく落した程度だったので、米株の下げも限られたのだろう」と述べた。そのうえで「(米などの)株安/債券高の流れが続く限り、円に上昇圧力がかかりやすい状況は続く」とみている。  

 <株売り/債券買い、TOPIXは年初来安値を更新> 

 バーナンキ議長の景気への弱気な見方を受けた米株安と円高で、東京株式市場も輸出株を中心に売り先行。TOPIXが年初来安値を更新したが、年金筋の買いで下げ渋ったと観測される。円債市場では、銀行などの国内投資家が残存9、10年ゾーンの現物国債を物色した影響で、長期金利の指標銘柄である10年最長期国債利回りが、前日比4ベーシスポイント低い1.045%となり、心理的節目とみられる1.055%を下回った。 

 大和証券キャピタルマーケッツ金融証券研究所・投資戦略部部長の高橋和宏氏は、バーナンキ議長の発言に関し、米経済見通しが「異例に不透明(UNUSUALLY UNCERTAIN)」と発言した部分だけが報道では強調されているとし、先の外為チーフトレーダーと同様の見解を示す。一方、東海東京証券エクイティ部部長の倉持宏朗氏は「米景気の先行き不透明感が増している」としたうえで「現時点で日銀に円高対応の意志は感じられず、円高懸念が払しょくできない。為替の動向次第ではもう一段の下値模索もあり得る」と警戒感を示した。 

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の長谷川治美シニア債券ストラテジストは「米債相場が上昇したのは、債券市場参加者の間で、バーナンキ議長は追加緩和に含みを残したとの解釈が広がったためだ。米長期金利は一時2.85%と2004年4月以来の低水準を付けており、円金利にも低下圧力が及んだ」と話した。 

 東京海上アセットマネジメント投信シニアファンドマネージャーの久保健一氏は「FRB議長の発言で決して悲観的になることはないが、異例なほど不透明という部分を市場はより重く受け止めた」と分析する。また「米株が大きく下げる局面を終えたものの回復は一巡しており、今後上昇するにはなお日柄が必要との現実的な認識だ」と話す。市場が悲観的に受け止めたことに関しては「それだけセンチメントが悪化しているからだ」と指摘した。 

 (ロイター日本語ニュース 吉池 威記者、編集 石田仁志)

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