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日米で金利上昇、景気回復と金融緩和の期待バランスに変化

 [東京 16日 ロイター] 日米で金利が上昇している。量的緩和導入前に積み上げてきたポジションの解消が直接的な要因だが、その背景には、これまで共存していた景気回復期待と金融緩和期待のバランスの変化がある。

 11月16日、景気回復期待と金融緩和期待のバランスの変化を背景に、日米で金利が上昇。写真は端末を見つめるトレーダー。9月撮影(2010年 ロイター/Yuriko Nakao)

 10月米小売売上高など景気改善を示す指標が増えたことで追加金融緩和観測が後退したほか、米金融緩和路線への批判も強まってる。ドル高/円安進行は日本株に好材料だが、リスクマネー巻き戻しが本格化すれば影響は免れないとの警戒感も強い。

 <日本の長期金利は2カ月ぶり高水準>

 10月の米小売売上高は前月比1.2%増と市場予想の0.7%増から上振れ。4カ月連続で増加し、7カ月ぶりの大幅な伸びとなった。景気回復期待の強まりを背景に、米債市場では米量的緩和第2弾(QE2)発表に先立ってとられていた買いポジションの巻き戻しが進んだという。米30年債利回りは終盤の取引で4.41%に上昇し、5月中旬以来の高水準を付けた。

 景気回復を示す指標が増え続けるにつれ、大規模な米金融緩和への風当たりも強くなってきている。海外だけでなはく、米スタンフォード大学のマイケル・ボスキン教授を含む共和党寄りのエコノミスト数人が、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長に対し6000億ドルの国債買い入れ計画を中止するよう求めるとの報道があるなど、米国内からも批判が出てきている。景気回復期待と金融緩和期待が共存する「蜜月期間」にも変化が訪れ始めた。

 円債市場でも10年債利回りが一時1.090%と9月15日以来2カ月ぶりの高水準をつけたが、「官庁系が国債買いに踏み切った」(外資系金融機関)ことで上昇は一服している。米債下落による需給不安はひとまず棚上げされた格好だが、さらなる金利上昇への警戒感は強くなっているという。

 アール・ビー・エス証券のチーフ債券ストラテジスト、福永顕人氏は「先週後半から相場が急速に売られる過程で、先物セクターがイールドカーブ上でアンダーパフォームし、スワップ・スプレッドも、とくに10年などで拡大基調となっている。相場の急変に対し、現物債ポートフォリオのヘッジとして先物の売りやスワップの払いが集中している可能性がある」と指摘。そのうえで「15日の米債券市場は、金利が大幅上昇した。これを受けて、日本の国債先物相場も先物主導の下落が続いている。追加緩和以降の金利上昇により、世界的にこれまでのポジションをアンワインドする動きが広がっており、今後も不安定な展開が続く公算が大きい」との見方を示している。

 一方、別の外資系証券の関係者は「米債下落が一部邦銀の債券ポートフォリオを直撃しており、含み益のある日本国債で評価損を相殺するオペレーションが出ている」と話した。

 <日経平均は小幅安、円安好感の買い一巡>

 米株にとっては景気回復予想の強まりはポジティブだが、米量的緩和期待の後退はネガティブ要因。材料が相殺される形で、ダウは小幅高、S&P500とナスダックが小幅安とまちまちだった。

 東京株式市場でも日経平均は小反落。朝方は対ドルで83円台まで進んだ円安を好感し主力輸出株を中心に買いが先行、取引時間中としては約5カ月ぶりに9900円台に乗せた。しかし、市場関係者の多くが上値の節目とみていた200日移動平均線(9927円02銭=15日現在)に接近したことをきっかけに先物に大口売りが出て下げに転じた。「主力の輸出株などに実需の買いがみられたものの、売買高が少なく先物の動きに振らされてしまう状況だ。CTA(商品投資顧問業者)系ファンドによる株以外の商品と日本株の裁定取引も観測されている」(東海東京証券エクイティ部部長の倉持宏朗氏)との声が出ている。

 米国のQE2を受けて投資家のリスク許容度は高まったが、「日本には独自の材料が乏しく、外部要因に依存する状況は変わらない」(大手証券)という。「日本株には円安が下支え要因だが、米金利上昇をきっかけにリスクマネーが巻き戻されれば影響は免れない」(準大手証券ストラテジスト)との指摘もあった。

 <ドルの買い戻し基調は続くとの見方>

 午前の為替市場は米金利上昇によるドルの買い戻し基調が続き、一時的に弱含んだ場面もあったが、対円、対ユーロともドルは底堅く推移した。アイルランドの財政問題や他のユーロ圏国への波及をめぐる懸念を背景に、資金の避難先としてのドル買いが再燃した。

 FRBのイエレン副議長がウォールストリートジャーナル(WSJ)氏とのインタビューで、米国の失業率が7%以下になるのは2013年ごろと語ったことも、ドル売りを誘発した。市場では「描かれた景気回復の時期が遅い。来年は成長加速を予想するともいっており、判断の分かれるところだが、ドル売りが出ている」(クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクター、斉藤裕司氏)との声が聞かれた。

 しかしその後もドルは83円前半で推移。「83円割れが回避されたことで、もみあいになった。基本的に米金利上昇によるドル買い戻し基調に変わりはない」(邦銀)という。

 (ロイター日本語ニュース 金融マーケットチーム)

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