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日本とインドがEPAで正式合意

 [東京 25日 ロイター] 日本とインド両国政府は25日、両国間の貿易やサービスなどの自由化を進める経済連携協定(EPA)を締結することで正式合意した。中国に次ぐ約12億人の巨大な人口を抱え、高い経済成長が続くインドとの経済関係を強化することで、自動車や鉄鋼などの日本の基幹産業からは、新たな市場拡大のチャンスと期待する声が聞かれる。

 10月25日、日本とインド両国政府はEPAを締結することで正式合意。インドのシン首相(左)と菅首相。東京で。代表撮影(2010年 ロイター/Everett Kennedy Brown)

 EPAは、モノやサービスの貿易の関税を撤廃する自由貿易協定(FTA)を中核に、投資やヒトの移動などを自由化して経済関係を活発化する狙いがある。インドとのEPAは来年以降に発効する見通しで、発効後の10年間で日本からインドへの輸出額の90%、インドから日本への輸出額の97%に当たる物品が無税となる。日本はこれまで11カ国・地域とのEPAが発効しており、インドで12件目になる。

 日本とインドの2009年の貿易額(輸出入合計)は約9400億円と、日本と中国との貿易額(09年で約21兆6700億円)の4%強の規模だが、経済産業省は「将来の成長ポテンシャルがあるインド市場では、現在ではほとんど関税がかかっているが、今後9割が無税になり、日本にとっても質の高いEPAになる」(通商政策局)と強調する。

 EPA発効により、自動車のエンジン関連部品(現行関税率7.5─10%)、鉄鋼製品の熱延鋼板(5%)や冷延鋼板(5%)、DVDプレーヤー(10%)やビデオカメラ(10%)、産業機械のトラクター(10%)やブルドーザー(7.5%)といったインドへの主な輸出品にかかる関税が今後、撤廃されていく。日本鉄鋼連盟の林田英治会長(JFEスチール社長)は記者会見で「世界で中国に次いで鉄鋼需要が伸びていく国がインドで、非常に魅力のある国だ」などと、EPA合意に期待感を示した。

 <韓国はインドとFTA開始>

 インドは韓国とのFTAが今年1月に発効している。インドで50%近いシェアを持つスズキ7269.Tの鈴木修会長兼社長は8月、都内で開いた新車発表会の会場で、「すでに韓国はインドと(FTAを)結んでいる。日本も早くインドと協定を結んでもらわないと、ハンデがついてしまう」と、日印EPAの早期合意を強く求めていた。

 今回のEPAの発効後でも、日本からインドへ輸出する完成車に対する関税は残るが、スズキなどインドで現地生産する日本メーカーにとっては、日本から輸入する部品に対する関税が撤廃されれば、その分、コストが削減できる。鉄鋼や自動車など韓国と競合する産業を多く抱える日本にとって、EPAによって「(対韓国との)価格競争上の不利も解消され、輸出の後押しになるだろう」(通商政策局)とみられている。

 <後発薬の日本参入でインド側が期待感>

 一方、日本市場に対しては、インドの医薬品メーカーが後発医薬品で攻勢をかけてくるとの見方がある。今回の日印EPAでは、日本とインドの後発薬の承認審査を同等にすることが盛り込まれた。日本政府関係者は「インドからの後発薬の承認手続きについては、あくまで日本メーカーと同等にすることを保証するもので、他国のメーカーに比べてインドメーカを優遇するわけではない」と説明している。

 しかし、インド側の期待感は強い。インドのシン首相は25日、日本経団連などとの昼食会でのスピーチで「日本とのEPAはインドの製薬業界にとって、新しい日本市場に対する機会を創造する。増大する日本の後発薬需要に対して、高品質で比較的安価なインド製の後発薬へのニーズがある」と述べた。今後のEPA発効に向けて、合意内容に関する両国の認識の食い違いが出るかどうかにも注意する必要がありそうだ。

 (ロイター日本語ニュース、浜田健太郎 取材協力:大林優香、清水律子、杉山健太郎)

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