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根強い来春の追加緩和観測、背景に円高再進行懸念や政治混乱

 [東京 21日 ロイター] 21日の日銀金融政策決定会合で政策変更はなかったものの、BOJウォッチャーの間では、来春には日銀が包括緩和による資産買い取り枠の拡大に追い込まれる可能性があるとの見方が根強い。

 12月21日、日銀金融政策決定会合で政策変更はなかったものの、専門家の間では、来春には日銀が包括緩和による資産買い取り枠の拡大に追い込まれる可能性があるとの見方が根強い。写真は白川総裁(2010年 ロイター/Toru Hanai)

 背景には、米経済回復への市場の期待の反動が予想されることや、政治混乱の影響などがある。 

  <米景気期待はく落の可能性> 

 日銀が21日の会合で金融政策を据え置いたことについて、エコノミストの間ではおおむね妥当との見方が大勢となっている。景気が踊り場入りしたことは12月日銀短観からも確認できるが、政策支援のはく落や海外景気の鈍化といった一時的な要因が大きく影響している。遅くとも来年春以降にはそうした要因が薄れて、世界経済の拡大により再び景気は拡大に向かうというのが、今のところのメーンシナリオだ。日銀自身も「景気改善テンポの鈍化した状況がしばらく続いた後、緩やかな回復経路に復していくとみられる」との見通しを維持している。 

 ただ、円高が再度進行したり、世界経済の回復期待が裏切られた場合、景気面から追加緩和の必要性が生じると指摘する声も多い。

 伊藤忠商事・主任研究員の丸山義正氏は「日本経済が景気改善テンポの鈍化した状況」から抜け出す動きが春先にかけて確認できるかどうかが鍵だと指摘する。1─3月期の景気動向が概ね明らかとなる3─4月に、輸出を基点とする回復経路に復していく動きが確認できなければ、追加緩和が視野に入ってくるとみている。

 モルガンスタンレーMUFG証券・チーフエコノミスト兼債券戦略部長の佐藤健裕氏は、来年になると再び円高の進行があり得るとみている。「米国経済への期待はこれまでも振れてきた。一本調子で回復とはいかないだけにこのまま楽観論が続くわけではない」と見ており、円高が進めば追加緩和の可能性もあるとしている。このため1─3月期には、追加緩和があり得るとみている。 

  <政治の圧力や混乱の影響も> 

 他方でこうした景気と関係なく、政治の圧力や混乱状況から、来春までの追加緩和に追い込まれる可能性を指摘する声もある。

 丸山氏は、4月に統一地方選挙を控え、民主党は自らへの風あたりを弱めるために「景気低迷の責任を日銀へ押し付け、追加緩和圧力を強めることは火を見るより明らか。そのため景気動向からは追加金融緩和が不要であっても、政治圧力に屈し、日本銀行が基金増額による追加緩和に踏み切る可能性は否定できない」と指摘する。

 佐藤氏は「これだけ民主党内が分裂してくると、政治圧力をかける余裕もないだろう」と指摘するが、政治の混乱がかえって市場心理や景気へのあしかせになる可能性もある。 

 白川方明総裁は21日の会見で、長期金利の上昇も米景気への楽観論にひきずられた面が大きいとの見方を示し、資産買取枠の拡大は今のところ考えていないとしたが、来年に入れば景気の点検に加えて、政治の動きにも警戒する必要が出てきそうだ。 

 (ロイター日本語ニュース 中川泉記者;編集 石田仁志)

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