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デフレ警戒するFRB議長、「物価安定」でタカ派説得か

 [ニューヨーク 21日 ロイター] 21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、バーナンキ連邦準備理事会(FRB)議長が、デフレへの警戒を強めていることが明らかになった。議長は、追加緩和に消極的なタカ派を説得するため、タカ派の反論しにくい「物価安定」という目標を前面に掲げる作戦に出たようだ。

 9月21日、FOMCではバーナンキFRB議長が、デフレへの警戒を強めていることが明らかになった。4月撮影(2010年 ロイター/Jason Reed)

 今回のFOMC声明では「(インフレ率をFRBの)目標と一致する水準(to levels consistent with its mandate)」に戻すとの文言が3回にわたって使われた。

 エコノミストは、一見小さな変化だが、重大な意味があると指摘。声明は、経済成長予測の下方修正にも含みを持たせており、議長が追加の量的緩和に向けて舵を切ったとの見方が浮上している。 

 ハイ・フリークエンシー・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、イアン・シェファードソン氏は「議長はタカ派との戦いを準備しているようだ。これは大きな変化だ。量的緩和第2弾への地ならしとみている」と述べた。 

 同氏をはじめとする多くのエコノミストは、早ければ11月にも証券買い入れの再開が発表されると予想している。 

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は先月、8月のFOMCで決まったモーゲージ担保証券(MBS)償還金の国債再投資について、FRB内で意見の対立があったと報じた。

 その後も、当局者の発言で、追加緩和をめぐりFRB内部で意見対立があることが明らかになっている。 

 タカ派は、追加緩和は効果が不透明で市場の不均衡を助長しかねないと懸念。議長は「物価安定の実現」という正論を掲げて、タカ派の反論を封じ込めようとしているようだ。

 FRBには、物価の安定と雇用の最大化という2つの使命があるが、タカ派の多くは雇用よりも物価の安定を重視しているとみられる。

 議長は、物価の安定を前面に掲げることで、タカ派が追加緩和に反論しにくい状況をつくったといえる。

 <物価に焦点>

 FOMC声明は、物価が「物価安定と雇用最大化を促進する目標に長期的に最も一致するとFOMCが見なす水準」を下回っていると明記。

 議長は、指標が悪化した際に、思い切った対策を講じる選択肢を手にした。物価安定のためと主張すれば、ホーニグ・カンザスシティー地区連銀総裁を急先鋒とするタカ派の反論も封じ込めやすくなる。 

 BMOキャピタルのシニアエコノミスト、マイケル・グレゴリー氏は「すべてが物価動向にかかってきた。FRB内部の対立が報じられ、議事録でもそうした状況が明らかになっているが、物価の低下が共通のキーワードになっているようだ」と述べた。

 ただ、FRBがどのインフレ指標を使うかで、今後の政策が大きく変わる可能性もある。

 FRBは、コア個人消費支出(PCE)価格指数上昇率の適正レンジを1.7─2%とみている。7月の同上昇率は1.4%だった。 

 もうひとつの重要なインフレ指標であるコア消費者物価指数(CPI)上昇率は、この数カ月1%以下で推移している。物価低迷が続くとの見方が広がれば、デフレリスクが高まる恐れもある。  

 今回のFOMC声明では景気にも懸念を示しており、FRBは経済成長率の下方修正を準備しているとみられる。下方修正が、追加金融緩和の根拠となる可能性もある。

 FRBは7月、2011年の経済成長率を3.5─4.2%と予測したが、エコノミストの間では非現実的な予測との指摘が多い。第2・四半期の経済成長率は1.6%にとどまっている。

 LPLフィナンシャルのチーフエコノミスト、ジョン・カナリー氏は「何も手を打たずに、ここから予測通りの経済成長を達成するのは非常に難しい」との見方を示した。

 (Pedro Nicolaci da Costa 記者;翻訳 深滝壱哉) 

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