for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

欧州ストレステスト、市場で自らがテストされる見込み

 [パリ 25日 ロイター] 欧州の銀行に対する健全性審査(ストレステスト)は対象となった91行のうち不合格が7行にとどまったことから、甘すぎたとの批判が出ている。26日の市場ではストレステスト自体がテストされることになりそうだ。

 7月25日、欧州ストレステストは甘すぎたとの批判が出ており、26日の市場ではそれ自体がテストされることになりそうだ。写真はニューヨーク証券取引所で結果発表を見るトレーダー。23日撮影(2010年 ロイター/Brendan McDermid)

 23日に公表された結果にEUの高官や監督当局は安堵したが、市場関係者やマスコミからは信頼性に欠けるとの声が上がっている。

 キャンター・フィッツジェラルドの首席グローバル株式ストラテジスト、スティーブン・ポープ氏は「今回のテストのどこにもストレスは見られない。銀行に週末の保養に行かせたようなものだ」と語った。 

 ストレステストの結果、資本不足額は全体で35億ユーロ(45億ドル)とされたが、市場では300億ユーロから1000億ユーロとの見方が出ていた。不合格となったのはスペインの中小5行、ドイツの国営不動産金融ヒポ・レアル・エステート[HRXGF.UL]、ギリシャ農業銀行AGBr.ATの計7行にとどまった。

 最も厳しいシナリオの下で6%の中核的自己資本比率(Tier1)要件をぎりぎりで満たした銀行が10行以上あり、これらが市場の注目を集める公算が大きい。ただ、公表された一連のデータや、政府、監督当局、銀行自身が表明した措置が、ストレステストの厳格性よりも重視される可能性もある。

 週末23日のニューヨーク市場では、欧州大手銀行の社債保証コストが一段と低下したほか、ユーロが対ドルで上昇した。 

 <ストレステストをめぐる論争> 

 EU各国の政府や規制当局の間で最後までストレステストをめぐる論争があったことを踏まえれば、数週間前の時点で予想されていたよりもかなり高い透明性が確保された。

 関係筋によると、結果の公表を制限するようドイツが強硬に主張した。しかし最終的にはドイツ銀行DBKGn.DEを除く大半の銀行がEU加盟国のソブリン債保有に関する詳細を明らかにした。

 クレディ・スイスの銀行アナリスト、ナイアル・オコナー氏は「ソブリン債保有に関するすべてのデータが得られた。われわれが実際に検証することが可能だ」と語った。 

 欧州では、5月にソブリン危機が頂点に達し、銀行が損失を隠しているとの懸念からインターバンク市場が一部機能不全となったが、結果の公表を受けて市場が活性化する可能性がある。

 今回のストレステストは売買を目的にしたソブリン債にのみ担保価値の削減率(ヘアカット)を適用し、満期保有は対象外とされたことでEUは批判を受けた。ギリシャのデフォルト(債務不履行)がシナリオに盛り込まれなかったことにも不満の声が上がった。

 これに対し欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのノワイエ・フランス中銀総裁は「国際通貨基金(IMF)の支援を受けて(ユーロ圏は)数千億ユーロの資金が用意されている」と述べ、ギリシャがデフォルトする可能性について「完全に排除できる」と強調した。

 <透明性> 

 ストレステストに高い透明性を確保するよう主張していたスペインは、他の国よりも対象を広げ、より詳細なデータを公表した。国内の中小銀行の支払能力をめぐる根強い懸念を払拭(ふっしょく)する狙いがある。

 しかしシンクタンク、ブリューゲルのエコノミスト、ニコラス・ベロン氏は貯蓄銀行カハの資本増強の必要性について、スペイン当局は低めに見積もっていると指摘した。ただ、スペイン銀行再編基金(FROB)により必要額を満たすことが可能とも述べた。

 同氏は電話インタビューで、政府や規制当局は弱い銀行に対し資本増強を求めるなどの追加的措置を実施し、必要に応じて海外企業による買収を後押しすべきとの見方を示した。

 欧州各国の支援措置が成功するかについて、規制当局がストレステストの前よりも協調的なアプローチを取ることができるかが重要と指摘。「これがEU監督当局による美しい友情の始まりであれば、共同戦線が来週崩壊し、非難合戦が始まることはないだろう」と語った。

(Paul Taylor記者;翻訳 高木匠 編集 佐々木美和) 

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up