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FOMCでは先行き一段の緩和余地、ドルの買われにくい地合い続く

 [東京 4日 ロイター] 米連邦公開市場委員会(FOMC)は6000億ドルの米債追加買い入れによる金融緩和を決定した。緩和自体は織り込み済みだが、将来のさらなる緩和余地を残したことで、市場ではドルの買われにくい地合いが続くとみられている。

 11月4日、市場ではドル(写真)の買われにくい地合いが続くとみられている。昨年11月撮影(2010年 ロイター/Yuriko Nakao)

 <米金融緩和は想定の範囲内>

 FOMCでは、2011年6月までに6000億ドルの米国債を追加買い入れすることを決定。買い入れのペースと規模は定期的に見直し、景気の回復状況に合わせて調整していくことで将来の買い入れ規模拡大にも含みを残した。市場は半年間で5000億ドル規模のシナリオを軸に、事前にさまざまなシナリオを織り込んできており、FOMCの決定は「想定の範囲内」(みずほ証券グローバルエコノミスト、林秀毅氏)と受け止められている。

 <ドルの買われにくい地合い続く>

 市場では、米金融緩和とさきゆきのさらなる緩和余地をにらんで、ドルが買われにくい地合いが続くとの声が多い。「世界中にドルがあふれる」(草野グローバルフロンティア代表取締役 草野豊己氏)という量の面と、米債の中短期ゾーンが買われた米金利の面で、ドル売りのバイアスはかかり続けるという。

草野氏は「ヘッジファンドは、ドル売り/リスク資産買いのドルキャリーを来年に入っても続けそうだ」とみている。

 「ドルには今後とも売り圧力がかかる。ただ、いったん米金融緩和第2弾(QEII)を消化したことで売りのピッチはこれまでより和らぐ」(日興コーディアル証券為替ストラテジスト、松本圭史氏)との声も出ている。

 IMM通貨先物ポジションでのドルショートが高水準に積み上がっており、ポジションの巻き戻しはいつ起きてもおかしくない。ただ「米国の一段の緩和余地が残されたことで、ドル買い戻しが一気には起きにくくなっている。米景気指標などでドル買い戻しの手掛かりを探りながら徐々に巻き戻しを進めていくことになる」(日興コーディアル証券、松本氏)という。

 <一段のドル売りには気迷いも>

 一方で、ユーロ/ドルが1.40ドルに乗せた局面ではトリシェECB総裁からドル安けん制発言が出るなど、ユーロの高値警戒感が強まっている。豪ドルもパリティ(1豪ドル=1ドル)を超えて歴史的な高値圏にあり、円も対ドルで過去最高値(79.75円)が目前だ。QEII自体は事前に織り込みが進んでおり、先行きの緩和余地だけを手掛かりに高値警戒感のなかをユーロや円を買い上がることには不安もあるという。

 また「これだけ大規模に金融緩和を打てば、どこかで政策効果を先取りすべき局面がくる。ISM製造業景気指数などをみても、米国景気はそれほど悪くない。これまでのように一方的なドル売りを進められるかどうか不透明だ」(ステート・ストリート銀行金融市場部長、富田公彦氏)との声も出ている。これまではQEIIによる需給効果を前面に押し出し経済指標を無視してきたが、今後は米指標の動向に神経質な地合いに転じるとの見方だ。

 富田氏は「参加者はみな迷っている。市場は当面、方向感のないなかで、ボラタイルな値動きになりそうだ。緩和したからといって素直にドル売りとはいえない」とみている。

 米金融緩和を受けて米国金利のイールドカーブはスティープ化。中短期ゾーンの金利が低下した一方で、超長期は上昇した。市場では「ドル/円でみれば、一般的には中短期ゾーンに反応しやすい。ドル/円の売り圧力になる」(日興コーディアル証券、松本氏)との声が出ている。

 一方で「どちらに反応するか読みにくい」(三菱東京UFJ銀行 金融市場部カスタマーグループ上席調査役 西井謙一氏)、「イールドカーブがスティープ化するならヘッジ付きの米債投資が増えるため、為替には中立だ」(ステート・ストリート銀行金融市場部長、富田公彦氏)との声も出ている。2年債金利が過去最低水準にあるなどQEII相場のなかで金利の低下もすでに進んでいるため、米債買い入れという需給要因に対して、すでに積み上がった米債のポジションや水準感、先行きの政策効果への思惑が交錯し、方向感が定まりにくくなっているという。

 <週末の日銀会合は追加緩和見送り、期待感は続く>

 ドル/円については、日銀による追加緩和観測もサポートになる。FOMC後のドル/円急落が回避されたことで「4─5日の金融政策決定会合では追加緩和は見送り」(日興コーディアル証券、松本氏)

との声は多い。しかし、デフレの長期化や景気の低迷で、日銀による先行きの追加緩和観測はその後もくすぶり続けるとみられている。

 出口を意識しつつある欧州中銀(ECB)に対して、日銀の政策の方向が反対を向いていることで、ユーロに比べてドル売りの受け皿として選ばれにくいこともあり「ドル/円は、80円割れは十分にありうるとしても、徐々に底固めに入りそうだ」(日興コーディアル証券、松本氏)との声が出ている。

 (ロイター日本語ニュース 松平陽子)

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