[メルボルン 11日 ロイター] 過去50年で最悪となったオーストラリア北東部クイーンズランド州の大規模洪水は、国内の果物・野菜価格を最大20─30%押し上げ、インフレ高進で個人消費に悪影響を及ぼす可能性があるとみられている。
エコノミストや国内の大手スーパーマーケットは、クイーンズランド州南東部の農地一帯を襲った新たな洪水と降雨により、作物が打撃を受けたほか、道路が寸断され、市場への納入が難しくなっていると指摘した。
地域や作物の種類が限定された過去の自然災害とは異なり、今回は影響を受ける野菜が多種にわたる見込み。2006年にはサイクロンの影響でバナナの価格が急騰したが、この時ですら全体のインフレ率に影響が及んだ。
ANZ銀行の豪経済部門の責任者、ケイティ・ディーン氏は「裁量支出に影響が及ぶだろう。2006年のバナナ価格高騰の際は、単にバナナを買うことを止めたが、今回は影響を受ける果物や野菜の種類が非常に多い。代わりのもので済ませるというわけにもいかず、支出増は避けられない」と述べた。
コモンウェルス銀行によると、クイーンズランド州の果物・野菜生産は金額ベースで国内の28%を占めるが、現時点では多くの地域が水に沈んでいる。
ナショナル・オーストラリア銀行によると、生鮮食品価格は最大で30%上昇し、1─3月期の消費者物価指数(CPI)を約0.75%ポイント押し上げる可能性がある。