for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

危うさ含むユーロ上昇、代替投資通貨なく消極的に買われる

 [ニューヨーク 29日 ロイター] ユーロは対ドルで過去2週間で5%上昇した。わずか5カ月前、ユーロの通貨統合が崩壊の危機にあると市場の一部は認識していた。アイルランドやスペインなど一部ユーロ圏諸国の財政懸念は続いているが、米・英・日本での景気低迷および量的緩和観測でユーロは上昇している。 

 9月29日、対ドルで過去2週間で5%上昇したユーロについて、市場では代替投資通貨がなく消極的に買われているとの声も。写真は9日撮影(2010年 ロイター/Yuriko Nakao)

 シティグループのテクニカルストラテジスト、トム・フィッツパトリック氏はユーロについて、ことわざを引用し「盲人の国では片目の人は王様となる(in the land of the blind, the one-eyed man is king)」と述べた。

 昨年11月の高値1.50ドルから6月の安値1.19ドルの下げからみると、現在の1.36ドルは半値戻しの水準だ。別の強気を示すサインとしては、先週200日移動平均を上抜けた。これは過去4年で4回目となる。

 フィッツパトリック氏は1.36ドル超えの水準では、やや足踏みとなる可能性があるが、11月から6月の下げの61.8%戻し(1.3894ドル)を抜けると、上放れにつながると指摘し「1.39ドル圏が視野に入る」と述べた。 

 米連邦準備理事会(FRB)の追加緩和が11月にも見込まれるなか、対ドルでのユーロ買いが優勢だ。去年のFRBによる国債買い入れ時にドルは6カ月にわたり軟調だった。

 マーク・インベストメンツのアクセル・マーク社長は「米国はいずれ量的緩和を始める。まるで日本・スイス・英国のように、通貨安で景気を押し上げようとしているようだ。一方、欧州では、量的緩和はそれほどでもなく債券買い入れも最小限だ」と述べた。 

 一方で、為替市場での常としてユーロへの見方が急に変化する可能性もある。BNPパリバの通貨ストラテジスト、セバスチャン・ギャリー氏は、現在のユーロ上昇は2009年の同様の上げのような心地悪さを感じると指摘した。ユーロは09年3月の1.23ドルから11月には1.50ドルまで上昇、その後下落した。BNPパリバは依然としてユーロをロングにしているが、この春の欧州債務危機は終息しておらず、ユーロはいずれ失速すると同氏は指摘。「いずれ臨界点に達する。1.40ドルに達すれば疑念を押しとどめることはできなくなる」と述べた。 

 オプション市場では、GFIのデータによるとユーロ/ドルのリスクリバーサルはユーロプットが優勢。つまりユーロの急激な下落にヘッジがかけられている。しかしモメンタムは依然としてユーロが優勢で、29日時点の1カ月物リスクリバーサルはマイナス0.6。今月初めはマイナス1.85だった。先週のIMM通貨先物の取組で、投機勘定はユーロショートからロングに転じ、上昇を見込んでいることを示した。

 前出のマーク氏は、ユーロ下落へのヘッジとしてスイスフランが魅力的としつつも、長期的には他の主要通貨よりもユーロ買いのほうが健全と指摘する。比較的引き締め気味の金融政策や、ドイツなど一部諸国の健全な財政運営が要因だ。同氏の運用するハード・カレンシー・ファンドではユーロへのエクスポジャーを20%程度から30%強に積み増した。

 マーク氏は「振り子はもちろん振れるが、米国のバランスシートは悪化しており、振り子がドル方向に向かう度に揺れが弱くなっている」と述べた。 

 (Steven C. Johnson 記者;翻訳 村山圭一郎;編集 宮崎 大) 

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up