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日銀、次回会合を米FOMC直後に前倒し

 10月28日、日銀は金融政策決定会合で、11月の次回定例会合の日程を従来の15─16日から4─5日に前倒しすると発表。写真は都内の日銀前で4日撮影(2010年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 [東京 28日 ロイター] 日銀は28日の金融政策決定会合で、11月の次回定例会合の日程を従来の15─16日から4─5日に前倒しすると発表した。

 日銀は、今回詳細を詰められなかった指数連動型上場投資信託(ETF)などの買い入れ方針を早期に決定するためと説明するが、直前の2─3日に予定されている米連邦公開市場委員会(FOMC)では、本格的な量的緩和政策が打ち出される可能性が大きい。その内容を受けて円高・株安が進行し、国内景気の下振れ懸念が高まる場合には、資産買入基金の拡充など機動的な追加緩和策について議論される可能性も否定できない。

 日程変更について日銀は、今月5日に打ち出した包括緩和策の目玉である基金での各種金融資産の買い入れで、今回初めて購入するETFと不動産投資信託(J─REIT)の買入実施要綱を定めるためとしている。28日会見した白川方明総裁は、FOMCの「スケジュールは意識していない」、「(日程を)繰り上げてでも、もっぱらETFやREITの買い入れを急ぎたい」と強調した。

 しかし、日銀内では、米緩和策の出方次第で円高や株安がさらに進行した場合、買入限度額を実質5兆円としている基金の規模を引き上げる必要があるとの意見も浮上している。これまでに買い入れを行っている国債や短期国債については、必要ならば現在決められた買い入れ限度額(計3.5兆円程度、うち長期国債1.5兆円程度)について柔軟に拡大すべきとの声も一部にある。次回会合では、11月のFOMCを受けて、市場動向とそれを踏まえた景気見通しに変化が生じる可能性が強まった場合、基金規模拡充など追加緩和策の必要性が議論される可能性もありそうだ。

 一方、基金による資産買い入れの金融緩和効果自体が現時点では不透明だとして、基金拡大は、各種資産買い入れを実施したうえで、効果などをみながら徐々に実施すべきとの慎重な意見もある。一度基金を増額すれば、縮小するのは難しく、日銀の財務の健全性にとってリスクが大きい。白川総裁は28日の会見で、基金による資産買い入れについて「これが最適と判断したが、効果と同様に副作用も指摘されている」と述べる一方、「効果と副作用を入念に点検して効果が勝り、経済・物価見通しが変われば増額も有力な選択肢」と語った。

 米緩和策の効果について見方が不透明となっていることも、FOMC直後に会合を開催する理由のひとつとみられる。米連邦準備理事会(FRB)関係者の相次ぐ発言により、市場では千億ドル規模の国債買い入れなど、想定される緩和策を織り込んでいるとみられ、米金利低下も一巡しつつある。正式発表の内容次第では、米金利低下・円高の潮目が変わることもあり得る。市場では、米金利急騰やさらなる急激な円高を引き起こす大規模緩和は打ち出されない可能性もとりざたされ始めた。日銀としては米側の出方を見て、すぐに次の策を練ることが可能となる。

  (ロイターニュース 竹本能文記者;編集 石田仁志)

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