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再送:ユーロ下落一服も終わらぬ財政不安、日本の欧州債投資にも懸念

 久保 信博記者 

 1月13日、日本政府が欧州債購入を表明したことを機に反発し、ポルトガル国債の入札をこなして下値不安がいったん和らいだユーロだが、先行きは明るくない。シドニーで昨年5月撮影(2011年 ロイター/Daniel Munoz)

 [東京 13日 ロイター] 日本政府が欧州債購入を表明したことを機に反発し、ポルトガル国債の入札をこなして下値不安がいったん和らいだユーロだが、先行きは明るくない。

 2月に欧州の銀行を対象とした健全性審査(ストレステスト)が実施されるほか、春にはスペインとポルトガル国債が大規模償還を迎える。ギリシャやアイルランドが計画通り市場に復帰できるのかなど中期的な問題も抱えており、欧州の財政不安は長引く可能性が高く、日本が購入する債券の価値棄損を懸念する声も聞かれる。 

 <EFSF債購入のアナウンス効果ははく落>

 ユーロ/ドルは年明けから1.2860ドルまで売り込まれ、4カ月ぶりの安値を付けた。1月12─13日のポルトガルとスペイン、イタリアの国債入札に対する不安が広がったためだが、今週に入ると流れは一転。ポルトガル国債の入札直前の12日には1.30ドル台を回復し、入札が無事に終わると1.31ドル台半ばまで上値を伸ばした。 

 反転のきっかけの1つは、日本政府が11日に欧州安定ファシリティー(EFSF)債を購入すると表明したこと。スペイン国債などを購入している中国だけでなく、日本も欧州の債券購入に名乗りを上げたことで、主要国が協力して危機を回避するムードが醸成された。「大きな入札を控えて市場が緊張している中で、ユーロ売りの流れを食い止める防波堤になった」と、第一生命経済研究所の島峰義清主席エコノミストは評価する。

 しかし13日のユーロは、欧州時間帯にスペインとイタリアの入札を控えて小動きながら、朝方の高値からは軟化した。

 1月下旬に起債予定のEFSF債のうち、日本の購入分は2割超に当たる1000億円程度とみられる。アナウンスメント効果はあったが、EFSFが支援の対象としているアイルランドの財政が直接的に改善するわけではなく、「すでに材料として消化され、市場の関心は薄らいだ」(第一生命経済研究所の島峰氏)という。 

 <ユーロは年内1.15ドルまで下落か>

 次はスペインとイタリアの国債入札、2月と3月には欧州の銀行を対象とした健全性審査(ストレステスト)が待ち受ける。欧州当局は昨年7月にも91の金融機関を対象にストレステストを実施したが、アイルランドの金融危機を悪化させた要因を摘み取ることはできなかった。

 今回の実施方法は1月中に詰めるが、アイルランド危機の反省を踏まえて厳格化される可能性が高い。外為どっとコム総合研究所の植野大作社長は「やり方によっては、追加の資本注入コストで財政負担が増える可能性がある」と指摘する。

 4月に予定されているスペインとポルトガル国債の大規模借り換えも不安視されており、「やはりユーロは上昇したところで戻り売りになる可能性が高い。(年内に)1.20ドル前後、もしかすると1.15ドル前後まで下がるかもしれない」(植野氏)という。 

 <トリプルA格を失う恐れ>

 仮にポルトガルやスペインが支援を受けることになれば、日本が購入するEFSF債にも影響が及ぶ恐れがある。同債はトリプルAの格付けが付与されており、ドイツやフランスなどユーロ加盟国の政府保証が付いているが、支援の対象国となってしまった場合は保証国から外れる。「保証できる国が減るので、信用面で何らかの影響が出てくるリスクはある」(国内ファンド)という。 

 財務省筋によると、昨年秋にESFSの関係者が来日し、発行する債券について説明があったという。日本政府が購入を決めたのは、これ以上のユーロ安/円高の阻止や、外貨準備の運用多様化という狙いもあるが、最大の目的は「EFSF債の信認を高めることで、欧州の金融安定化に貢献すること」と同筋は強調する。 

 しかし、欧州の財政問題は容易に解決しそうにない。2013年には、すでに支援を受けているギリシャとアイルランドの市場復帰が問題として浮上してくる。両国が財政再建に成功し、自力で資金調達できるかどうかを疑問視する声もある。「(EFSF債は)今はトリプルAでも、いずれ中身が劣化するとみている。そういった債券に気安く投資する日本政府のリスク感覚を疑う」(エコノミスト)といった厳しい意見も出ている。 

 アイリッシュ・タイムズ紙は13日、ユーロ圏財務相は早ければ17日のユーロ圏財務相会合で、850億ユーロのアイルランド救済融資の金利引き下げを協議すると報じた。欧州では、金利引き下げが融資の実行主体であるESFSの財務を悪化させ、トリプルAの格付けにも影響を及ぼしかねないことから、慎重な見方も出ている。

*見出しの表記を一部修正して再送します。

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