[東京 6日 ロイター] パルコ8251.Tの平野秀一社長は6日に開いた複数の決算会見で、同社が政策投資銀行を引受先として行った新株予約権付社債(転換社債:CB)発行や提携に筆頭株主の森トラスト(東京都港区)が反対していることについて「いろいろなことでお考えがあるなら、謙虚に聞いて、話をしていく」と述べ、今後も話し合いを続けながら理解を求める考えを示した。
6日に行われたパルコの決算会見は、森トラストにによる反対の意向が表面化して以降、平野社長が初めて問題について答える場となった。主なやり取りは以下の通り。
──日本政策投資銀行との提携で森トラストとどういう話し合いが行われているか。
「中期計画を発表し、その実現にまい進していく。企業価値が上がれば、株主にとっても良いこと。われわれは株主全体の利益を考える立場。委員会設置会社なので、この計画も社外役員を含めてきちっと決議したもの。今後もその旨を話しながらやっていく」
──森トラストの理解は得られているのか。
「必要な説明は事前にさせていただいている。ただ、先方は先方で、いろいろな考えがあると思う。そういう意味では、謙虚に、その辺のことも丁寧に説明していく」
──まだ理解は十分に得られていないのか。
「先方のことはこちらから言えない」
──森トラストはどのように言ってきているのか。
「大株主であっても、個々の株主とのやり取り(についての発言)は慎重であるべき。報道されていることから言えば、まだ、いろいろなことでお考えがあるなら、謙虚に聞いて、話をしていく」
──中国のリスクで計画見直しは。
「具体的にはない。ビジネスにはいろいろなリスクがある。そのリスクを織り込みながら進めていく。国内のようにすぐに上手くいくことはないし、いろいろなハードルを乗り越えていく。パートナーが必要なので、しっかりしたところと話しながらやることでリスクをクリアしていく」
──森トラストからも資本増強などの提案があったと思うが、なぜ政投銀だったのか。
「個々の株主とのやり取りは発言を控えたい。中期計画とそれに伴う資金計画、中期の実現の蓋然性(がいぜん)を高めるための政策投資銀行からの様々な業務支援があり、決議した」
──安定株主は必要か。
「市場に影響を与えるため、発言は控える」
──森トラストが反対していること自体について、社長の認識は。
「森トラストはいろいろな考えがあると思う。その考えについては謙虚に受け止めながら、今後もいろいろ対話をしていきたい。われわれとしては中期計画とその中期計画の実現の蓋然性(がいぜん)を高めるための業務支援などで企業価値を高めるという立場。株主全体にそれを還元していく。そのことは森トラストにとっても悪いことではなく、プラスになる。そのことをきちっと説明していきたい」
「委員会設置会社であり、社内としてきちんと政投銀との資本業務提携、中期計画も企業価値向上の観点から客観的・冷静に・公正に決議している。そのことをきちっと丁寧に謙虚に伝えていく」
──そもそも森トラストが、なぜ反対していると理解しているか。
「個別の株主とのやり取り(についての発言)は、慎重であるべきと思っている。先方のご意見もよく聞きながら、きちんと対応していこうと考えている」
──メーンバンクはどう言っているのか。
「先方がどう思われているか、答える立場ではない。メーンバンクにもきちんと説明して、実際にお会いして話をしている。ご理解を頂いている」
─メーンバンクからは理解をもらっているという理解か。
「私どもの立場としてはご理解を頂いていると思っている」
──今後も大株主に依存せずに、様々なところから資金調達する方針か。
「市場に影響を与えるような資本政策にはコメントできない。回答を控えたい」
(ロイターニュース 清水 律子)