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輸出に持ち直しの兆し、米個人消費の回復で復調早まる可能性

 [東京 27日 ロイター] 輸出が持ち直しの動きを強めている。12月の貿易統計では、中国向け輸出額が過去最高を更新するなど、アジア向け輸出の増加が続いていることに加え、増勢鈍化が目立っていた先進国経済で米国向けが復調。

 1月27日、12月の貿易統計では中国向け輸出額が過去最高を更新するなど、輸出が持ち直しの動きを強めている。写真は都内のコンテナ港(2011年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 自動車や半導体等電子部品など主要項目でも回復の兆しが出てきた。円高や欧州のソブリンリスクなど懸念は残るが、主要な輸出先である米中経済が回復感を強めていることが、緩やかな輸出復調の前倒しをサポートするとの見方が出ている。 

  <先行きに自信、10─12月期マイナス成長は材料視されない可能性>   

 2010年12月貿易統計速報によると、輸出は前年比13.0%増の6兆1128億円となり、13カ月連続で増加した。ロイターが民間調査機関を対象に行った調査では、輸出の予測中央値は前年比9.2%増だったが、これを大きく上回った。 

 物価変動の影響を除いた実質輸出(日銀)をみると、10─12月期は季節調整済みで前期比1.5%低下となり、2四半期連続で低下。6四半期ぶりに低下に転じた7─9月期(0.4%低下)からマイナス幅が拡大した。

 この結果、10─12月期実質国内総生産(GDP)の外需寄与度は、ほぼ横ばいないしマイナス寄与との声が複数出ている。また、個人消費に駆け込み需要の反動が見込まれることから、10─12月期の実質GDPはマイナス成長が予想されている。 

 しかし、「足元で既に輸出回復に向けての動きが出始めていることや、先行き、生産の持ち直しが予想されていることなどを踏まえると、10─12月期のマイナス成長は、あくまで過去の統計と認識されるとみられ、マイナス幅の大きさの割には悪材料視されない可能性が高い」(第一生命経済研究所・主任エコノミストの新家義貴氏)との声が出ている。 

  <米国向け自動車輸出が5カ月ぶり2けた増>  

 12月輸出の増加に寄与した主な品目は自動車(前年比15.2%増)、金属加工機械(同77.1%増)、鉄鋼(14.1%増)などで幅広く増加。自動車は、米国向けの排気量3000cc超の乗用車などの輸出が増加に寄与した。米国向け自動車輸出は昨年8月以降鈍化し、マイナスに転じる月もあったが、12月は前年比18.0%増と5カ月ぶりの2けた増となった。

 このほか、昨年春以降増勢が鈍化していた半導体等電子部品の輸出も、11カ月ぶりに増勢に転じるなど持ち直しの動きがみられた。

 内閣府の國峯孝祐参事官は、半導体等電子部品の輸出が鈍化していたことについて、韓国や台湾の電子部品が2010年前半から在庫調整局面にあることが背景にあったと指摘。ただ、過去からの推移でみると、韓国や台湾の出荷・在庫バランス(出荷の前年比─在庫の前年比)は概ね2年程度のサイクルで動いているため、このまま通常のサイクルで在庫調整が一巡すれば、今年半ば頃にかけて新興国向けを主に輸出数量が増加していく可能性が高いと分析した。

 また、同参事官は、電子部品を組み込んだ製品の主要な最終需要地である米国でパソコン需要が増加していること、半導体等電子部品を組み込んで電気機械を生産・輸出している中国の製造業購買担当者指数(PMI)などの指標で明るい動きがみられていることも前向きな動きとの見解を示した。 

 輸出の先行きについてエコノミストの間では「欧州経済の緊縮財政の影響や円高水準にとどまる為替レートなどを考慮すれば、輸出の見通しには慎重にならざるを得ない」(クレディ・アグリコル証券・エコノミストの佐藤芳郎氏)として、慎重な見方が根強い。堅調だった新興国経済についても、インフレ懸念などを背景に金融引き締めの動きが強まり、不透明感が出ている。

 一方で「米国で個人消費、なかでも日本の輸出への影響が大きい耐久財消費を中心に循環的な回復が明確になっているため、日本の輸出も増加基調をたどる可能性が高い」(シティグループ証券・エコノミストの村嶋帰一氏)との声も出ている。野村証券・チーフエコノミストの木内登英氏は「緩やかな回復にとどまる可能性は残されているが、1─3月期にかけて実質輸出が増加に転じる確度が高まった」と指摘。4─6月期以降とみられていた実質輸出の増加が1─3月期に早まる可能性も出てきた。

 (ロイターニュース 武田晃子;編集 石田仁志)

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