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金融緩和が株・債券を下支え、為替は米雇用統計とG7待ち

 [東京 7日 ロイター] 7日の東京市場では、先に決定された日銀による包括的な金融緩和措置を受けた株高と長期金利の低下がみられる一方で、外為市場ではドル安トレンドが続くなか、週末の米雇用統計や7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)を巡る思惑が広がった。

 10月7日、東京市場では、金融緩和が株・債券を下支え。写真は2008年11月、東京証券取引所で(2010年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 <世界的金融緩和が株価を下支え>

 株式市場では日経平均が前日終値近辺の狭いレンジで小動き。

 為替が1ドル82円台の円高に進んでいるものの、世界的な金融緩和政策による過剰流動性を背景に、不動産、銀行などの内需関連株が買われ相場を下支えしている。

 米雇用統計の発表を控えて上値を買う動きは出ていないが、「日銀によるリスク資産買入れ意思の表明はマーケットのリスク・プレミアムを縮小させる効果があった」(外資系証券)とみられている。

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券投資ストラテジストの山岸永幸氏は「グローバルな利下げ競争を見込んだ余剰資金が株式市場に流入している。金融緩和の背景にある景気減速は株式にとってはマイナスであり、足元の相場はやや不健全な印象もあるが、日銀の踏み込んだ緩和措置がなければ日経平均は9000円割れもあり得る状況だった。マネーが回っているのは市場にとって悪くない」と話している。

 ただ、期待される海外勢は買い戻しが中心で実需筋の動きは鈍い。「金融政策は転換したが、ねじれ国会の中で補正予算等の政策が不透明だ。海外勢はこれを見極めようとしている」(コスモ証券本店法人営業部次長の中島肇氏)との指摘も出ている。

 <債券市場は高値警戒感も>

 円債市場では、約7年ぶりの高値圏での推移に伴う「高値警戒感」に加えて、10年物国債入札に絡む調整などから、国債先物が前日終値付近でもみ合った。中期ゾーンでは、利益確定目的の売りが出たという。

 外資系金融機関の債券ディーラーは「事前に時間軸強化を見込んでいた参加者が、中期ゾーンで利益確定売りを出し、長期ゾーンでの債券運用に切り替えている」と話した。邦銀の運用担当者は「大手行中心にキャリー取りの資金が長期債に向かっているのではないか」と指摘した。

 日銀が5日、実質的なゼロ金利政策の再開を決めたことを受け、国債利回りに低下圧力がかかっている。日銀は、実質ゼロ金利政策について、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで継続するとしており、時間軸は明確になった。一方で中短期ゾーンの金利低下余地に関しては、懐疑的な見方もくすぶる。  

 財務省が朝方発表した対外及び対内証券売買契約等の状況(週次・指定報告機関ベース)

によると、非居住者による中長期債投資は9月26日―10月2日に1兆0988億円の取得超過となり、2008年8月3―9日の週以来、約2年2カ月ぶりに取得超過額が1兆円台に乗せた。海外の中銀系やヘッジファンドの運用資金が、利付2年物国債に向かったためとみられる。

 財務省が9月28日に実施した2年物国債(297回債、表面利率は年0.1%)の入札結果は、募入最低落札価格が99円92銭0厘だったのに対し、平均価格も99円92銭0厘となり、市場で「好調な入札」と評価された。応札倍率は5.75倍だった。

 <為替は米雇用統計、G7待ち>

 午前の外為市場では、ドルが82円後半で足踏み状態となる一方、ユーロは上値が重い展開となった。 週末に9月の米雇用統計や7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)等のメジャー・イベントを控え、前日8カ月ぶりの高値を更新したユーロには、ポジション調整の動きがみられるという。

 朝方の取引では、予想を上回る9月の豪雇用統計を受け豪ドルが急伸。豪ドルは0.9760/65米ドル付近から一気に駆け上がり0.9844米ドル付近と約2年ぶりの高値を更新した。

 市場の関心は9月の米雇用統計と、G7での為替の討議に向いている。

 企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)子会社などが6日発表した9月のADP全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は3万9000人減少した。 ロイターがまとめたエコノミスト38人の予想中央値は2万4000人の増加だった。

  予想を上回る民間部門雇用者数の減少幅を受け、市場では、8日に発表される9月雇用統計の見通しについて、国勢調査による効果が引き続きはく落していることから、軟調になる可能性が高いとの見方が広がっている。 

 「(米)雇用統計が悪くてドル安/円高が加速した場合、日本政府はG7の最中に介入を迫られることになりかねない。ただ、円高が加速すれば、G7開催中であろうと介入するだろう。 G7で日本の介入が議論された場合は、日本の介入は円高加速を和らげるスムージングオペであって、円安誘導ではないと主張することになるだろう」と大和総研チーフ為替ストラテジストの亀岡裕次氏はいう。 市場では、米国のドル安容認姿勢が、ドル安を助長しているとの見方が強い。

 「ガイトナー米財務長官の講演内容(6日)を見ても、ドル安方向の話しかしていない。米国は、今後ともドル安を促したいとの明らかな意図がうかがわれる」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券クレジット市場部の為替課長・塩入稔氏は指摘する。

 さらに「ユーロ圏については、ドル安の受け皿としてのユーロ高を容認しているわけではないが、現状では矛先が中国に向いているようだ。結論として、週末のG7では、黒字国かつ為替相場を明らかに割安に放置している国に対する警告が、当事国不在で発せられると予想する」と述べた。

 ガイトナー長官は講演後の質疑応答で、日本の為替介入が通貨安競争を助長したとの見方を否定したと伝わっている。

 「現状のドル全面安の流れにおいて、ドル安の『行き過ぎ感』や『過熱感』というものは確かにある。ただ、逆に、ドル安を止めるインセンティブとして、こうした『行き過ぎ感』『過熱感』しかなく、米金融政策の方向性を含め、明確なドル買い材料が存在しない」と塩入氏は述べ、短期的には82円ちょうどが視野に入るとした。 

 (ロイター日本語ニュース 金融マーケットチーム)

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