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4─6月期の外需は鈍化の見通し、対中貿易収支は黒字化へ

 [東京 26日 ロイター] 輸出の鈍化傾向が鮮明になってきた。各国の景気刺激策の効果や在庫復元が一巡したことに加え、不動産市場引き締め措置を背景とする中国景気の減速が影響を与え始めたとの指摘が出ている。

 7月26日、輸出の鈍化傾向が鮮明になってきた。写真は2008年12月、横浜港で撮影したコンテナー(2010年 ロイター/Toru Hanai)

 この結果、4─6月期実質国内総生産(GDP)に対する外需寄与度は鈍化するとの見通しが複数出ている。一方、2010年上半期の対中国貿易収支は大きく改善し、今後黒字化が視野に入ってきた。 

  <輸出数量は4カ月連続で鈍化、4─6月期の外需寄与度マイナス予想も>

 この日発表された貿易統計の6月の輸出数量をみると、対世界では前年比27.4%増と4カ月連続で鈍化した。米国向けは前年比27.4%増と5月(20.3%増)から加速したが、EU(欧州連合)向けは前年比27.2%増と10カ月ぶりに鈍化。アジア向けも前年比26.7%増と5カ月連続で鈍化した。日銀が発表した実質輸出も、前月比0.4%低下と16カ月ぶりに低下。輸出の急回復局面が終わり、鈍化傾向が強まり始めた。

 クレディスイス証券では「グローバル景気の回復モメンタムが鈍化するにつれ、輸出の伸びの鈍化も想定されたことではあるが、この数カ月間の対アジア輸出の鈍化にはやや注意が必要かもしれない」と評価している。EU向けの鈍化は、EU各国の自動車購入支援策の規模縮小を受けて自動車輸出がマイナスになったことや、為替がユーロ安になっていることが要因とみられる。

 エコノミストの間では、貿易統計から推計した4─6月期の外需の実質GDPに対する寄与度は、1─3月期のプラス0.7%ポイントから鈍化する見通しが多く、一部にはマイナスになるとの予想もある。仮にマイナスになれば、2009年1─3月期以来のこととなる。ロイターが今月14日に実施した中長期経済指標予測調査によると、4─6月期以降、来年にかけて実質GDPは0%台半ばの成長率が続く見通し。9月末のエコカー補助、12月末のエコポイント制度終了後の内需が不安視されるなか、外需の鈍化は成長率の下押し要因ともなる。

  <対中国輸出は頭打ち懸念、長期的には収支黒字化へ>

 足元で進行する円高や欧州の財政問題など先行きのリスク要因に加え、これまで主要国の低成長をカバーしてきたアジア、特に中国向け輸出が頭打ちになっている点が懸念される。農林中金総合研究所・主任研究員の南武志氏は中国経済について「4─6月期は依然として前年比2ケタ台の経済成長となったが、景気過熱や不動産バブルへの抑制策が断続的に打たれているほか、09─10年の2年間で約4兆元といった財政出動も使い切りつつあるとの指摘もあり、年後半にかけて成長率が減速していく可能性が指摘されている」と述べ、日本からの中国向け輸出についても、一時的に減少に転じることも考慮しておく必要があるとの見方を示した。

 ただ、中国経済は減速しても巡航速度程度に減速するに過ぎず、今後も輸出は中国・アジア向けを中心に比較的堅調に推移するとの見通しだ。2010年上半期の貿易統計によると、対アジア輸出が前年比46.4%増、同地域向け貿易黒字は5兆2176億円となり過去最高だった。また、対中国貿易赤字は前年比84.5%減の1407億円で、1993年上半期に次ぐ小幅な赤字となり、前年比の赤字縮小は過去最大。対中貿易収支は改善しており、この傾向は今後も続くとの見通しが複数出ている。

 第一生命経済研究所・主席エコノミストの熊野英生氏は、赤字幅縮小の背景として「従来、中国を生産基地としていた日本の現地進出企業が、経済発展とともに現地販売を増やしたことがある」と分析。これまで長期にわたり対中貿易は赤字傾向で推移してきたが、今後10年間を展望すると、中国経済の規模はさらに膨張し、日本の対中輸出もそれに応じて増加することにより、貿易黒字の拡大に寄与するとの見通しを示した。

 (ロイター日本語ニュース 編集 石田仁志)

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