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過剰感根強い雇用情勢、生産鈍化で回復遅れるリスクも

 [東京 30日 ロイター] 失業率の悪化が続くなか、就業者数が増加に転じるなど、各雇用関連指標の中身を踏まえれば、雇用情勢の改善が続いているとの評価がエコノミストの間で示されている。

 7月30日、減速局面入りした鉱工業生産を受けて、雇用情勢の回復が遅れるリスクが指摘され始めた。都内の路上で4月撮影(2010年 ロイター/Issei Kato)

 一方、企業の根強い雇用過剰感などから、失業率は高止まりするとの見方も複数出ており、減速局面入りした鉱工業生産を受けて雇用情勢の回復が遅れるリスクも指摘され始めた。

 <15─24歳の失業率が過去最高、全体を押し上げ>

 総務省が30日に発表した労働力調査によると、6月の完全失業率(季節調整値)は5.3%となり、前月よりも0.1ポイント上昇。4カ月連続の悪化となった。完全失業者(原数値)を求職理由別にみると、「学卒未就職」が前年比6万人増と2カ月ぶりに増加した。「新たに収入が必要」も前年比1万人増と5月(7万人増)から増加幅が縮小したものの、4カ月連続で増加している。総務省では6月の完全失業率が上昇した主な要因として、学卒未就職の項目で失業者が増加したことを挙げた。失業率を年齢階級別にみると、15─24歳の若い世代の失業率が11.1%に上昇し、過去最高の水準を更新している。 

 <悪化と改善が混在する雇用関連指標>

 ただ、「勤め先都合」が前年比20万人減と3カ月連続で減少し、5月(7万人減)から減少幅が拡大する一方、自己都合は前年比8万人増と5月(1万人増)から増加幅が拡大。エコノミストからは「労働需給の改善を受けて、条件の良い職を探す人が増えていることが、失業率の上昇につながっていることを示唆しており、雇用の改善ペースは予想以上に緩慢だが、雇用情勢の改善が止まったわけではない」(BNPパリバ証券・エコノミストの加藤あずさ氏)との評価も複数出ている。就業者(季節調整値)が前月比4万人増と5カ月ぶりに増加するなど、雇用情勢については「失業率でみるほど悪くなってはいない」(ニッセイ基礎研究所・主任研究員の斎藤太郎氏)との見方が示されている。

 悪化を続ける完全失業率に反し、有効求人倍率や景気ウォッチャー調査の雇用関連DIなどマインドを示す指標は改善し、改善と悪化が混在している。6月の有効求人倍率(季節調整値)は0.52倍となり、2009年3月(0.53倍)以来の高水準。新規求人倍率も0.88倍と5月の0.83倍から上昇した。雇用者数に先行する傾向のある新規求人数が6月は前月比5.8%増となっており、1996年2月(同6.2%増)以来の高い伸びとなった。野村証券金融経済研究所・チーフエコノミストの木内登英氏は「新規求人数の増加は、雇用環境の改善が今後も継続する可能性を示唆している」との見解を示した。

 <失業率は年度内高止まり、生産減速がリスク>

 雇用情勢は今後も緩やかな改善が続くとみられている。ただ、30日に発表された鉱工業生産の回復鈍化を受けて「就業人口の回復がさらに遅れるリスクに注意したい」(クレディ・スイス証券)との声も浮上してきた。明治安田生命・運用企画部のチーフエコノミスト、小玉祐一氏は「企業の雇用過剰感が依然として強いこと、雇用調整助成金等の政策効果で、リーマン・ショック後の雇用環境の悪化がマイルドなものにとどまっていたことを考えると、景気回復傾向が続いても2010年度いっぱいは失業率の高止まりが続く可能性が高い」との見方を示している。

 (ロイター日本語ニュース 武田晃子記者;編集 石田仁志)

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