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先進国、異例の金融緩和継続が必要=白川日銀総裁

 10月10日、日銀の白川総裁は、先進国には異例の金融緩和継続が必要だと述べた。写真はG7夕食会での白川総裁。8日撮影(2010年 ロイター/Jonathan Ernst)

 [ワシントン 10日 ロイター] 7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)などに出席するため訪米中の白川方明日銀総裁は10日、国際金融協会(IIF)で講演し、日本のバブル崩壊以降の経験を踏まえ、金融緩和だけでは問題は解決できず景気の本格回復にはバブル期に蓄積された過剰を一掃する構造改革が不可欠との持論を述べた。

 先進国各国は「異例の緩和的な金融政策」を継続する必要があるとする一方、副作用として新たなバブルが発生する可能性に懸念を示した。

 白川総裁は「消費者物価上昇率について、バブル崩壊後の日本と2007年以降の米国のグラフを重ねると、両者は驚くほど似ている」とし、米国経済がデフレ傾向を強めつつある点を指摘。そして、「様々な異例の政策努力にもかかわらず、バブルを経験した国がバブル崩壊後の落ち込みから立ち上がり、景気が本格的に回復するまでには、かなり長い時間を要することを冷静に認識する必要がある」とし、「バブル期に蓄積された『過剰』の整理にメドがつかない限り、力強い経済成長を取り戻すには至らないことは、冷厳な事実」と指摘した。

 先進国に共通する経済政策運営上の主要課題の一つとして、「現在の経済状況を踏まえると、異例の緩和的な金融政策を継続する必要がある」とし、日銀が5日に発表した国債や指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J─REIT)などの買入れを含む包括的な金融緩和策を紹介。

その上で「緩和的な金融政策は必要な政策措置だが、それだけでは問題を解決することはできない。構造改革が不可欠」とも強調した。

 一方、「緩和的な金融政策が新たなバブル発生の一因となる可能性も否定できない」と指摘。「危機は毎回、違った姿で表面化する」とし、「現在、先進国の景気回復は新興国の力強い成長に支えられているが、新興国の力強い成長がバブル的な景気拡大である場合には、新興国はもとより、先進国も大きな影響を受けることになる」と先進国の金融緩和が新興国への資本流入という形で新たなバブルを形成する可能性について警鐘を鳴らした。

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