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焦点:止まらぬユーロ安、ファンドの売り攻勢にシステムが下げ増幅

 [東京 1日 ロイター] ユーロの下値が見えない。ユーロ安の背景は欧州ソブリン問題だが、より直接的な原因として、ユーロを高値で買い込んだ金融機関等の投げ売りと、年末決算を目前に収益挽回を狙うファンド勢の売り攻勢が、市場では指摘されている。

 12月1日、下値が見えないユーロ安について、高値で買い込んだ金融機関等の投げ売りやファンド勢の売り攻勢が背景にあると指摘されている。バンコクの銀行で10月撮影(2010年 ロイター/Sukree Sukplang)

 これらに加えて、為替相場が下がれば「売りシグナル」が出て自動的に売りを執行するモデル系やシステム系のトレーディング・モデルや、年末で流動性が低下した為替市場がユーロ安を増幅させている。

 下値模索が続くユーロだが、投資マネーの本格的なユーロ離れは今のところ見られず、長期的には、ドルの受け皿として強さを回復するユーロを思い描く参加者も多い。   

 <下値メド>

 ユーロは前日に続き1日も1.30ドルを割り込み2カ月半ぶりの安値圏まで下落した。過去1か月間では対ドルで9%以上減価している。

 「ユーロ売りの累積フローが5月のギリシャ危機時点に比べ、一段と積み上がっている。かなり極端なユーロ売りが進んでいるので、いったん調整が入ってもおかしくない地合いだ」とバークレイズ銀行、外為調査部のFXストラテジスト、逆井雄紀氏は指摘する。

 「(ユーロを)買った人の投げに加えて、このところ、ファンド勢のショート攻めがみられる。年末相場で取引が薄いことと、システムトレードで尾ひれが付いて、値幅が拡大しやすい」(外銀)という。

 商品先物取引業者など一部のファンド勢の動向を表すIMM通貨先物の取組によると、11月半ばまで買い越しだったユーロは11月23日までの週に8293枚の売り越しに転じた。

 目先の下値メドとしては「今回の上昇が始まった1.25―1.26ドルあたりが当面のターゲットになりそうだ」と三菱東京UFJ銀行、金融市場部カスタマーグループ次長、佐原満氏は予想する。

 ユーロは9月初旬の1.26ドル台から上昇し始め、11月初旬に1.42ドル台まで上値を伸ばしたが、1.40ドルを超えた水準での滞空時間は短く、間もなく反落局面に突入した。

 欧州のソブリン債務問題はこれまでも、出ては消え、消えては再浮上してきたが、対ギリシャ支援策は好感され、その後に実施された国債入札が順調な結果となり、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が落ち着きを取り戻し、ユーロが買い戻されるというパターンだった。

 しかし、アイルランド支援策後に実施されたスペインの国債入札は振るわず、対ドイツ連邦債に対するスペインやイタリア債のスプレッドがユーロ導入後の最高水準に達した。これを受けて、ユーロは一段安となり、30日には一時1.2969ドルと2カ月半ぶりの安値を更新した。

 1日の通貨オプション取引では、1カ月物のユーロの予想変動率(インプライド・ボラティリティ)が16%まで上昇し、半年ぶりの高水準となった。ユーロの下落リスクについて市場の警戒感が高まっていることを示している。

 <投資マネーのユーロ離れはあるか>

 今後のユーロの展開について、アジアの外準保有国や中東のソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)など国際的な大手投資マネーが本格的にユーロ離れを起こせば、ユーロは一段安になるとみられるが、市場では「足元では大手投資家のユーロ関連のフローは見えていない」(邦銀)という。

 「投資家は基本的に、域内で投資資金を付け替えているに過ぎない。欧州から資金を引き出しても、他に持って行くところはない」(外銀)との意見も上がっている。

 また、ユーロ圏で輸出入など実需関連のフローには大きな偏りがない。

 大和総研の試算によると、ユーロ圏の2010年の貿易収支は184億ユーロの黒字と、2009年実績の371億ユーロの黒字から縮小する。

 さらに、ユーロは2008年のリーマンショック以前の高値1.6040ドルから、10月下旬の1.2335ドルと約3カ月間に3700ポイント急落したが、当時と現在とはマネーの流れが全く異なるとの指摘もある。

 「当時はリーマンショックで、手元流動性としてのドルが急きょ必要になったため、金融機関を中心にユーロを売ってドルに回帰するという流れが起きた。今回のユーロ安局面ではリアルなドル需要は高まっていない」(運用会社ポートフォリオ・マネージャー)

 現状では、ユーロをめぐる市場のセンチメントは弱いままだが、長期的なユーロの役割に注目する声も多く聞かれる。

 「長期的には(投資資金が)ドル一辺倒から、ユーロへのリシャフリング(投資分散)が起こるだろう」と三菱東京UFJ銀の佐原氏は言う。

 「国力が弱った米国から資本が徐々に浸み出してくるという方向性は変わらない。受け皿としてはユーロと円しか考えられない。ただ、来年はスペインやイタリアの信用問題がテーマになることが予想され、ユーロが勢いよく反発する可能性は小さいが、徐々に下値を固める展開を予想する」(前出のポートフォリオ・マネージャー)という。

 「ユーロが誕生して10年間の間は危機らしい危機がなかったので、潜在的問題が先送りされていた。現在の危機をきっかけに、財政を含めたより高度な統合へ向けて、必要な手順が今後徐々に進んでいくとみている」(同)との見方も出ている。

 (ロイター 森佳子記者)

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