for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

予想以上の好決算続出、新興国需要に加え先進地域回復も寄与

 [東京 29日 ロイター] 第1・四半期(4─6月)決算で計画を上振れる予想以上の好決算が続出している。これまでは中国など新興国の需要増加に収益が支えられるケースが多かったが、欧米や日本国内など先進地域向けの回復が押し上げ要因となる例が増えてきた。

 7月29日、第1・四半期決算で計画を上振れる予想以上の好決算が続出している。写真は先月、都内のビジネス街で(2010年 ロイター/Yuriko Nakao)

 製品の引き合い活発化で操業度の改善が進み、中には機会ロスの懸念が生じ始めたケースもある。ただ、中国や欧米の経済動向に不透明感が漂うことから、下半期以降については慎重にみる企業も少なくない。 

 みすほ証券リサーチ&コンサルティングがまとめた2011年3月期第1四半期(4─6月)決算集計(東証1部・除く金融)によると、28日までに決算内容を開示した133社(対象はデータ取得可能な金融を除く東証1部上場企業、全1186社で開示率は11.2%)の11年3月期業績見通しは、営業利益増減率が前年比41.5%増となっている。4─6月期実績は前年同期比3.2倍で、通期予想に対する進ちょく率は26.3%。通期見通しについて事前予想との比較では、全体のうち上方修正18.8%、下方修正が3.8%、据え置きが77.4%と上方修正が下方修正を上回り、モメンタムも良好な状態だ。

 29日に発表した企業では、海運大手3社(日本郵船9101.T、商船三井9104.T、川崎汽船9107.T)がそろって通期の利益計画を上積みしたほか、パナソニック6752.T、ソニー6758.Tといった電機大手も上方修正。東芝6502.Tは通期予想こそ据え置いたものの、連結営業損益(米国会計基準)が4─6月期としては過去最高を更新し、目を引いた。

 収益上向きの背景にあるのは、世界的な景況感の改善。これまではリーマンショック後に新興国がいち早く景気を回復したことに助けられていた面があったが、ここにきて日米欧の先進地域向けの売上高回復が目立っている。たとえば、コマツ6301.Tの4─6月期の地域別売上高は中国が前年同期比77.5%増、アジア・オセアニアが同70.9%増、中南米が53.5%増となったほか、欧州が同21.2%増、北米が15.5%増、公共工事削減が続く日本でさえも同5.2%増と伸びを記録。在庫の改善が顕著で、リーマンショック以前の2─3年前の管理レベルまで戻ったという。

 金融問題で懸念される欧州向けについては「足元のビジネスはそれほど不安材料にはなっていない」(ソニーの加藤優CFO)との指摘もあった。決算発表シーズン前には「09年度の地域別の利益構成比で欧州はわずか2%。ユーロ安で欧州地域の業績低迷が予想されるが、現時点の予想は欧州地域の回復を前提にしていないため、大幅増益シナリオが欧州の利益回復の遅れによって崩れる公算は小さい」(野村証券金融経済研究所の海津政信所長)との分析があったが、それだけに欧州向け売上高が上向いた場合、業績上振れをもたらす要因となることは想像に難くない。

 世界的な需要増加は海運会社の業績に顕著に表れた。従来は中国のおう盛な鉄鉱石需要を背景に、ばら積船市況の上昇が収益けん引役となっていたものの、第1・四半期では様相が一変。「想定以上に荷動きが堅調なほか、運賃も予想以上に修復が進んだ」(日本郵船の甲斐幹敏経営委員)ことでコンテナ船の収益が急速に改善し上方修正につながった。日本郵船は期初にコンテナ船に関して年間で5億円の経常利益を計画していたが、330億円に上方修正する一方、商船三井も同事業の経常利益を期初の50億円から250億円に修正した。

 需要増加はメーカーの稼働率を飛躍的に向上させており「タイトになる分野も出てきた」(TDK6762.Tの桃塚高和経理部長)といったうれしい悲鳴も出ている。中には「能力を上げざるを得ない。国内工場の設備投資上積みを検討。中国(の現地工場)も生産能力引き上げを考える」(日立建機の徳重博史執行役常務)といった声もあった。稼働率アップは当然のことながら採算面の改善につながり、これが円高や資材高などのコストアップ要因を吸収しそうな状況。キヤノン7751.Tの田中稔三副社長は円高傾向への対応について「増収やコストダウン、さらなる経営の効率化によって今の利益水準を維持する」とコメントしていた。

 ただ、下半期に関しては慎重な見方も少なくない。通期見通しに対する第1・四半期の進ちょく率が高いのに、年間予想を据え置く企業も目立つ。企業からは「海外の需要は拡大しているが、エコポイント制度の終了など政策を見極める必要がある。好調なIT関連も、ひとたび環境が変化すると、急速に状況が変わってしまう」(積水化学の久保肇取締役)といった声も出ている。

 とりわけ、軟化している鋼材市況などから、中国の引き締めの影響が懸念されているが、これについて「能力削減が見えてくれば調整から抜け出るだろう。下期に入り調整局面から抜け出れば、鉄鋼市況も上がり、鋼材価格も上げていける」(新日鉄の谷口進一副社長)、「中国など新興国の鋼材需要が落ち込むとは想定できず、年度後半は市況回復に向かうと考えられる」(商船三井の青砥修吾執行役員)といった声が出るなど、中国について大きな落ち込みを想定するムードとはなっていない。

 29日の発表企業で注目度が高かったソニーの決算については「通期予想の上方修正はポジティブ・サプライズ。実体面での上振れと円高の進行がどのようなバランスで業績に影響を与えるかとみていたが、ユーロ/円の想定為替レートを125円から110円に修正しながらも通期業績予想を引き上げたのは驚きだ」(損保ジャパン・アセットマネジメントの菅原繁男シニア・インベストメント・マネージャー)との声が出ていた。これまで国内企業の業績がマーケットで材料視されていたと言えないだけに、好決算を株価にどう織り込んでいくか注目されている。

 (ロイター日本語ニュース  水野 文也記者)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up