[ロンドン 1日 ロイター] 国際決済銀行(BIS)は1日、世界の為替取引に関する3年に一度の調査(2007年─2010年)結果を公表した。世界の為替取引額(1日当たり)は3年間に20%増加して4兆ドルと、ドイツの国内総生産(GDP)にほぼ匹敵する規模になった。
けん引役となったのはヘッジファンド、保険会社、中央銀行、その他ノンバンク。また電子取引の浸透で個人投資家の参加も増えた。
最大の取引市場は、今回もロンドンだった。2008年秋に銀行セクターの問題が浮上し金融市場が混乱したが、為替取引の中心地という地位を守った。
取引増加を主導したのはスポット市場で48%増加した。瞬時に大量の取引を処理するアルゴリズム取引の拡大が反映された。取引主体別では、ヘッジファンドなどのノンバンク、中央銀行が初めてインターバンクディーラーを抜いた。
外為決済システム会社CLSバンクのアラン・ボジアン最高経営責任者(CEO)は「外為取引は依然、肥沃な環境で、参加者の種類、数ともに増えている」と述べた。
<円と豪ドルの取引が増加>
取引通貨をみると、トップは依然ドルだが、シェアは2001年の90%をピークに2004年4月が85.6%、2010年4月は84.9%と低下傾向をたどっている。これが恩恵となっているのがユーロなどドル以外のG10通貨、新興国通貨だ。
今回の調査期間には2008年の金融危機が含まれている。キャリートレード・ブームの終えん、それを解消する急激な動きが反映され、低金利通貨の円と高金利通貨の豪ドルの取引シェアが拡大した。
シェアで断トツはユーロ/ドルで28%、2位のドル/円は若干拡大し14%となった。ポンド/ドルは2004年のピークからシェアを落としており、今回は9%と1998年並みの水準になった。
<東京市場での取引急増>
取引市場はやはり英米が他を圧倒。1位を維持したロンドンは1日当たりの平均取引高が約25%増加し1兆9000億ドルと2位の米国の2倍強だった。
日本は、取引が大幅に増加した結果、シンガポールやスイスを抜いて3位に浮上した。
店頭(OTC)デリバティブ(金融派生商品)市場の拡大も示された。1日あたりの取引高は24%増加して2兆1000億ドルとなった。フォワード取引が132%増加した半面、主要通貨の金利スワップ取引はほぼ変わらず、金利オプション取引は小幅減少した。
BISは2010年4月の取引に関する詳細なデータと2010年6月末時点の外為商品持ち高を11月に発表する予定。