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再送:米FOMC:識者はこうみる

 [ニューヨーク 3日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)は3日発表した連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、景気てこ入れに向け、2011年の半ばまでに6000億ドルの国債を追加で買い入れる方針を表明した。

 11月3日、米FRBはFOMC声明で、景気てこ入れに向け、2011年の半ばまでに6000億ドルの国債を追加で買い入れる方針を表明。写真は9月、バーナンキFRB議長。ワシントンで(2010年 ロイター/Richard Clement)

 市場関係者のコメントは以下のとおり。

●一段の透明性で市場予想上回ること狙う

 <LPLフィナンシャルの首席市場ストラテジスト、ジェフ・クライントップ氏>

 国債買い入れの規模や期間、ペースがはっきりとしたことで、一段の透明性を市場に与えることになる。

 問題は、これが十分かどうかということだ。約6カ月間で5000億ドルの買い入れを実施するというのが大方の見方だったことから、今回の決定はそれをやや上回った。

 米連邦準備理事会(FRB)は市場にすでに織り込まれていた5000億ドルを若干超えることを望み、一段の透明性と予想を上回る最大6000億ドルを明示することで、市場の期待を上回ることを狙った。

 また、失望と驚きの差は非常に小幅だったが、市場に織り込まれていた規模を上回り、一段の透明性を示すことで、FRBはこの差を埋め合わせた可能性がある。

 FRBが買い入れ期間に関しあいまいな表現を示していたら、市場では売りが優勢となった可能性がある。FFBが明確な姿勢を示したことは朗報だ。

●量的緩和ではなく既存計画の焼き直し

 <スタイフェル・ニコラウスの市場ストラテジスト、ジョセフ・バティパグリア氏> 

 市場の予想通りだ。ただ、追加買い入れ規模が6000億ドル相当と、8000億─9000億ドル規模でなかったことを指摘したい。これは量的緩和ではなく、すでに発表された計画の焼き直しにすぎない。

 全般的にみて、FRBが基本的に示しているのは、米経済が引き続き過度に弱く雇用創出に至っておらず、デフレリスクが存在することから、債券市場に足を踏み入れ金利を人為的に誘導する状況を作り出すということだ。

 株式市場の当初の反応は限られたが、今回の発表が「衝撃と畏怖」ではなかったため、市場が声明の内容を消化するにつれ、やや落胆を誘うだろう。

 米経済てこ入れに向けた積極的な刺激措置という新たな方向性に踏み出しているとは思わない。中間選挙で共和党が議席を伸ばしたこともあり、われわれは実際のところ景気支援措置の解消に向かっている。

●来年下期の追加措置の可能性に含み残す

 <CRTキャピタル・グループの国債戦略部門責任者、デービッド・アダー氏>

 資産買い入れ総額は、バランスシート維持目的の毎月350億ドルの買い入れを含めると、来年上半期末までに9000億ドルに近づく見通しとなり、規模に関する市場の期待にほぼ沿った格好だ。

 量的緩和の部分は、一般的なコンセンサスの水準を1000億ドル程度上回っている。言うまでもなく、下半期に追加措置がとられる可能性について含みを残した。

●「長期間」の文言変わらず拍子抜け

 <ウエストパックの上級為替ストラテジスト、リチャード・フラヌロビッチ氏> 

 (追加緩和の規模が)大き過ぎるとは思わない。毎月750億ドル(の国債買い入れ)は(予想の)1000億ドル以下だ。

 一部ではFRBが声明の「長期間」の文言を一段と長い期間を示す文言に変えるとの見方もされていたが、変更されなかった。FRBは6月以降、何の変更も経済見通しも示しておらず、やや拍子抜けだ。

●商品市場の支援要因、ドルには不利益

 <投資情報ニュースレター「ガートマン・レター」の発行者、デニス・ガートマン氏> 

 明確な規模と方針を明らかにした米連邦準備理事会(FRB)の透明性に拍手を送りたい。これこそまさに彼らが言うべきことだった。(総額6000億ドルの)規模は考えていたより若干大きかった。

 概して、恐らく商品市場の支援要因になると思う。概して、恐らく金市場の支援要因で、ドルには不利な要因だろう。

 長期的に何かが変わったどうかは分からない。

●余剰資金は海外に流出する可能性も

 <ブレーバースターン証券の投資戦略担当、スコット・ブフタ氏> 

 多くの市場参加者の予想よりもタイミングはやや大胆だったが、全般に、今回の発表は市場の予想に沿った内容。銀行や企業のバランスシートに既に、大量のキャッシュが積み上がっていることを考えると、今回の措置で増えるキャッシュは、米経済に直接再投資されるのではなく、海外、または代替的な資産クラスに向かう可能性がある。

 米連邦準備理事会(FRB)が住宅ローン担保証券(MBS)の買い入れを再開する、との期待感もあったため、米国債に限った今回の措置は目先、エージェンシーMBSに悪影響を及ぼすかもしれない。

●市場に安心感、円安進み日本株にプラス

 <大和証券キャピタルマーケッツ金融証券研究所 投資戦略部部長 高橋 和宏氏>

 2011年半ばまでに6000億ドルの国債を追加的に買い入れるというのは市場予想を若干上回っているほか、追加緩和の可能性も示しており市場に安心感をもたらしている。一方、対ドルで円安が進んでおり、日本株にはプラスとなりそうだ。

 10月米ADP民間雇用者数は前月比4.3万人増と予想を大幅に上回っており、週末の10月米雇用統計が改善すれば、米追加緩和期待の後退でドル安・円高傾向にいったん歯止めがかかるかもしれない。

 ただ米国のデフレ傾向はしばらく続く見通しであり、米連邦準備理事会(FRB)は金融緩和傾向を続けざるを得ないだろう。この点からはドル安・円高圧力が残る可能性がある。

●米金利スティープ化、ドルの方向読みにくい

 <三菱東京UFJ銀行 金融市場部カスタマーグループ上席調査役 西井謙一氏> 

 米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加緩和自体は事前に想定されていた範囲内で、為替市場の受け止め方は冷静だった。ただ、米金利のイールドカーブがスティープ化しており、今後ドルが米金利の長期のものの上昇に反応するのか、短期のものの低下に反応するかは読みにくい。今回盛り込まれなかった物価目標が今後どうなるか、時間軸をどうからめていくのかもポイントになる。

 ただ、ドル/円についてはドル安トレンドの転換は難しそうだ。きょうから始まる日銀の金融政策決定会合をにらんですぐに下攻めはないだろうが、下値の節目である80円が依然意識されている。今回、日銀は一段の緩和には動かないとみており、達成感やアク抜け感がないなかで緩和見送りが確認されれば、いずれ80円をトライしにいく可能性がある。

●中長期的なドル安トレンド続く、米金利には低下余地も

 <JPモルガン・チェース銀行 債券為替調査部長 佐々木 融氏> 

 米連邦公開市場委員会(FOMC)を挟んで、為替市場ではポジションの傾きがあったので、上下変動が起こった。しかし、実際にFOMCが終わってみると、ドルは対円、ユーロ、豪ドル、NZドル、スイスフランといった各種の通貨で全般的に下がっている。米金利は超長期ゾーンは例外として、短い年限は低下している。 

 米連邦準備理事会(FRB)の追加的国債買い入れ額はほぼ市場の予想通りだったが、FOMCの声明では量的緩和拡大の余地を残している。 

 こうしたなか、外国からの対米資本フローが入りづらい環境は続き、中長期的にドル安トレンドが続くとみている。目先は79.75円を割り込んで安値を更新する可能性もあるとみる。ただ、年末に向けては、利益送金など年末特有のファクターもあり、ドルが買い戻される局面があるだろう。 

 中長期の米金利は上昇リスクより、むしろ低下リスクが高いとみている。これは米金融機関の運用対象が主に米国債に向いているためだ。外国人が処分した米国債は、米国内の金融機関によって消化されるだろう。 

●焦点が金融政策から経済指標に移行へ

 <アール・ビー・エス証券 福永顕人チーフ債券ストラテジスト>

 米連邦公開市場委員会(FOMC)を受けた市場の反応は、ドル安、株高だった。しかし、値幅はさほど大きなものとはならず、事前の市場の織り込みが過不足なく進んでいたことを示唆している。

 FOMCを終えて、グローバル金融市場の焦点は金融政策に過度にフォーカスしていたところから、1つ1つの経済指標を丹念に分析、消化していくという通常の流れに変わってくるだろう。引き続き年末に向けては包括緩和後の10年金利のレンジ0.82─0.97%が大きく変わることはないと考えている。

 グローバルには米国追加緩和をspeculativeに織り込んだドル安、株高、商品高、債券高局面は終了するものの、リアルに買い入れが始まってくることで緩やかに流動性が染み出してくる過程でのゆっくりとしたトレンドは持続するだろう。株高、債券高(あるいは少なくとも金利低位安定)というトレンドが持続することで、景況感に対してどちらかの水準がかい離しすぎているという判断となって急激な水準訂正が起こる局面がいずれ訪れると考えているが、それは3─6カ月程度後になってからであろう。

●金融緩和に打ち止め感出ないよう配慮

 <みずほ証券 上野泰也チーフマーケットエコノミスト> 

 米連邦準備理事会(FRB)が2―3日の連邦公開市場委員会(FOMC)で2011年半ばまでに6000億ドルの国債を追加的に買い入れる方針を表明した。規模は市場予想の範囲内の数字で、市場の失望を招かないよう配慮しつつ、しかも必要に応じて購入額を引き上げる可能性も声明文上でにじませることで、金融緩和に打ち止め感が出ないよう配慮した内容と受け止めている。

 3日の米債市場はマチマチの動きとなった。超長期ゾーンが不安定であることに変わりはない。インフレリスクに過敏な超長期ゾーンが不安定に動くことは避けられないということだ。一方で、手前のゾーンは買われている。円債も米債の流れを継ぎ、中短期ゾーンと超長期ゾーンとの間で分断的な状況が続きやすいとみている。長期ゾーンに関しては、バランスを見て、どちらかに傾く展開になる可能性が高い。

●インフレ期待高まる、一段のドル安圧力も

 <東海東京証券 チーフエコノミスト 斎藤 満氏> 

 米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明発表直後の市場では、若干の混乱があった。6000億ドルの追加国債買い入れ規模の一部が既存プログラムの焼き直し、との見方が広がり、ドルが買い進まれた。その後、6000億ドルが純増分だと市場が理解するにつれ、ドルが売られる展開となった。 

 しかし、ドルはとりあえず81円台をキープしているため、日銀の追加緩和について目先、圧力が高まるということにはならないだろう。だだ、今後のドルの動き次第では日銀に再び圧力がかかることになるだろう。 

 FOMCについては、追加緩和について投票権を持たない理事を含めれば、半数近い理事が慎重派だったが、今回の声明はバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の意向が色濃く反映されているとみている。FRBのバランスシートは2.3兆ドルから2.9兆ドルへと拡大された。  

 他方、8月半ば以降、固定利付国債の利回りとインフレ連動債の利回りの差であるブレーク・イーブン・インフレ率が高まりつつあり、市場はインフレ率の高まりをすでに心配し始めている。

 米国の実体経済が現状のデフレからすぐにインフレになるとは思わないが、こうした市場の懸念がドル安の背景となっており、インフレ期待が高まりに応じて一段のドル安もあるだろう。  

●ディスインフレや失業率高止まりに対応

 <ドイツ証券 チーフ金利ストラテジスト 山下周氏>

 連邦公開市場委員会(FOMC)では2011年2・四半期までに6000億ドルの国債を追加購入することが決定された。月間750億ドルのペースだ。これは、ほぼ市場予想に沿った結果とみられる。また、連邦準備理事会(FRB)は国債買い入れの年限別のおおよそのメドを示しており、17―30年ゾーンは全体の4%に過ぎず、5―10年セクターに配分が集中していることは、これまでのスティープニングと整合的となっている。

 FRBはインフレ期待を上げたいという希望を明確した。声明文では「連邦準備法に定める責務に基づき、委員会は最大限の雇用確保と物価安定の促進を追求する。現在のところ、失業率は高い水準にあり、基調的なインフレを示す指標は、FRBが責務とする最大限の雇用確保と物価安定の促進に長期的に一致していると委員会が考える水準に比べて、やや低い」とインフレ率の低さに対する失望感が示された。

 今回の決定は、ディスインフレや失業率の高止まりなど下振れリスクに対応したものと言える。今後のFRBの行動は、インフレ率の動向や雇用の回復ペース次第であり、まず、5日発表の米雇用統計に注目が集まる。

●緩和期間の長期化で、ドル/円こう着の可能性 

 <野村証券 金融市場調査部 外国為替アナリスト 池田雄之輔氏> 

 米連邦準備理事会(FRB)の追加緩和の内容は、思ったより長期債買入額が少なかった。このため米債市場では、10年債が売られ、5、2年債が買い進まれる展開となった。ドル/円相場は後者の利回りとの相関が、比較的に高いので、今後、円安の流れを描きにくいと言える。  

 ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明を受けて、ドルは全面安となったが、対円ではそれほどドル安が進んでいない。これは3日のロンドン市場で英ポンド/円が大幅に上昇したことが影響している。

 英ポンド/円急騰の背景は、三菱UFJフィナンシャル・グループ8306.Tが英大手銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)RBS.Lの開発金融(プロジェクト・ファイナンス)部門の買収について、RBSと交渉中であると伝わったことだ。英ポンド/円の上昇を受け、対ドルでも円安が進行し、ドル/円が底上げされた。 

 FRBの追加緩和については、国債買入額を小規模に抑え、市場に追加緩和期待を持たせるという方法もあったと思うが、今回は6000億ドルを8カ月にわたり実施するということで、この期間に追加で何かすることはおそらくないだろう。したがって今後しばらくの間は米金利の動きが緩慢になる可能性がある。これを受けてドル/円の値動きも、80―82円付近で、こう着感が高まるとみている。

●流動性相場への期待高まるが円高懸念残る

 <日興コーディアル証券 国際市場分析部長 大西史一氏>

 連邦公開市場委員会(FOMC)で決定した国債の追加買い入れについては想定の範囲内だが、次回のFOMC以降に見直しの余地を残したことで、過剰流動性相場への期待が高まった。米ダウ平均.DJIはリーマンショック前の水準にあと200ドルと迫っている。ただ、今後も円高の懸念が続くため、日本株は買い一巡後様子見になるのではないか。4―5日の日銀政策決定会合では追加緩和まで期待できない。次のイベントである米雇用統計を見極めるまで方向感は出にくいだろう。

●市場の期待に沿った内容、日本株は上値重い=東京海上AM投信 久保氏

 <東京海上アセットマネジメント投信 シニアファンドマネージャー 久保健一氏>

 FOMCによる追加緩和策に関し5000億ドル程度の国債追加買い入れが市場のコンセンサスの中心だった。やや抑えめになるとの懸念もあったので2011年半ばまで6000億ドルという内容はほぼ市場の期待に沿ったものだ。失望感はない。FOMCの決定を受けドル安/円高や米株安に振れておらず、足元はリスク回避を巻き戻す動きと理解できる。とりあえず円高は一服しており、今後は円ロングの巻き戻しの動きがどのぐらいになるのかがポイントだろう。それによってドル高/円安に向かう可能性があるためだ。

 きょうとあす開かれる日銀金融政策決定会合は、FOMC後の市場に波乱が見られないため、さらに(緩和に向けた)政策が出てくるとは思えない。日本株は当面反発の地合いとみている。ただ、先行き不透明感などで上値が抑えられ、日経平均9500円から上値は難しいのではないか。日本株は、ファンダメンタルズ的に来年1―3月期が底入れと確認できれば不透明要因は払しょくされる。

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