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焦点:日銀・展望リポートで12年度CPIは+0.5%以下に

 [東京 25日 ロイター] 日銀は28日に開く金融政策決定会合で、2012年度までの「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を決定し公表する。国内外の経済減速や円高などを織り込み、10年度と11年度の実質国内総生産(GDP)成長率や消費者物価指数(CPI)上昇率の見通しを引き下げ、12年度はプラス0.5%以下と低めの物価上昇率を示すことで、現在の金融緩和を長期継続する姿勢を示すもようだ。

 10月25日、日銀は28日に開く金融政策決定会合で、2012年度までの「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を決定し公表する。写真は9月、日銀前を通り過ぎる男性(2010年 ロイター/Yuriko Nakao)

 一方、会合では創設に向けて準備を進めている資産買入基金について、買入条件などの骨子も決定する予定。

 日銀は、28日の会合で決定する10月展望リポートで、景気は緩やかに回復し、物価上昇率のマイナス幅が縮小するという基本シナリオは変更しない方針。一方で、海外経済の減速や円高などを背景に、日本経済の先行きについて「物価安定のもとでの持続的成長経路に復する時期は、後ずれする可能性が強まっている」とみており、足元の10年度成長率は7月時点の大勢見通しの中央値であるプラス2.6%から、数ポイント引き下げられる可能性が大きい。

 一方、物価上昇率については、11年度が7月時点のプラス0.1%からゼロもしくはマイナス圏に引き下げとなり、初めて公表される12年度は0.5%以下のプラスになるとみられている。日銀内では、5日に公表した包括的な金融緩和策を打ち出さなければ、12年度も物価が下落する可能性があるとの厳しい見方もあったもよう。このため、日銀が「中長期的な物価安定の理解」で安定的な物価上昇率の中央値としているプラス1%程度への物価上昇の実現は、13年度以降になりそうだ。

 社団法人・経済企画協会がまとめた民間エコノミストによる予測の集計調査によると、物価上昇率は11年度がマイナス0.17%、12年度がプラス0.21%トとなっている。市場では、日銀が今後追加緩和策を打ち出す際に、景気・物価見通しの引き下げ余地を残すために、民間予測よりやや高めの数値を出す公算があるとの見方もある。

 また、物価見通しの算定にあたっては、11年度夏に予定されている消費者物価指数の基準改定の影響について、改定により下振れする可能性を文書で指摘することにとどまるのか、暫定的な影響値を織り込むかも注目される。

 基準改定を織り込む場合は消費者物価指数は下振れる。総務省が算出している消費者物価指数は、基準年から時間が経つと指数が実態より大きくなる傾向があるためだ。基準改定の影響幅は、0.3─0.4%程度との暫定的な試算もある。その場合11年度は物価上昇率はマイナスとなる。

 <買い入れ試算にトリプルB格社債も、基金増額論議の有無注目>

 5日に公表された包括緩和策の柱となる、総額5兆円の基金創設による金融資産の買い取りについては、現在詳細を詰めており、28日の会合では、準備の整ったものから順に骨子として決定する予定。詳細は11月15─16日の会合に持ち越される見通しだ。

 今回は、社債やコマーシャルペーパー(CP)の買入条件について、過去に日銀が買い取りを実施した時よりも基準を引き下げ、社債は「トリプルB格」以上、CPは「a2格」も対象とする方針が決まる見込み。幅広い銘柄の社債やCPの価格に影響を与えることで、強い緩和姿勢を示すのが狙い。ただ、トリプルB格の社債や、a2格のCPは、銘柄によって信用度の程度にばらつきが大きく、実際の買い入れにあたっては慎重に対応する計画だ。

 焦点となるのは、基金総額を拡充する可能性について、議論されるかだ。日銀は、各種試算の買い入れ規模を、長期国債と国庫短期証券で合計3.5兆円程度、CPや社債などが計1兆円程度、株価指数連動型上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(J─REIT)は5000億円程度としている。日銀が初めて購入対象とするETFやREITの買い入れには時間がかかるとみられるなか、国債などについては早期に購入し、必要なら買い入れ額を引き上げることについても前向きな意見が日銀内の一部で浮上している。11月2─3日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)では、本格的な金融緩和が打ち出される公算が大きく、円高や株安を通じて国内経済への影響が懸念される場合には、議論の俎上(そじょう)にのぼる可能性もある。一方、資産の買い入れ実施前に増額議論は時期尚早との意見もあり、今後の動向が注目される。

 また、事実上のゼロ金利政策が継続するなか、基金総額を金融政策運営のメルクマールとする方針。このため、変更がなくとも基金総額について毎回の決定会合で決議する案も浮上している。

 (ロイターニュース 竹本能文記者;編集 宮崎亜巳)

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