[東京 17日 ロイター] 個人投資家の投資マインドは一段と悪化している。ロイターが17日にまとめた9月個人投資家調査では、日本株への投資スタンスを示すロイター個人投資家DI(「強気」の割合から「弱気」の割合を引いて算出)はマイナス70で、円高を背景に先月から12ポイント悪化した。
政権交代から1年がたつ中で、「悪い方向に変化した」は51.7%となり、「良い方向に変化した」の15.2%を大きく上回った。「何も変化はない」は33.1%だった。現在、最も支持している政党は「みんなの党」となり、次いで「民主党」、「自民党」の順となった。
一方、今年3月の個人投資家調査で、政権交代後に何らかの変化を実感するかを聞いた際は、「悪い方向に変化した」が44.2%、「良い方向に変化した」が19.3%、「何も変化はない」が36.5%だった。半年前と比べて今回は「悪い変化」との回答が増えた一方で、「良い変化」と「変化はない」の比率が低下していることが分かった。
調査は、ロイター.CO.JPの個人投資家向けメールマガジン購読者である全国の個人投資家を対象に実施し、869人(男性94%、女性6%)が回答した。年齢層は20代が4%、30代が12%、40代が19%、50代が21%、60代が29%、70代以上が15%。調査期間は9月6日─9日で、民主党代表選や政府・日銀による為替介入よりも前に実施された。調査期間中の日経平均は一時9000円割れとなる場面があった。
民主党が圧勝した昨年の総選挙に伴い、政権が交代して1年がたつ。ロイター個人投資家調査では、政権交代後に何らかの変化を実感することはあるかを投資家に聞いたところ、「悪い方向に変化した」との回答が過半数を占めた。現在、最も支持している政党については「みんなの党」(32.1%)、次いで「民主党」(29.7%)、「自民党」(19.9%)となった。
悪い方向に変化したと回答し、みんなの党を支持する向きからは「政権交代したものの、現実を無視したマニフェストの実現に固執。政治感覚の無さにあきれた」(60代男性)、「リーダーシップが無さすぎる」(40代男性)、「円高、株安、経済が良くない状況でも、小さなコップの中で権力闘争を繰り広げている」(30代男性)、「経済政策があまりに無策。経済対策無くして、どうして雇用が生まれるのか疑問」(50代男性)と、指導力や経済政策への不満の声が多く出ていた。
政策の方向性としては「雇用の源である企業を元気にさせる政策をもっと進めるべき」(60代男性)、「産業の空洞化対策をして欲しい」(50代男性)、「政治主導による規制緩和を」(70代以上男性)との声があがっていた。
現在も民主党を支持している向きからは「現状は自民党よりややましという程度。円高・株安、経済財政、普天間、年金など難題が多すぎる」(60代男性)との声があったほか、「民主党に期待して支持してきたが、失望している。政策主体の政界再編成をして出直すべき」(70代以上男性)として、しかるべきタイミングでの再度の政界再編に期待する声もあった。
自民党を支持し、政権交代以降は悪い方向に変化したと回答した向きからは「バラマキの政策が目立ち、国際的視点に欠けるきらいがある」(70代以上男性)、「スピード感が無い」(50代男性)、「まだ当分、混沌とした状態が続く」(30代男性)との見方が示されていた。
<個人投資家DIは全業種で低下、円高懸念や景気停滞で>
日本株への投資スタンスを示すロイター個人投資家DIは5カ月連続で悪化し、自動車をはじめ全業種で前月から低下した。「弱気」と答えた投資家からは「円高と景気の停滞で日本国内全体が弱気になっている」(50代男性)、「円高が落ち着かないと株は上がらない」(40代女性)、「大幅な法人税減税や規制緩和で企業存続の土壌を作っていく意思が全く感じられない。海外からの投資も見込めず、企業も外向きになり、当然雇用の受け皿は縮小する」(60代男性)との指摘が相次いでいた。
一方で「強気」と答えた回答をみると「実態を反映していない。今が底値圏に近い」(50代男性)、「二番底懸念が少し払しょくされてきている」(30代男性)、「長期保有して安定運用を目指す資産としての魅力はむしろ増大」(50代男性)との見方が示されていた。
「現在、投資したい/投資資金を増やしたい株」(複数回答)では、成長株や割安株の人気が若干上昇した。「現在、投資しようとしている/投資金額を増やそうとしている金融商品」(複数回答)では、国内株式や外国株式の人気が高まる一方で預貯金は低下した。「現在、外為証拠金取引(FX)をしているか、もしくは将来やりたいと思っているか」との質問には32%が「はい」、68%が「いいえ」と回答。「はい」との回答は前月から6ポイント低下した。
*ロイター.CO.JPの個人投資家向けメールマガジン購読者は35歳以上の男性が多く、平均年収は約800万円。半数以上が1千万円以上の金融資産を保有している。今回の回答者の金融資産残高(除く不動産)別構成をみると、500万円未満が25%、500─999万円が19%、1000─1999万円が20%、2000─2999万円が10%、3000─4999万円が13%、5000─9999万円が9%、1億円以上が5%だった。
(ロイターニュース 寺脇麻理、程近文、企画協力:下郡美紀、西山誠慈、水野文也、
宮崎大)