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アイルランドめぐる懸念深刻化、EUとIMFは支援観測の火消しに

 [ダブリン 10日 ロイター] 財政問題が懸念されているアイルランドの状況が深刻化している。新たな財政計画を実施しても欧州連合(EU)やIMFの救済は避けられないとの懸念が広がるなか、アイルランド国債の利回りスプレッドが拡大。ホノハン中銀総裁は10日、大規模な銀行健全化策も投資家の懸念緩和につながっていないとの認識を示した。

 11月10日、財政問題が懸念されているアイルランドの状況が深刻化している。写真は同国中銀のホノハン総裁。香港で8月撮影(2010年 ロイター/Bobby Yip)

 アイルランド政府は、ギリシャのような救済は必要ないことを示そうと懸命。

 欧州委員会のレーン委員(経済・通貨問題担当)は10日、ロイターに対し、アイルランドから金融支援要請は受けていない、と述べた。それでも、アイルランド国債の対独連邦債利回りスプレッドは、ギリシャが救済を求める直前の5月の同国債と同じ速度で拡大している。

 国際通貨基金(IMF)も10日声明を発表し、IMFとアイルランドとの関係は「通常」であり、アイルランドからの支援申請は受けていないと表明。さらに期間4年、150億ユーロ規模の財政緊縮措置で、アイルランド政府は財政健全化へのコミットメントを示しているとの認識を示した。

 レニハン財務相は9日夜、政府がしている対応により債務の返済は確実になると信じていると述べた。

 ホノハン中銀総裁は、外部支援を求めることになっても財政措置が変更することはないとの見方を示した。

 ホノハン総裁は10日の会見で「IMFがわが国に望んでいる政策措置は、政府が現に行っているものとほぼ同じと考えている」と述べた。外部の支援が必要になるかどうかについては、言及しなかった。

 <政治的不透明感>

 アイルランド国債10年物の対独連邦債利回りスプレッドは約70ベーシスポイント(bp)拡大し、過去最高の645bpとなった。

 ホノハン中銀総裁は「現在、特に財政問題が厳しい問題として残っているために投資家はまだ(中銀の対応)に完全に納得していない」と述べた。

 9月にアイルランドの財政・債務問題が浮上して以来、市場の関心は150億ユーロ規模の財政4カ年計画と、議会でかろうじて過半数を確保している現政権が、60億ユーロ相当の歳出削減と増税案の採決が予定される来月までもちこたえられるかどうかに向いている。

 いまや、市場の懸念を鎮静させるには、野党会派が安定多数を確保すると予想される総選挙しかない、との見方が多くなっている。

 アナリストは、たった2年の借り入れコストも7.76%付近まで上がっている状況を考えると、アイルランド政府は厳しい条件が伴っても5%程度のEUの救済措置の方が良いと考えるとみている。

 <債務再編懸念>

 債券投資家は、たとえアイルランドがEUやIMFの救済措置を受けても、債務再編などで損失を被ることになるのではないかと懸念している。

 EUは現在、恒久的な危機対応メカニズムの創設を進めている。これについては、ドイツなどが、危機に陥った国の秩序ある債務再編手続きを盛り込むよう主張している。

 ホノハン中銀総裁は、ドイツの提案が市場を不安定化させたと指摘した。

 欧州の清算・決済機関LCHクリアネットは9日、アイルランド国債を取引する際の証拠金を15%引き上げることを明らかにした。11日の取引終了後の残高から適用される。

 欧州委員会は、アイルランドの銀行債務保証スキームを来年6月30日まで延長することを承認した。

 ホノハン中銀総裁は、銀行の住宅ローン債権の状況を注視する方針を示した。これにより、中銀がさらなる銀行支援を迫られるとの懸念が台頭している。

 昨年、商業用不動産市場が急落しアイルランドの銀行は危機に陥った。次なる脅威は住宅ローンとみられている。同国の住宅価格は2006年末のピークから36%下落している。

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