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世界の銀行、「バーゼルIII」に備えリスク資産の圧縮が必要に

 [ロンドン 13日 ロイター] 世界各国の銀行は過去2年にわたり資本増強に努めてきたが、銀行の新資本規制「バーゼルIII」が導入されれば計算上、リスク資産が膨らむことから、今後はバランスシートの圧縮を迫られる見通しだ。

 10月13日、世界の銀行は「バーゼルIII」に備え、リスク資産の圧縮を迫られる見通し。写真はロンドンにあるスタンダード・チャータード銀行前で撮影(2010年 ロイター/Stefan Wermut)

 先月公表された「バーゼルIII」の概要は、銀行にとってダブルパンチとなった。資本の定義を狭めた一方で、多くの資産についてリスクウェートを引き上げたためだ。その結果、多くの銀行は自己資本比率の数値が圧迫されることになる。

 英スタンダード・チャータードSTAN.Lは13日、「バーゼルIII」に基づくリスク加重資産(RWA)の増加で自己資本比率が低下することを理由に、53億ドルの株主割当増資を実施する方針を表明した。

 各銀行は、リスク加重資産の増加をどれだけ抑制できるか、さらにそれが利益や配当などに及ぼす影響について懸念している。

 マトリックス社のアナリスト、アンドリュー・リム氏は「それはトレードオフの関係にある。銀行はRWAを圧縮できるかもしれないが、そうすれば収益に悪影響を与えることになる」と指摘する。

 「バーゼルIII」の影響を最も被りそうな銀行は、UBSUBSN.VX、クレディ・スイスCSGN.VX、ドイツ銀行DBKGn.DE、バークレイズBARC.Lなど、大規模なトレーディング勘定を抱える欧州勢だ。

 リスク資産の算出方法は複雑で、来月ソウルで行われる20カ国・地域首脳会議(G20)の場で最終的に固められる見通し。

 各行はその影響についてある程度ほのめかしているが、第3・四半期決算では具体的な見通しを示すことは避けると予想される。

 今のところ、リスク加重資産はUBSが倍近くに拡大するとみられるほか、クレディ・スイスは70%強、ドイツ銀行は50%程度膨らむ見通し。

 米国勢も影響を免れず、ゴールドマン・サックスGS.Nとモルガン・スタンレーMS.Nのリスク加重資産は約80%拡大する可能性がある。JPモルガンは36%、額にして4000億ドル増加すると推定している。

 銀行がリスク資産の増加を抑える方法としては、リスクの高い資産を売却することや、ストラクチャード商品を利用して資産をオフバランス化することが考えられる。

 だが、どちらにも問題がある。例えば、店頭デリバティブを中央決済機関に移せばマージンが必要となり利益が圧迫されるが、銀行はある程度の証券化商品を保有する必要がある。

 大半の銀行は中核的自己資本比率(Tier1)の新たな最低基準である7%を十分満たしているが、リスク資産が増加すれば、多くの銀行はその比率が7%に接近することになる。

 そうなれば、銀行は配当支払い能力やリターンが損なわれ、投資家が想定している以上に長期にわたって保守的なスタンスを続けざるを得なくなる。

 そのため、スイスや英国など特に厳しい資本規制が適用されそうな国では、銀行がバランスシートの拡大を抑えようとするに違いない。

 UBSはその影響について最も明確な見通しを示している。同行によると、「バーゼルIII」が導入されればリスク加重資産は2050億スイスフランから4000億フランに拡大する見通し。同行はそれを3000フランまで圧縮する方針を表明しているが、それでも現在に比べ46%増加することになり、しばらく配当の支払いが難しくなると警告した。

 クレディ・スイスは、「バーゼルIII」が導入されればリスク加重資産が2330億フランから4000億フラン程度に増加すると予測。バークレイズも、1500億ポンド増加して3950億ポンドに達すると推定している。両社とも、リスク資産を縮小する措置を講じる考えを示している。 

 (Steve Slater 記者;翻訳 長谷部正敬) 

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