[北京 22日 ロイター] 中国人民銀行(中央銀行)の李東栄総裁補佐は、米経済の回復は減速しユーロ圏では不均衡が拡大しているとし、世界経済の回復はまだ基盤が固まっていない、との認識を示した。
スピーチの内容が22日、人民銀行のウェブサイト(www.pbc.gov.cn)に掲載された。
同総裁補佐はまた、先進国による超緩和政策の継続が新興国への大量の資本流入を招く恐れがあると警告した。
ぜい弱な世界経済の回復を背景に、中国は人民元上昇に向けた長期計画を後退させることはできないとの見解を示した。
総裁補佐は今週行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の会合で「(世界経済の)回復の基盤は依然として堅固ではない。最近では米経済回復は減速し、米政府による景気刺激策の効果は不透明だ」と述べた。
欧州のソブリン債をめぐる懸念についてはいくぶん後退したとする一方、引き続き根本的な解決策は見当たらず、ドイツが勢いを増す一方で南欧諸国が低迷を続けるなどユーロ圏内での均衡の崩れは深刻化しているとの見方を示した。
日本経済についても回復がつまずいているとし、当初掲載されたスピーチでは「円は最近強い上昇圧力を受け、日銀は(円高抑制に向け)2兆円規模の介入を実施するしか選択肢がなかった」と述べた。
その後差し替えられたスピーチには日本の為替介入についての言及はなかった。
総裁補佐は、日米の超緩和的な政策が成長著しい新興国に対して深刻な課題を呈しているとし「新興市場はともに、非常に規模の大きな資本流入や通貨の上昇、インフレ圧力に直面する」との見通しを示した。
人民元について、中国政府は人民元の役割拡大に向けて2国間通貨スワップの利用を促進する、と述べた。「貿易や直接投資での人民元利用を支持するため、需要に沿う形で、関係各国との通貨スワップ協定の締結を引き続き進める」とした。
中国はこれまでに、韓国、マレーシア、アルゼンチンなどと通貨スワップ協定を結んでいる。