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生産2期連続悪化の可能性、景気は「深い踊り場」入りの見方

 [東京 29日 ロイター] 内外需の減速を背景に生産が減少に転じ、年内の景気は厳しさを増す可能性が高まっている。29日に発表された鉱工業生産統計によると、7─9月生産が6期ぶりに低下に転じ、10─12月も2四半期連続の低下となる可能性が出てきた。

 10月29日、内外需の減速を背景に生産が減少に転じ、年内の景気は厳しさを増す可能性が高まっている。都内で昨年6月撮影(2010年 ロイター/Toru Hanai)

 これまで生産を押し上げてきた耐久財支援策の期限到来が、大きな下押し要因となっているとともに、海外経済の減速もあいまって、一部業種で在庫調整圧力が高まっている。景気後退に陥るとの指摘は少ないが、少なくとも予想以上の「深い踊り場」に入ったとの見方が広がっている。 

 <一部に景気後退との指摘も> 

 9月の生産は、8月に続いて予想以上の低下となった。エコノミストからは「現実が想定以上に悪化し始め、かつ先行きについても一層の減産となるなど、すでに景気後退局面入りした可能性がないわけではない」(農林中金総研・主任研究員・南武志氏)との見方が浮上している。

 経済産業省がとりまめた先行き10、11月の生産予測から南氏が試算した結果、10、11月平均の生産は、7─9月平均より4.2%も低い水準となり、10─12月に2四半期連続で低下する可能性が高まったからだ。一部では「2四半期連続のマイナスとなり、景気の踊り場懸念というよりも、むしろ二番底懸念につながってくる」(みずほ証券マーケットエコノミストの土山直樹氏)との懸念も出ている。  

 <懸念の背景に、輸出鈍化と在庫の積み上がり> 

 リーマンショック以降の大幅な落ち込みから生産が回復してきた背景の1つには、政府による耐久財支援策があった。特に、幅広い産業が自動車向け、家電向けに増産を続けてきた。しかし、9月はエコカー補助金が打ち切られ、エコポイントによる家電販売もこのところ増勢は鈍化しつつある。景気下支えに貢献してきた支援策が、逆に景気下押し圧力になるという皮肉な構図が浮かびつつある。 

 さらに、外需の増勢鈍化も目立ち始めた。数量を示す実質輸出指数は2カ月連続で低下。世界経済全体の拡大テンポは、OECD(経済協力開発機構)景気先行指数などから当面減速する可能性が高いことが予想されている。 

 生産の低下が一時的か否かは在庫動向がカギとなるが、9月の在庫指数は前年比3.5%上昇し、08年12月以来の上昇幅となった。在庫率も今年初めを上回る水準に逆戻りしている。特に、電子部品・デバイスの在庫は、前年比40%以上増加、情報通信工業でも調整圧力が高まっている。 

 <回復は来年後半に> 

 日銀は28日発表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、「海外経済の減速や耐久消費財に関する政策効果の反動といった要因に加え、このところの円高の影響もあり、景気改善テンポが鈍化する可能性が高い」との見通しを示している。一方で来年には緩やかな回復経路に再び復していくシナリオを示し、景気は踊り場から再び回復へ向かうとしている。 

 伊藤忠商事・主任研究員・丸山義正氏も、一般機械など設備投資関連の堅調な業績が全体を下支えしていることから、「11年については、前半は横ばい程度にとどまった後、輸出の持ち直しを受け、後半にかけては再び増勢に復する見込み」と11年中の回復を見込んでいるが、年後半まで踊り場が続くとの見方を示す。 

 このように景気後退を指摘する声は少数だが、予想以上の減産が続いていることを受けて「生産はやや深めの踊り場入りとなる」(モルガンスタンレーMUFG証券・チーフエコノミスト・佐藤健裕氏)との見方が広がっている。 

 (ロイター日本語ニュース 中川泉記者;編集 宮崎亜巳)

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